福祉用具専門相談員は、適切な福祉用具を選んだり、その使い方を使用者に提案、アドバイスなどをしていく職業ですが、実際はきついと言われています。そんな福祉用具専門相談員の仕事は本当にきついのか、大変だと言われている仕事内容や給料などまで詳しく解説します。
福祉用具専門相談員とは
まず福祉用具専門相談員というのは、その名前の通り福祉用具に関するアドバイスを専門的に行う職業です。公的な資格ではあるものの国家資格ではなく、介護保険制度においては福祉用具貸与事業を行う事業所にこの相談員を最低2名以上配置する義務があります。
昨今では、福祉用具を扱う介護保険制度で定められる事業所に留まらず、国内の高齢化が進む中で様々な施設が出来ていくのに合わせ、多様な場面における活躍が見込める資格、職種としても注目されています。
福祉用具専門相談員の主な仕事内容
そんな福祉用具専門相談員の主な仕事内容としては、まず福祉用具を使用される方、もしくはその家族や担当するケアマネージャーなどから、用具に関する相談を受け付けたり、アドバイスを行います。
生活環境等を踏まえて適切な福祉用具の選定を行い、ケアプランなどに沿って利用計画を立てていきます。そして準備した福祉用具を、実際に利用される利用者の体や環境に合わせ、調整等をしていきます。併せて、用具の使用方法や注意点なども説明します。
単に用具を提供するだけではなく、定期的に利用者への訪問を行い、点検や利用状況等を把握します。もしもここで不具合等が生じたのであれば、それらの解決にも携わります。
福祉用具専門相談員のやりがいは？
福祉用具専門相談員がどんな仕事をしているのかについて、大まかにではありますが解説してきました。福祉業界に携わっている事は間違いありませんが、そんな相談員を務める事によって得られるやりがいとは何でしょうか?
やりがい①利用者の自立支援に繋がる
まず1つ目に挙げられるのは、利用者の自立支援に繋げられる事です。福祉用具専門相談員が高齢者や障碍者など、支援が必要な人に対してそもそも福祉用具を提供したり相談を受け付けているのは、利用者の生活を支える為です。
これまで支援が無くてできなかったことが、福祉用具による助けを加える事でできるようになった、家族の負担を軽減する事が出来た、といったように、人を助けられる職業ですから、自立支援に繋げられた時には大きな達成を感を味わえるでしょう。
やりがい②利用者の笑顔が見られる
2つ目は、利用者の笑顔を見る事が出来る点です。利用者、もしくは利用を検討している方からの相談を受け付け、アドバイスをし、そして福祉用具を貸与するわけですから、当然人との関わりも生じます。
定期的に利用者の元を訪問するホームヘルパーやケアマネージャーなどと比べると、利用者と接する頻度は少なくなります。ですが、それでも定期的に訪れたりメンテナンスなどを行う時には、利用者や家族の笑顔や感謝の言葉を口にしてもらえたりします。
業務そのものは慌ただしくはありますが、その中でもらえる感謝の言葉が大きなモチベーションになったりもするのです。加えて、ケアマネや地域包括支援センター職員などからも、同じく感謝を伝えられたりします。
やりがい③営業ノルマを達成したとき
もう1つ、営業ノルマを達成した時というのもやりがいを感じられるでしょう。基本的に福祉用具貸与事業所というのは、専門相談員にノルマを課している事がほとんどです。
このノルマを達成するためには、ケアマネージャー、および地域包括支援センターの方との地道な信頼関係の構築、そして利用者へのアフターフォローを重ねる事で、継続的な依頼を受けられるようにするのです。
ノルマの達成が出来れば、達成感も当然感じられるでしょう。加えて、ノルマ達成による評価アップだけではなく、給料アップなどの可能性も大いにありますので、昇進や昇給も狙えるという訳です。
福祉用具専門相談員のきつい・大変なこと
この様に、福祉用具専門相談員は必要としている家庭や施設と関わっていき、人を助ける事が出来る職業なのです。しかし、実際の仕事の中では大変さやきつさを感じる事もある様です。
きつい①作成書類が多い
まず1つ目は、作成する書類が多い事です。福祉用具専門相談員というのは、必要としている福祉用具を届けるだけが仕事ではありません。利用目的、効果、注意点など、利用してもらうためにはサービス計画書を作らなければなりません。
