生活相談員という職種は聞いたことがあっても、詳しい仕事内容や必要な資格は知らないという方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな生活相談員に必要な資格や仕事内容、給料などについて詳しく解説しています。転職をお考えの方や、今後のキャリアプランに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

目次

生活相談員の仕事とは?

生活相談員とは、社会福祉士とも呼ばれ、さまざまな介護施設で活躍しています。行う業務内容としては、利用者やご家族からの相談に応じたり、入所施設との間の連携、その他介護・福祉に関わる調整等の役割を担っています。

よく混同される仕事として、ケアマネージャー(ケアマネ)という職種がありますが、ケアマネは、介護サービスを受ける利用者のケアプランを作成し、利用者や家族のニーズに沿った適切な介護サービスを計画することが主な仕事です。

一方、生活相談員は、ケアマネジャーや施設との調整窓口となり、利用者や家族の相談に応じるのが仕事です。仕事の詳細は次項で説明しますが、その業務範囲は非常に広く、介護サービスにおいて何役もこなすキーパーソンと言えます。

生活相談員の活躍の場所

それでは、生活相談員は一体どんな職場で働いているのでしょうか。生活相談員は様々な施設で活躍できる職種ですが、以下に代表的なものをご紹介します。

生活相談員の主な就業先

特別養護老人ホームや老人保健施設、有料老人ホーム、病院、デイサービスなど、生活相談員として働ける施設はたくさんあります。施設ごとに人員配置が決められています。介護業界は人手不足のため、今後ますます生活相談員の需要は高まっていくでしょう。

生活相談員の配置基準

特別養護老人ホームでは、利用者100人につき1人以上の常勤生活相談員を配置することが義務付けられています。例えば、利用者が200人以上いても常勤の相談員が1人しかいない場合は、要件を満たさないため、兼務はできません。

介護老人保健施設は特別養護老人ホームと同様、利用者100人に対して相談員を1人以上配置しなければなりません。ただし、利用定員が20人未満の施設はこの要件に該当しないとされています。

例えば、サービス利用者が100人なら生活相談員は常勤1人、非常勤2人でOK、利用者が200人なら常勤2人が最低条件なので、非常勤が1人以上いても問題ない、ということです。

デイサービスの生活相談員の配置基準は、他の施設に比べると少し複雑です。デイサービスの場合、利用者数ではなく「サービス提供時間」が基準になっています。

サービス提供時間は、事業所単位、営業日単位で計算されます。例えば、午前9時から午後4時までの7時間サービスを提供する場合、生活相談員を7時間以上配置する必要があり、常勤1名以上が必要です。

サービス提供時間が午前10時から午後6時で、8時間提供する場合は、8時間以上生活相談員を配置する必要があり、8時間未満の場合は兼務できないと定められています。

生活相談員の1日の仕事

マルチプレーヤーとして幅広く活躍する生活相談員の具体的な仕事内容を紹介します。常に相談に乗り、状況に応じて対応する必要がある大変難しい仕事ですが、施設利用者やその家族から感謝されることも多く、やりがいのある仕事といえます。

生活相談員の業務内容

生活相談員の具体的な仕事内容は、施設や家族、要介護者、医療機関、公共施設などとの連絡・調整、入所施設の入退所手続き、居宅サービスの個別援助計画書などの書類作成などです。

施設によっては、施設の運営にも携わることもあり、生活相談員の業務は多岐にわたります。施設の規模によって行う業務が異なり、小規模な施設ではケアマネジャーが兼務している場合もあります。

施設を利用する人のさまざまな相談に乗り、関係者と連携して問題解決を図る、介護サービスのスペシャリストのような存在です。

生活相談員のデイサービスでの1日の流れ

それでは、デイサービスで働く生活相談員の1日を詳しく見ていきましょう。

8:00 出勤
制服に着替えて出勤。朝礼で昨日の報告、今日の確認、メールチェックなどを行います。

9:00 患者さん到着
デイサービスに送迎車で利用者がやってきます。看護師が利用者全員の健康状態をチェックします。

11:00 コーディネート・相談
職場で打ち合わせをした後、ユーザー本人やご家族からの相談に対応します。入居希望者の方に施設内の見学を案内することもあります。

12:00 昼食
12:00からと13:00からの2グループに分かれ、他のスタッフと交互に休憩を取ります。患者さんが食事をしているときは、介助を行います。

13:00関係者との打ち合わせ
特定のサービス利用者のケアプランの変更について、ケアマネジャーと相談します。

15:00 レクリエーション
利用者同士のコミュニケーションを図るため、体操やレクリエーションを行います。利用者の状態によっては、個別にリハビリを行うこともあります。

