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ぽんてん

正職員の在宅ケアマネジャーとして勤務中。大型デイサービスやグループホームでの勤務も経験。介護での長年の経験を活かしブログで介護に関する情報発信中です。

【資格】介護支援専門員、介護福祉士、認知症ケア専門士、ヘルパー2級、第1種衛生管理者
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「介護保険制度について、ある程度知っておかないと 介護が必要になった時に苦労する」こんなふうに言われていますし、私も同感です。とはいえ、「介護保険制度は難しそう」「何から調べればいいか分からない」という方も多いです。そこで、今回は介護保険制度の仕組みやサービス内容などについて解説します。この記事を読めば、介護保険制度のポイントを理解することができるので ぜひ最後までお読みください。

目次

介護保険制度とは

ここでは、介護保険制度について次の2つを紹介します。

  • 介護保険制度とはどんな仕組み?
  • 歴史・背景

それでは、順番に解説していきます。

介護保険制度とはどんな仕組み?

介護保険制度は、介護が必要な高齢者や家族を 社会全体でサポートする制度です。40歳以上の人は介護保険制度に加入し、決められた保険料を納めます。介護保険料や公費を財源として、高齢者は費用の一部を負担することで サービスを利用できます。なお、介護保険には必ず加入しなければなりません。

歴史・背景

介護保険制度は、2000年に導入されました。制度が導入された際のポイントは、以下のとおりです。

〈導入前〉

  • 高齢化社会が進み、介護サービスのニーズが高まった
  • 当時の介護サービスは市町村が運営しており、種類が少なかった
  • 高齢者や家族は、自分で必要なサービスや施設を選べなかった
  • 少子化や核家族化が原因で、家庭だけで介護するのが困難に

〈導入後〉

  • 社会福祉法人等に加えて民間企業が参入、サービスの数が増加
  • 事業所間で競争が生まれ、介護サービスの質が向上した
  • 高齢者や家族は、必要な施設やサービスを選択できるようになった
  • 介護について相談しやすい環境が整備された

以上のように、介護保険制度の導入により「家庭で介護する時代」から「 社会全体で介護をサポートする時代」へ変化しました。

介護保険制度のメリット4つ

ここでは、介護保険制度のメリットを4つ紹介します。

  • 介護サービスが受けられる
  • 自己負担は1~3割
  • 自治体による特色あるサービスも
  • ケアマネジャーが無料で担当してくれる

順番に解説していきます。

介護サービスが受けられる

高齢者は、介護保険制度の介護サービスを受けられます。サービスを受けるためには、市町村による認定が必要です。認定では、市町村の職員が高齢者の心身の状態を調べます。認定については、記事の後半で詳しく解説します。 

以下は、介護サービスの一例です。

  • 自宅を訪問してもらい、家事の援助や介護を受ける
  • デイサービスに通って、食事や入浴をする
  • 短期間、施設に泊まり介護を受ける
  • 自宅の改修(段差の解消、手すり設置など)
  • 自宅から施設へ移り住んで介護を受ける 

以上のサービスを、組み合わせて利用できます。ただし、施設に移り住んだ場合は 自宅サービスは利用できません。

自己負担は1~3割

高齢者は、費用の1~3割を負担することでサービスを利用できます。(負担の割合は、本人の収入により変動)残りの費用は、公費や40歳以上の人が支払う保険料で賄われています。支払いは、月ごとです。例えば、1か月のサービス料金を30,000円として・・・1割負担の人なら、3,000円を支払います。

このように、高齢者は費用の一部を負担することでサービスを利用できるのです。 

自治体による特色あるサービスも

市町村などの自治体が、それぞれ独自のサービスを提供しています。介護保険制度は、国の制度です。しかし、地域の事情は各地で異なります。例えば、都市圏と農村部では 店舗数や交通機関事情は別物と言えるでしょう。

