介護業界の現状は、今もなお、人材不足のためにどの介護施設も手が回らないという状況が続いています。また、現段階での介護職からの離職率も高く、どのように人員確保を行うかが懸念されています。今回は、介護職からの離職率が高い理由や、介護職に就く際に、良い職場を選ぶ時の見分け方や選び方のポイント、また、介護職への転職時にぜひ利用をおすすめする便利なサービスまで、様々な情報を徹底解説していきます。
介護職は離職率が高いって本当なの?
現在の介護業界からの離職率は15.4%に上っています。とは言え、現実では介護業界からの離職率よりも、宿泊や飲食業からの離職が26.9%と高く、生活関連におけるサービス業においても23.9%と高く、介護業界からの離職率はこれらの業種と比較してもさほど高い離職率ではないことが分かります。
介護職の離職率が高い理由は?
では、実際に介護職の離職率が高くなっているのには、何らかの理由があると考えられています。ここでは、介護職から離職する方が多い傾向になる背景にはいったいどのような理由があるのか以下に考えられる理由を4点ご紹介します。それぞれの理由を詳しくみていきましょう。
離職率が高い理由①職場の人間関係が悪い
介護職に関わらず、どの職業にも言えることですが、介護職は自分一人で業務を行うのではなく、チームワークが必須スキルとなっています。そのため、スタッフ同士のコミュニケーションを確実に取ることが求められます。
しかし、中にはスタッフ間の人間関係がぎくしゃくし、円滑に仕事を進めていくことが困難なこともあるでしょう。また、上手にコミュニケーションがとれないために、利用者へ適切なケアを行うことができなくなるなど、良いケアの提供につながらなくなる恐れがあります。
このように、職場の人間関係が良好ではない場合、働くことでストレスを感じ、離職へとつながってしまう可能性が高くなると言えるでしょう。人間関係を理由に離職する方が多い傾向であることが分かります。
離職率が高い理由②給料などの待遇面
介護業界で働く上で、懸念されているのが、平均年収や平均月収が低いことが挙げられます。また、福利厚生などの待遇面においても、他業種と比較するととてもシビアな一面が見られるなど、働く人の良い環境が整っていないことが離職の大きな理由に該当していると考えられています。
介護職は見た目以上に肉体労働であり、また、精神的ストレスを感じやすく、それに見合った収入が得られないと感じることで介護業界からの離職を考える方が増えています。
離職率が高い理由④結婚・出産
決して介護業界から離職を希望していた訳ではなりませんが、特に女性の場合は結婚や出産、子育てという人生の転機が訪れた際、介護職の現状を捉えると、正社員や契約社員で働く場合でも、時間的に困難を来すことが多く、介護職を続けていくことが困難になり、離職する方が増えている状況です。
徹底した産休や育休を経て復帰が可能な福利厚生等がしっかりとしていない場合、なかなか継続して介護職に就くということが難しい現状がうかがえます。このように、結婚や出産、育児による離職が理由として考えられることが分かるでしょう。
離職率が高い理由⑤仕事がハード
現実問題として、介護職は宿泊施設を伴う介護施設の場合は当然ながら夜勤での業務も課せられます。完全シフト制で行われる分、変則的な生活リズムとなり、必然的に仕事もハードな状況が続くことが考えられます。
また、介護現場では利用者を抱える他、車いすでの移動など、重労働が多々あるため、肉体的疲労を感じることも多く、体力面で不安を感じる方が多い傾向です。
このように、仕事がハードな状況であることから、自身の体調を崩し兼ねないことを考慮し、離職を検討する方が増えていると言えるでしょう。
介護職でいい職場の見分け方・選び方
ここからは、介護職を選ぶ時、自分に最適な職場の見分け方や、良い介護施設を選ぶための見分け方、選び方のポイントを以下に5点ご紹介します。どのようなポイントに着目して介護施設を選べば良いかチェックしていきましょう。
見分け方①常に求人を募集しているか
良い介護施設を選ぶ時は、求人数の多さ、また、頻繁に求人募集が行われていないかをチェックしてみてください。この時、求人が多すぎる=辞める人が多いために常に人材確保のため求人募集がなされているという可能性があります。
これは、その職場において働きやすいと感じる介護スタッフが少なかったこと、また、労働時間や待遇などに不満が多いために離職者が多数である可能性があります。