2012年より、この計画書類の作成が義務化されていて、書類作成業務も大幅に増えました。加えて、用具の利用状況は艇的にモニタリングし、その報告書も作る必要があるので、多くの書類作成を負担と感じている方が多いのです。
業務の流れとしては、利用者宅を訪問し、メンテナンスなどの業務を行い、その後に書類作成を行います。後述する肉体的なきつさとも相まって、仕事量の多さを大変と思う訳です。
きつい②力仕事が多い
2つ目は、力仕事が多い事です。やはり福祉用具を届ける業務が中心になりますので、搬入や搬出といった力作業を伴います。例えば、20㎏以上の重さの用具を一人で運んだり、エレベーターが無い集合住宅で階段を往復するなど、考えるだけでも大変な場面があります。
こうしたシーンが珍しくはないので、体力を相応に使わなければなりません。加えて、マットレスを入れ替えるといった場面では、利用者を抱えつつの移動をするなど介護に近い事も行います。
それゆえに、例え体力に自信がある方でも、腰を痛めたりといった事が発生しやすいのです。現在でこそ搬入や搬出を業務委託する事も増えましたが、依然として業務内容に力仕事は含まれたままです。
きつい③器具を取り扱う方法など覚えることが多い
3つ目に、器具の取り扱い方法をはじめとして覚える事が多い点も挙げられます。福祉用具というのも年を新しくするにつれて新しい製品も登場し、また既存商品にも新しい付加機能が追加されたりします。
そういった製品を利用者に使い方などを説明しなければならない立場である以上、製品の知識を常にアップデートする事が求められます。レンタルの福祉用具に対する安全管理上の義務などもあり、万一適切に利用されなかった時には相談員の責任が問われます。
きつい④器具の販売や営業がある
もう1つ、器具の販売や営業なども仕事内容に含まれています。先に述べた通り、貸与事業所では相談員それぞれにノルマを課している事が多く、それを達成するために新規契約者を獲得したり、ケアマネの事業所への営業等を行います。
ケアマネの事業所や地域包括支援センターからの信頼を得なければならないのは、そういった施設から新しく依頼をもらう必要があるからです。そうした事が苦手な方にとっては、やはり負担に感じられるのでしょう。
福祉用具専門相談員になるためには？
きついことも間違いなくある福祉用具専門相談員ですが、同時にやりがいがある事も事実ですし、人を助けたいという気持ちがあればやっていけるでしょう。最後に、そんな相談員になる為の手順などを解説しましょう。
福祉用具専門相談員になるために必要な資格
まず、相談員になる為には必要な資格があります。といっても介護士や社会福祉士のような資格を取得しなければならない、という訳ではなく、各都道府県知事の指定する事業者の開催する福祉用具専門相談員指定講習を受けるのです。
時間にして50時間分の講習を受講し、修了試験に合格すれば、晴れて相談員として働けます。また、介護福祉士、社会福祉士、保健師などん福祉関連の資格を保有されている方は、この講習を受けなくとも認められます。
福祉用具専門相談員の資格取得までの流れ
資格の取得そのものは必要ありませんが、先述したように指定講習を受け、最後の修了試験に合格する必要があります。全国各地に実施している事業所があるので、まずホームページを参考にお近くの事業所を探してみましょう。
講習も先に解説した通り50時間で、1週間丸々使えば受講完了できるようになっています。その後、1時間程度の試験を受け、合格すれば修了証明書が作られるので、その後はすぐに相談員として働けます。
福祉用具専門相談員の就職先は？
福祉用具専門相談員は、主に福祉用具貸与、販売事業所が就職先となります。ただしあくまで「主に」であり、最近では福祉用具を扱うドラッグストアやホームセンター、生活用品販売店なども勤め先となります。
福祉用具専門相談員の給料
最後に気になる給料についてですが、平均年収は約328万円となっているようです。月換算だと平均27万円、初任給で19万円程度となり、給与的には一般的な正社員と大差ないと思われます。
福祉用具専門相談員は大変なこともあるが、やりがいのある仕事！
やはり福祉関連の仕事でもあるので、大変な仕事内容なのは事実です。しかし、人の笑顔を見られたり、助ける事で感謝される仕事でもあるので、需要を考えても目指してみても良いかもしれません。
