ダイエットの方法といえば様々ありますが、その中にオートファジーダイエットというものがあります。最近になって言葉を聞くようになったダイエット方法で、空腹を利用する事で痩せるのを目指すスタイルです。今回は、そんなオートファジーダイエットのやり方などを解説します。

目次

オートファジーとは

そもそもオートファジーというのは、ギリシャ語で「食べる」を意味する単語であり、これに「自ら」という意味を持つオートを組み合わせて作られた言葉です。これは、細胞の古い悪玉タンパク質が新しく作り変えられるメカニズムの事なのです。

こうした体のメカニズムを利用して、オートファジーダイエットでは16時間以上空腹の時間を自ら作り出し、新しい細胞に生まれ変わらせることでダイエットとするのです。

空腹を10時間以上作り出しても良いのは、オートファジーというメカニズム自体が人間の体に強いストレスや負荷がかかった時に生き残れるようなシステムだからです。

オートファジーダイエットのメリット

オートファジーダイエットがどんなものか、簡単にではありますが解説しました。言い方を変えれば16時間の断食、ということになるわけですが、これを意図的に行うのにもしっかりとしたメリットがあります。

メリット①消化機能の向上

まず挙げられるのは、消化機能の向上です。胃腸をはじめとした消化に関する器官は、主に消化、そして代謝の役割を担っているのに加えて、体と心を健やかに維持するためのホルモン分泌も行っています。

人間が食事を摂っている以上、消化機能に追われて十分な代謝機能を発揮させられない状態になっています。これが続くと、消化機能が弱まって代謝を停滞させ、添加物や老廃物が体に溜まりやすくなります。

オートファジーダイエットでは意図的にいつも働いている消化機能を休ませ、代謝を高めるのです。すると代謝を中心として体が動くので、添加物や老廃物の排出も促されます。

メリット②腸内環境を整える

続いて、腸内環境の整理も挙げられます。通常なら1日の内朝食、昼食、夕食と3回の食事を摂るのが基本ですが、実際には胃や腸に食べ物が残った状態のまま、次の食事を摂っているとされます。

すると、胃が休まる時間がなく消化機能を低下させてしまうのです。そこで、オートファジーによって胃の消化機能を休める時間を意図的に作り出し、消化機能を回復させます

メリット③免疫力の向上

人間の体の免疫力の中核を担っているのは、病原菌が体内に入ってきたときにそれらを貪食する白血球です。体内の細胞が不要な物を取り込み消化する作用ですが、血中に栄養が十分にある状態だとうまく働いてくれなくなります。

逆に空腹状態となり、血液中の栄養素が不足した状態になると、白血球が有害な物質や余剰物を餌として食べ始めます。がん細胞やアレルギー物質、ウイルスなどがその対象となるので、オートファジーによって免疫向上が狙えるという訳です。

メリット④体内の炎症を防ぐ

体表の炎症の発生については分かりやすいですが、体内の炎症については分かりにくいところがあるでしょう。体が空腹になっている期間にはグレリンというホルモンが分泌され、体の中の炎症を防止する効果が期待できるとされます。

体内の炎症が増大すると体の老化を進行させてしまいます。よって、若い状態を維持するという意味でも意図的に空腹の状態を作り出すオートファジーは有効な方法と言えるわけです。

メリット⑤肌や筋肉の老化を抑制

もう1つは、肌や筋肉の老化抑制です。体内の炎症防止の点からも、オートファジーが老化防止につながる点はご紹介していますが、人間の体は空腹、飢餓の状態になった時にこそ活発に働き始めます。

断食を行うと血液や免疫系の生成に関与している造血幹細胞という細胞が活発化し、新しい白血球が生み出されます。こうした作用を、細胞の循環とも言い換えられ、すなわち細胞単位で体を新しくしているのです。

オートファジーダイエットでは、日常的に16時間以上の空腹時間が作り出されます。肌や筋肉の老化していくスピードが抑制され、これによって肌つやの改善や便秘、アレルギーの緩和等様々な効果が生まれます。

オートファジーダイエットのデメリット

やることといえば単に一定の時間以上空腹の状態を維持するだけですので、非常に簡単に取り組めて様々な恩恵が得られるダイエットと言えます。しかし、逆にデメリットが生じてしまうのも事実です。

デメリット①筋肉が落ちてしまう

まず、筋肉を落としてしまいます。オートファジーダイエットでは一日の食事の摂取量を意図的に少なくするので、必然的に食事から得られるはずだった栄養分が減ってしまいます。