市町村は、以下のような特色あるサービスを提供します。

  • 高齢者専用の介護タクシー
  • 夕食の配食サービス
  • 紙おむつ等の購入費用補助

以上がその一例です。地域によりサービスは異なります。

ケアマネジャーが無料で担当してくれる

介護が必要になった高齢者は、ケアマネジャーが無料で担当してくれます。ケアマネジャーとは、高齢者の望むサービスを調整してくれる「頼れる相談役」です。

ケアマネジャーの役割は、以下のとおりです。

  • ケアプラン(介護の方針や目標)の作成
  • 生活や介護などの相談
  • 介護サービスの申込
  • 事業所との連絡調整など

ケアマネジャーが作成するケアプランにかかる費用は、国が全額を負担します。

介護保険サービスの対象者

ここでは「どんな人が介護保険サービスを受けられるか」についてお話します。介護保険サービスの対象は、以下の2つです。年齢で分けられます。 

  1. 65歳以上の人 ⇒ 第1号被保険者
  2. 40歳以上の人 ⇒ 第2号被保険者

それでは、詳しく解説します。

サービスの対象は原則として65歳以上

介護保険サービスを利用できるのは、65歳以上の第1号被保険者です。そして、第1号被保険者であることに加え 市町村から「介護が必要である」と認定される必要があります。認定については、記事の後半で詳しく解説します。

64歳以下でも介護サービスが受けられるケース

原則として、64歳以下の「第2号被保険者」は介護保険サービスを受けられません。ただし、介護保険の対象となる病気にかかり「介護が必要である」と認められた場合には 利用できます。

〈介護保険の対象となる特定疾病には、以下の16種類が指定されています〉

  1. がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 厚生労働省ホームページより

介護保険が適用されるサービスとは

介護保険が適用されるサービスについて、ここでは4つ紹介します。

  • 在宅サービス
  • 施設サービス 
  • 地域密着型サービス
  • 介護保険外サービスについて

それでは、順番に解説します。 

在宅サービス

在宅サービスは、高齢者が自宅で生活するために利用するサービスです。代表的な在宅サービスは、以下の4つです。

  1. 訪問介護・・・ホームヘルパーが自宅を訪問し、サービスを提供する。調理や掃除をサポートする「生活援助」と、入浴やオムツ交換をサポートする「身体介護」がある。
  2. 通所介護・・・デイサービスで、食事や入浴の介助、リハビリ訓練を受けられる。
  3. ショートステイ・・・短期間、介護施設に入所する。生活リズムや栄養バランスを整えたり、リハビリを受けられる。家族の休息を目的とするケースも多い。
  4. 福祉用具と住宅改修・・・歩行器やベッドをレンタルできる。また、トイレや入浴関係に必要な福祉用具を1~3割の負担で購入可能。自宅の段差解消や、手すりの取り付けなど住宅改修を行う際に補助を受けられる。 

以上のサービスを組み合わせて利用できます。在宅サービスは、高齢者が自宅で生活するためのものです。

施設サービス

施設に入所して、介護サービスを受けます。常にスタッフによる見守りを受けられるので安心です。施設にはさまざまな特色があり、高齢者は状態に応じて利用します。代表的な介護保険施設は、以下の2つです。

名称略称特徴
特別養護老人ホームとくよう食事や入浴など、生活に関する介護を必要とする高齢者が対象
介護老人保健施設ろうけん病状が安定し、リハビリに重点をおいた介護が必要な高齢者が対象。医療サービスも受けられる。

施設サービスには、部屋代や食事代が必要です。高齢者の収入や状態によって、利用料は異なります。ケアマネジャーと相談し、利用を検討するのがよいでしょう。

地域密着型サービス

地域密着型サービスは、市町村などの自治体が運営します。地域の実情に応じて提供されており、利用できるのは地域住民だけです。例として「夜間の訪問サービス」や「小規模デイサービス」などが挙げられます。どんなサービスがあるのか、ケアマネジャーや自治体へ確認するとよいでしょう。

介護保険外サービスについて

介護保険外サービスは、これからますます普及していくと考えられます。高齢者の生活は、介護保険だけではカバーしきれないからです。例えば、散髪。自宅で生活する高齢者の中には、散髪に行けない人もいるでしょう。

しかし、介護保険には散髪サービスはありません。そこで、自治体は「出張カットサービス」に対して費用の一部を負担します。そうすれば、高齢者は少ない負担で散髪することが可能です。他にも、夕食の配達サービスなどがあります。自治体は、さまざまな保険外サービスを実施しています。ケアマネジャーや自治体に確認してみましょう。

