高齢者は睡眠の質が低下していくため、枕の高さによって寝心地も大きく変わると言われています。良く眠れないという方は、枕の高さや素材で睡眠が改善される可能性もあるので、こだわってみると良いでしょう。そこで今回は、高齢者におすすめの枕と選び方について詳しく解説していきます。
高齢者に特に大切な枕選び
高齢者は、睡眠の質の低下や体型の変化などによって適切な枕の高さも変わってきます。その理由と、高齢者に適切な枕の高さについて解説します。
高齢者に見られる睡眠の質の低下
高齢になると、様々な理由で睡眠の質が低下することがわかっています。まず大きな理由としては、高齢者は深い眠りであるノンレム睡眠の時間が減少し、浅い眠りとなるレム睡眠の時間が増加するため、全体的な睡眠の質が落ちやすいということが考えられます。
他にも、寝つきが悪くなったり、夜中にトイレに起きる回数が増えるなどの習慣も影響するでしょう。また、高齢になるとあらゆる疾患にかかりやすくなるので、薬の副作用によって満足のいく睡眠が取れないという方も少なくないはずです。
年齢と共に枕の調節も必要になる
人間は、加齢とともに枕の高さがどんどん高くなっていくと言われています。実際に、0歳の赤ちゃんは枕が必要ないのに対して、10歳になったときにはある程度高さのある枕が必要になります。更に高齢になると、骨がもろくなり背中が曲がってくるため、高めの枕でないと寝苦しさを感じることもあるのです。
また、体格や背中の曲がり具合も枕を選ぶ上で重要なポイントとなりますが、高齢者は睡眠中の誤嚥によって肺炎を引き起こす危険性があるということも理解しておかなければなりません。そのためには顎を引けるくらいの高さがある枕が必要になるので、体調も観察しながら枕の高さを都度調節することが大切です。
高齢者向け枕の上手な選び方とは
続いて、高齢者に合った枕を選ぶポイントについて詳しく解説していきます。高齢者の枕を選ぶ際は、高さや硬さ、素材、手入れ方法などを良く確認しながら厳選しましょう。
選び方①自分に合った高さ
本来、枕は仰向けで寝たときにベッドや敷布団と頭・首元の隙間を埋めて、体への負担を軽減させるために使用するものです。そのため、枕の理想の高さは寝具と首の角度が約5度になること、そして頭から首にかけての隙間が1~6㎝であることだと言われています。
しかし、高齢者に関してはこの限りではありません。ある程度背中が曲がっていたり、睡眠中にむせやすい方は、より高さのある枕を選んだほうが寝心地が良いこともあるでしょう。
選び方②枕の素材を考える
枕を形成する素材に関しても、寝心地の良さや通気性、手入れ方法などの面で自身の好みに合ったものを選ぶと良いでしょう。代表的なものとして、綿、羽毛、パイプ、ファイバー素材、ウレタンなどがあります。
綿や羽毛は、柔らかくふわっとした寝心地が特徴となります。ただし反発しないので、頭はそのまま沈んでいきます。お手入れに関しても洗濯や水洗いは向かないため、枕カバーの使用がおすすめです。優しく包み込まれるような寝心地が好みの方に最適です。
ウレタン素材は、低反発と高反発のものがあり、頭の形や重さに合わせてフィットしてくれるため、頭にかかる負担を軽減できるのが大きな魅力となります。ただし、使えば使うほどウレタンがへたっていくので、寿命が短いというデメリットもあります。
パイプやファイバー素材は、通気性が良く夏場の蒸れやすい時期でも快適に寝られることが特徴です。更に、耐久性も高く中材のみ入れ替えることもできるので、コスパが良いというメリットもあります。しかし、弾力性がないという点や硬く感じるという点が気になる方も多いようです。
選び方③適度な硬さ
せっかく高めの枕を選んでも、柔らかすぎて頭が沈んでしまったり、頭から首にかけてぐらつきがあると誤嚥を起こす危険性が高まったり、寝苦しくなる可能性があります。そのためには、やはり適度な硬さのある枕を選ぶことが重要だと言えるでしょう。
綿や羽毛など柔らかい素材が好みの方は、量が多く入っているものであれば程よい硬さも出やすくなります。不安な場合は、実際に触ったり直接試してみてから決めるのがおすすめです。
選び方④メンテナンスのしやすさ
あまり枕がコロコロ変わると、高齢者の方も安心して眠れなくなってしまう可能性があるため、メンテナンスがしやすく長持ちしやすい枕を選ぶのがおすすめです。素材によっては丸洗いできるものもありますが、万が一洗えなくても、枕カバーを何枚か用意しておくと便利です。
他にも、へたりやすい素材は使用するうちにどんどん高さも無くなっていくので、耐久性があり、適度な硬さ・高さを維持できるものを選ぶと良いでしょう。
高齢者の方におすすめの枕5選
ここからは、高齢者の方におすすめの枕を厳選してご紹介します。高さ調節が可能なものや、身体への負担を考慮したものなど様々なので、お気に入りの枕を探してみてください。