このような介護施設は人員が定着しないために常に求人募集が行われているため、仮に就職しても長期で働くことがない介護施設かもしれません。
見分け方②残業代や年間休日数が明記されているか
これから介護施設をリサーチする方は、その介護施設が具体的に給与面や休暇、また、勤務時間、その他福利厚生まで、様々な情報を募集要項に掲載しているかをチェックしてみてください。
また、気軽な問い合わせに応じてもらえるようメッセージの記載があれば、事前に電話連絡を行い、詳細を問い合わせてみるのもおすすめです。このように、募集要項について細かく記載のある介護施設を選ぶことをおすすめします。
見分け方③他と比べて給料が高すぎないか
他の介護施設と比較した際、あまりにも給与体系が高額すぎる介護施設は注意が必要です。これらの介護施設は、給与を高額提示することで、具体的な業務内容を提示していなかったり、福利厚生や待遇などの詳細が不透明である可能性があります。
実際に就職した際の自分の希望や理想とは大きくかけ離れ、長期的に働けない環境である可能性があるため、そのような介護施設を選ぶことのないよう注意してください。
見分け方④施設に清潔感があるか
不衛生な施設の環境や状態であった場合、根本的に清掃を行う人手まで不足している状態がうかがえます。その際、仕事を円滑に行うことができず、利用者の事故を招く恐れもあり大変危険です。
それに加え、自身もストレスを抱えて業務を行わなければならないため、このような介護施設は離職率の高さがうかがえるでしょう。このように施設の清潔感は介護職転職時に見極めておくことが大切です。
見分け方⑤職員の表情は暗くないか
現在働くスタッフが快適な職場であると感じていた場合、活気ある明るい雰囲気が漂っていることでしょう。しかし、人間関係が良好ではなく、また重労働を強いられているような介護施設だった場合、働くスタッフの表情が暗いことで気付くこともあります。
そのようなスタッフの状態や介護施設の雰囲気などをしっかりと見極め、第一印象の良い介護施設を選ぶようにしましょう。
介護職への転職時に利用したい!便利な制度・サービス
ここからは、介護業界への転職を希望する方は、ぜひ利用をおすすめする介護職就職支援貸付事業や、転職エージェントの情報をご紹介します。これから転職を行うことを予定しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護職就職支援金貸付事業
介護職就職支援金貸付事業は、無資格、未経験の方が介護業界への転職を希望する際に、その人を支援するための制度として設けられています。その際、職業訓練にて研修を修了した段階で、最大20万円の就職支援金の貸付を行うことが可能です。
また、その後、2年間、介護施設等で業務を継続することによって、全額の返済免除を受けることができるなど、大きな支援制度を活用することができます。
介護職専門の転職エージェント
介護業界で働くことを希望している方は、より自分の希望条件に沿った介護施設で働くことができるよう、良い介護施設の紹介受けることができる、転職サイトや転職エージェントを利用するのがおすすめです。
これらのサイトを利用した介護職への転職を行うことによって、自分の理想に近づけた介護施設を探し出すことができるだけではなく、自身のキャリアアップを可能とする施設の受け入れを行っています。
また、希望の給与や休暇、福利厚生など、様々な待遇面について、自身で交渉を行うことなく、代行で交渉まで行ってもらえるなど、スムーズな転職活動を行うことができます。
さらに、面接練習などのサポートまで行ってもらえるので、スピーディーに介護職への転職を行っていくことができると言えるでしょう。このようなことから、介護業界への転職を行う際は、転職サイトや転職エージェントを活用することをおすすめします。
介護職に転職する際は職場の質を見極めよう
介護職の離職率について、その理由や良い介護施設の選び方や見極め方のポイントまで詳しく解説しました。介護業界は現在も人手不足が続き、良い人材育成や確保のため、それぞれの介護施設が求人募集を行っています。
その中から自分に最適な介護施設を探し出すためにも、この記事でご紹介した情報を参考に、転職時の職場の質を見極め、自分に最適な介護施設を選んでいきましょう。