介護保険の申請から利用開始まで

ここでは、介護保険サービスを利用するための手続きと流れについて3つ説明します。

  • 介護保険を申請する
  • 認定調査を受ける
  • ケアマネジャーと利用サービスを検討

それでは、順に説明します。

介護保険を申請する

まずは、地域包括支援センターへ相談するのがよいでしょう。地域包括支援センターは、さまざまな介護相談を無料で受付けてくれる公的な機関です。必要な書類なども教えてくれて、自治体への申請代行もしてくれます。もちろん、個人でも自治体へ申請することは可能です。

認定調査を受ける

申請を行うと、市町村の職員が自宅などを訪問し 「心身の状態」を確認します。この確認作業が「認定調査」です。

認定調査の一例として、以下のような項目があります。

  • 歩行
  • 視力や聴力
  • 排泄
  • ひどい物忘れ

以上の項目は、全国共通です。認定調査のあとに、審査が行われ「介護度」が決定します。介護度は、介護が必要な度合いです。介護度には、要支援1から要介護5まであります。

以下の表は、介護度と身体の状態です。

介護度身体の状態(例)
要支援1生活動作の一部に、手助けが必要な場合がある
要支援2生活動作に、部分的な手助けが必要。状態改善の見込みがある
要介護1生活動作に、部分的な手助けが必要。状態改善が期待できない
要介護2もの忘れや、歩行に不安定さがみられる。
要介護3入浴や食事に介護が必要。
要介護4介護がなければ、生活することが難しい。
要介護5認知症の進行や寝たきりなど、全てにおいて介護が必要。

以上は、あくまで一例です。認知症の進行度合いなどで、介護度は大きく変化します。認定結果に納得できないときは、調査の再申請が可能です。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。

ケアマネジャーと利用サービスを検討

介護度が決定したら、ケアマネジャーと相談して 利用するサービスを決定します。サービス事業所へは、ケアマネジャーが連絡してくれるので安心です。在宅介護の場合、デイサービスやホームヘルパーなどを組み合わせます。施設介護の場合は、施設への申し込みが必要です。施設に空きがない場合、在宅サービスを利用しながら待つこともあります。

介護保険の自己負担限度額について

ここでは、介護保険サービスの支払いについて2つ紹介します。 

  • 自己負担の割合は?
  • 自己負担限度額 

それでは、順に解説します。 

自己負担の割合は?

介護保険サービスは、1〜3割の費用負担で利用できます。負担割合は、利用者の収入に応じて異なります

自己負担限度額

介護認定を受けた利用者は、介護サービスの利用が可能です。ただし、利用できるサービスには限度があります。利用できる限度額のことを「自己負担限度額」と呼び、 要介護度に応じて異なります

介護度単位=円(1割負担の場合)
要支援15,032単位/月
要支援210,531単位/月
要介護116,765単位/月 
要介護219,705単位/月
要介護327,048単位/月 
要介護430,938単位/月
要介護536,217単位/月

※以上は、1割負担の場合です。2割負担なら×2、3割負担なら×3になります。自己負担限度額を超えても、サービス利用は可能です。ただし、超過分は10割の費用負担になります。(1~3割負担では利用できません)難しく感じるかもしれませんが、調整はケアマネジャーの仕事です。ケアマネジャーと相談し、サービス利用の量を検討しましょう。

まとめ:介護保険制度の仕組みやサービス内容を理解しよう

介護保険制度について解説しました。制度は複雑ですが、ポイントを理解していれば 戸惑うことは少ないでしょう。

  • 介護認定を受ければ、サービスを1~3割負担で受けられる
  • 40歳になると、介護保険料を納める
  • サービスの対象は、原則65歳以上
  • 在宅サービスと施設サービスがある
  • まずは、地域包括支援センターへ相談
  • ケアマネジャーがサービスの連絡や調整をしてくれる

介護保険制度は、社会全体で利用者や家族をサポートする制度です。ひとりで抱え込んで、悩まないようにしましょう。皆さんが困った時に、この記事が少しでも役立てば幸いです。

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