おすすめ枕①山田朱織枕研究所 ドクターズピロー
16号整形外科で院長を務める整形外科医の山田朱織氏が開発した、オーダーメイド枕に採用される素材を使った枕です。自分に合った枕の高さを5㎜間隔で調節でき、寝返りしやすいフラット構造になっているのが特徴です。
付属のシートにより、4~9㎝の間で自身の体格や寝心地の良さに合わせて高さを変えることができます。コットン素材でありながらも適度な硬さがあるので、高齢者にも最適でしょう。
サイズ(㎝) | 50×25 |
中素材 | コットン |
おすすめ枕②CURE:RE THE MAKURA
質の良い睡眠を作り出す特許を取得している、キュアレの「THE MAKURA」です。寝ているだけで体のバランスを改善させる、枕の形をした整体器具とも謳っており、ゴッドハンドの手業を再現した確かな整体効果と、快適に熟睡できる心地よさを実現しています。
研究を重ねた3段構造により、頭と肩の2点支えが可能となり、首への負担を最大限に少なくできます。また、中材のパイプは独自に素材の厚さ、内径を設計した高価なエラストゴムパイプを使用し、好みの高さまで足すことができるだけでなく、柔らかさも選べるのが魅力となっています。
サイズ(㎝) | 58×38.5 |
中素材 | エラストゴムパイプ |
おすすめ枕③西川 医師がすすめる健康枕
日本を代表する寝具メーカーである「西川」が展開し、さつきが丘医院の医学博士・奥山先生が監修した「医師がすすめる健康枕」です。このシリーズは種類が豊富ですが、中でも枕の高さが低く、柔らかい感触が好きな方におすすめの枕となっています。
後頭部・首・肩の三点を支える「三点支持理論」に基づき開発され、この三点を支持し、頚椎のS字カーブを正しくキープすることで、理想的な寝姿勢を保つことができます。横向き寝の際に頬があたる部分には、やわらかな感触の素材を使用しているので肌馴染みも抜群です。
補充パイプ付きで、詰め物を出し入れすることで自分に合わせた高さに調節できるほか、家庭で洗濯できるのも嬉しいポイントです。
サイズ(㎝) | 56×40 |
中素材 | ポリエチレンパイプ |
おすすめ枕④MyeFoam まくら
日本人の体型に基づいて設計された低反発枕です。凹型の中空設計により、頭部への負担をかけず、まるで無圧力のような寝心地を実現しています。
横向き寝の際の側頭部や耳の圧迫感も感じることなく、肩と肩口のカーブにフィットするアーチ型形状なので、頭をのせるだけで自然なカーブに導きます。首や肩への負担も最小限に軽減されるため、質の良い睡眠を実現できるでしょう。
様々な体型に配慮されたオリジナルの枕で、首を乗せる部分は左右で高さを変えてあるので、自身の体型に合わせて使い分けることができます。
サイズ(㎝) | 60×41 |
中素材 | ウレタン |
おすすめ枕⑤Dore 低反発枕
頭から背中にかけて一体化された、ワイドサイズのビッグ枕です。頭・首・両肩・両腕・両肘・背中の9つの部位をしっかりと支えて包み込み、寝返りが打ちやすい構造になっています。
背中までクッションがあるため、通常の枕では寝具と首元の間に隙間が生まれますが、この枕では首や肩回りのカーブによってぴったりフィットし、隙間ができません。低反発ウレタンフォームは、ドイツ「BASF」社の原料を使用し、品質にもこだわっています。
カバーには3D立体メッシュ素材を使用しているため、ウレタン素材の通気性の低さをカバーでき、手洗いや洗濯も可能で衛生的にも安心でしょう。
サイズ(㎝) | 72×68 |
中素材 | ウレタン |
枕選びと共に大切な寝床内環境
高齢者の睡眠の質をアップさせるためには、最適な枕を選ぶだけでなく、寝床内環境を整えることも大切です。例えば、寝室の室温や湿度は適切か、無駄な音や光が無いかといった点もチェックしてみましょう。寝床内(布団の中)は、気温が33℃、湿度は50%前後が適切だと言われています。
特に真夏や真冬は室内の温度調整がしっかりできていないと、布団の中が暑すぎる、もしくは寒すぎるという事態が発生します。更に、湿度が高すぎると蒸れて汗をかきやすくなり、低すぎると乾燥を招きます。
エアコンを適度に使用するだけでなく、除湿器や加湿器を活用して、湿度も最適な数値に保つことが必要でです。また、無駄な音や光があると睡眠の妨げになる場合もあるので、気になるものは事前に対策しましょう。
高齢者の方が安眠できる質の高い枕を選ぼう
高齢者になると睡眠の質が低下していくので、少しでも充実した睡眠環境を整えるためにも、質の高い枕を選ぶことが大切です。最近では高さ調節が可能な枕も多数展開されているため、より寝心地の良い枕を見つけて少しでも睡眠の質を上げていきましょう。