16:00 送迎
利用者をバスで見送ったら、その日のサービスは終了です。その後、意見交換会や面談記録などの書類作成を行います。

18:00 退社
明日の予定と連絡先を確認し、退社します。デイサービスは日勤のみなので、夜勤はありません。

生活相談員の特養での1日の流れ

次に、特別養護老人ホームに勤務する生活相談員の1日の流れについて説明します。

8:00 出勤
メールやスケジュールを確認。夜勤の看護師からメッセージをもらい、朝礼でその日のスケジュールを確認する。

9:00 調整・連絡業務
仕事を始める。
事務局や他事業所にメールや電話をかけ、連絡や調整を行います。

12:00 昼食
みんなで順番に昼食をとります。

13:30 ミーティング
入居者の状況や相談業務の進捗状況、今後のケアプランなどを運営会議で話し合います。

14:00 利用者面談
施設に入居されている方とそのご家族にお会いします。今後のケアプランについて話し合い、不安や悩みをお聞きします。

16:00 事務処理
その日の面談内容を報告書にまとめ、その他新規入居者のための事務処理を行います。

17:00 翌日の準備
翌日のスケジュールを確認し、今日できなかった残務があればここで処理します。

18:00 退社
遅番の人と交代して退社します。

生活相談員の給料や年収

生活相談員という仕事の平均年収は約324万円です。これは、日本の平均年収と比べると低い傾向にあります。平均月収は27万円、平均初任給は約19万円となっています。

また、パート・アルバイトの平均時給は1,044円、派遣社員の平均時給は1,296円となっています。正社員の給与分布を見ると、270万円から320万円レベルのボリュームが多く、平均年収324万円はこのゾーンより高いところに位置しています。

全体の給与の幅は270万円から669万円と比較的広いので、勤める会社や経験、求められるスキルによって大きな差があることがわかります。

地域別に比較すると、平均年収が最も高い地域は関東地方で、その中でも神奈川県は357万円と最も高い水準にあります。一方、最も給与水準が低いのは青森県で259万円、神奈川県との差は97万円となっています。

生活相談員のやりがい

生活相談員の大変さを紹介しましたが、もちろんやりがいや魅力もあります。マイナス面ばかりに目を向けず、プラス面もしっかりチェックしておきましょう。

例えば、利用者から相談を受ける生活相談員では、介護のニーズや意見を間近で聞く機会が多くあります。苦情への対応は大変ですが、介護に何が必要かを考え、よりよいサービスにつなげることもできます。

また、利用者やご家族から直接お礼を言われることも多く、誰かの役に立っていることを実感できるのもやりがいにつながります。

多くの利用者さんと出会う中で、多様な価値観や考え方に触れることができ、自分の人間性を高めることにもなるでしょう。

生活相談員のキャリアアップ

生活相談員には、将来的にケアマネジャーや施設長になるなどのキャリアパスもあります。仕事の幅は広く大変かもしれませんが、目標があれば「この経験も将来の糧になる」と前向きに取り組めるはずです。

実際、介護福祉士と社会福祉士の両方の資格を持っている施設長も少なくありません。やはり、運営や管理の経験は財産になりますので、できるだけ多くの経験を積むことが大切です。

生活相談員になるための要件

「生活相談員」という名の資格はありませんが、介護施設では社会福祉士の資格が必要なところが多く、資格がないと生活相談員として働けないケースも少なくありません。そのため、生活相談員として働きたいのであれば、介護に関係する各種資格の取得を目指すことをおすすめします。

生活相談員の必要な資格

特別養護老人ホームで生活相談員として働くには、社会福祉士(福祉に関する相談・支援を行う専門職としての国家資格)、精神保健福祉士(精神障害者に関する相談・支援を行う専門職としての国家資格)、社会福祉主事任用資格(福祉事業所の現役職員として求められる資格)のいずれかが必要となります。

介護福祉士として働いた後、生活相談員としてキャリアアップするためにこれらの資格を取得する方も多いようです。

自治体によって生活相談員の資格要件が異なる

自治体によっては、上記の資格を持っていなくても、生活相談員として認められる場合があります。例えば、介護福祉士、ケアマネージャー(介護支援専門員)、老人福祉施設の施設長経験者、介護福祉士として一定期間の経験がある者、保育士など、自治体によって独自の条件を設けている場合もあります。

社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉士の資格がないからといって、生活相談員になることをあきらめる必要はないかもしれません。生活相談員として働きたい場合は、施設や事業所がある自治体の資格要件を確認しましょう。

介護士からのキャリアップにおすすめ!

生活相談員は、さまざまな施設で複数の役割を担っています。覚えなければならない業務も多く、苦労することも多いかもしれません。しかし、多くの技術や知識を身につけることができ、苦労しただけのやりがいがある仕事といえます。ただし、専属の生活相談員として働きたいと思っていても、施設側が兼務を希望している場合もあるので、求人欄などをよく確認してから応募するようにしましょう。

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