栄養摂取量を下げたことによって、タンパク質が減少し筋肉を作りづらくなってしまうケースがあります。もし筋力低下を避けたいという場合には、定期的に筋肉トレーニングや有酸素運動、プロテイン等でタンパク質や筋肉関連のサポートを行います。

デメリット②消化器官が弱い人には不向き

続いて、消化器官が弱い方にとっては不向きなダイエット方法である点です。人間だれしも同一のレベルの消化器官を持っているという訳ではなく、生まれつきか消化器官があまり強くない人もいます。

胃や腸など、食べ物を消化するための器官を休ませることで健康な方向に向かわせる方法ではあるものの、元々持病を持っている場合などでも向いていません。食欲不振や胃もたれを感じやすい方、ストレスが多い方は注意が必要です。

デメリット③慣れるまで空腹が辛い

16時間という時間何も食べないというのは、思っているよりも長いものです。多くの方が1日3食の食事スタイルを続けている事でしょうが、そこからいきなりどれかを抜くスタイルを取ろうとすると、空腹に悩まされることになります。

食事を我慢するのが辛く、体を慣らしていく期間を最低でも1か月から2か月もの間取らなければなりません。ナッツやヨーグルト、そのほか先に挙げたプロテインの摂取といった形で、上手く空腹と付き合っていく必要があるのです。

デメリット④生活習慣の変化がストレスになる

食事を抜いて空腹の時間を確保するのが根本ではあるものの、生活習慣が変化するのもまた事実です。先に述べている通り、多くの人は1日に朝と昼と夜の3回の食事を摂っている形でしょう。

規則正しく3食食べていた食事を、1食だけというように変えていかなければなりませんので、それに適応するのにはかなりの時間を要しますし、精神的なストレスも決して小さいものではありません。

よって、いつも通りの感覚で朝食を摂取しないようにする、食事を摂ってはいけない時間はコーヒーや水などの飲料で代用するなど、何かと工夫を凝らし続けなければならないのです。

オートファジーダイエットのやり方

空腹の時間を意図的に作り出すのがオートファジーダイエットですが、メリットとデメリット双方をしっかりと理解したうえで実践する必要があります。ここからは、具体的なオートファジーダイエットのやり方について解説しましょう。

3パターンのスケジュール

大きく分けて3パターンのスケジュールがあり、まず18時までに夕食を済ませたら、以降なにも食べないで就寝し、翌日10時以降の遅めの食事を摂ります。そこから18時までは、好きに食事を摂っても良いという形です。

続いて、朝食を抜くスケジュールです。20時までに夕食を済ませたら、そこから何も食べないで翌日12時以降の昼食まで食事なしです。そこから20時までは、好きに食事を摂るという流れです。

そしてもう1つは、昼食を抜くスケジュールです。6時ごろに朝食を摂ったら22時まで食事なしとし、そこから翌日6時までは好きに食べてOKです。夜働いている人や、日中集中していてお腹の空きにくい方向けです。

オートファジーダイエット成功のコツ

コツとしては、まず原則として16時間以上の空腹時間を必ず取りましょう。この時間を用意する事で、体の中でエネルギーが不足しないよう細胞のリサイクルが行われるのです。

スケジュールがいくつかあるので、自分のライフスタイルに合う方法を取ってください。夜遅くまで働いているなら昼食抜き、朝が早いなら朝食抜きというようなスタイルが適していると言えます。

効果が出るまでの期間は?

実際にオートファジーダイエットの効果が出るまでの期間としては、実はデータがあまり多くないので効果を実感するまでどれくらいの期間が必要なのかといった点ははっきりしていません。

ただ一例として、ダイエットを始めて半年ほどで約10㎏ほど減量をしたという例があります。やはりほかのダイエットのように、そこまですぐには効果が出るものではないのです。

オートファジーダイエットが向いていない人

無理をするのは禁物ですので、過去食事制限系のダイエットで失敗した方、栄養摂取が偏っている方、食べることそのものがストレス解消になっている方などは、オートファジーダイエットの効果を正しく得られない可能性があります。

メリット・デメリットを把握してオートファジーダイエットをはじめよう

積極的に体を動かすのではなく、意図的に空腹の時間を長く作るオートファジーダイエットは、慣れてしまえば簡単に思えるかもしれません。是非とも無理なく試してみてください。

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