就職や転職を考えている方の中には、「自分は介護の仕事に向いているのだろうか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。今回は、「介護の仕事に向いている人の特徴」についてご紹介します。介護の仕事が未経験の方、どの職場が自分に合っているか悩んでいる方、転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
介護職が向いている人の特徴
高齢化が進む中、社会福祉法人などの公的施設だけでなく、民間企業が運営する介護施設も増えており、介護職の募集も増えています。介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格取得を目指している方や、介護事務や介護福祉士として働こうと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、転職や介護の仕事に就いたものの、自分に合わず、すぐに次の仕事を探さなければならないというのは避けたいものです。ここでは、介護の仕事に向いている人の特徴を6つご紹介しますので、自分に当てはまるものがないか、ぜひチェックしてみてください。
介護職向いている人の特徴①人に関わるのが好き
介護職は、施設利用者やその家族、同じ職場で働くスタッフ、医療関係者など、さまざまな人と常に接しています。そのため、コミュニケーション能力は必須の資質です。また、他のスタッフとのチームワークも大切なので、協調性も求められます。
とはいえ、必ずしも新人のうちから高度なコミュニケーション能力が必要というわけではありません。コミュニケーションは経験を積むことで身につく能力ですから、現段階では人と接することが好きであれば、それで十分でしょう。
特に、親戚や近所の人など、お年寄りと話をするのが得意な人は、介護の仕事に向いているかもしれません。
また、介護の仕事は患者さんやご家族から相談を受けることが多いので、聞き上手な方が良いでしょう。
介護職向いている人の特徴②体力がある
介護は体力勝負の仕事なので、基本的には健康で、毎日元気に働ける体力が必要です。体力が極端に少ないようなタイプの人には向いていません。
ただし、身体的負担が比較的少ない施設を選んだり、パートタイムで働くなど、体力に合わせて職場や働き方を選ぶことは可能です。
ちなみに、介護職員の身体的負担は、要介護度の高い利用者が多い特別養護老人ホームよりも、要介護度の低い利用者が多い通所介護施設や通所リハビリテーション施設、訪問介護施設の方が低い傾向にあります。
また、入所施設では夜勤がありますが、デイケアや通所リハビリテーション施設では日中のみの勤務で、夜勤はありません。また、訪問介護施設でも夜間サービスを行っていなければ夜勤はありません。
転職の際に体力に不安がある場合は、日中の勤務がメインの通所介護・通所リハビリテーション・訪問介護の施設で介護士としてのキャリアをスタートさせると良いでしょう。
介護職向いている人の特徴③高齢者と話すのが好き
老人ホームや訪問介護で介護される対象となるのは、当然お年寄りが多いことが考えられます。そのため、高齢者相手でも上手に会話できる人、あるいは年配の方と話すのが好きという人はこの仕事向きであると考えられます。
介護職向いている人の特徴④相手の立場に立って考えられる
介護の仕事は、「こうしたらもっと楽になるのではないか」と、相手の気持ちになって行動することが求められます。そのため、日頃から相手の立場に立って考えられる人、相手の気持ちを推し量って適切な行動をとれる人が介護の仕事に向いていると言えるでしょう。
介護職向いている人の特徴⑤周囲の変化によく気が付く
高齢者の方のお世話や健康管理も、介護職の役割のひとつです。中には慢性的な病気を抱えている入所者もいることでしょう。
介護職には、「今日は食事の調子が悪い」「いつもと話し方が違う」などに気づき、医療関係者と連携してスムーズに対応する能力が求められます。そのため、日頃から周囲をよく見て、変化に敏感な人が介護の仕事に向いています。
例えば、友人や同僚が髪型を変えたときにすぐに気づく人や、具合が悪そうな人がそばにいるときに声をかけられる人などがこのタイプにあたります。
介護職向いている人の特徴⑥向学心がある
また、必須のスキルではありませんが、机に向かって勉強するのが苦にならない人、資格取得が好きな人など、基本的に向上心を持って新しいことを学べる人も介護職に向いています。
というのも、介護職は利用者へのケアの仕方や認知症の症状など、幅広い知識が必要だからです。また、そうした情報は更新されていくものですので、継続的に勉強することが好きな人でないと難しいといえるでしょう。
介護福祉士や介護支援専門員などの資格を取得することで、専門性を高めることができ、昇給も期待できますので、向上心のある方には特におすすめの仕事です。
介護士に必要な適正【職場別】
次に、どのような職場が向いているのかを確認してみましょう。介護の職場には、大きく分けて「入所施設」「通所施設」「訪問介護」の3種類があります。それぞれの職場で求められる資質をご紹介しますので、ご自身の性格と照らし合わせてみてください。
特養や有料老人ホームなどの入所型の施設で働くのに必要な素質
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入所施設では、介護スタッフだけでなく、医師や看護師、理学療法士など、さまざまな立場のスタッフと一緒に働くことになります。
立場は違っても、利用者が健康で快適に過ごせるようにサポートするという目的は同じなので、チームワークが求められます。ケアワーカーには、密接に協力して仕事をする能力が求められます。
また、患者さんの状態に関する情報を共有できることも重要な資質です。患者さんのわずかな状態の変化を察知し、それを医師や看護師に伝えて、よりよいケアプランを作成することが必要です。
デイサービスなどの通所型の施設で働くのに必要な素質
デイサービスで介護を担当する人を介護スタッフと呼びます。また、介護職員をサポートするケアアシスタントとして働く人もいます。人と話すことやお世話をすることが好きで、気配りができる人はデイサービスに向いていると言えるでしょう。
また、レクリエーションを企画したり、人を楽しませたりするのが好きな人も、この職種に向いているかもしれません。必要なのは、コミュニケーション能力、気配り、観察力、協調性などです。
また、介護に興味のある方も歓迎されます。一般的な介護の仕事とは異なり、基本的に夜勤はなく、仕事内容もそれほどハードではないので、多くの人が挑戦しやすい仕事と言えるでしょう。
訪問介護サービスで働くのに必要な素質
訪問介護サービスは、基本的に介護士が一人で利用者の自宅を訪問するサービスです。指示を出す上司やスタッフがいないため、介護者には迅速かつ自発的に動けることが求められます。
また、ここでは利用者やその家族のニーズを察知する能力も必要です。在宅介護に慣れていない人は、サービスを求めることをためらうことが多いので、必要と思われるサービスを積極的に提供し、「何か困ったことはありませんか」と笑顔で尋ねることが必要です。
一方で、在宅介護では提供できないサービスを介護者に求められるケースもあります。そのような場合には、クライアントの気分を害さないように、できないことを伝えることが必要です。
自分に合った介護の職場を見つける方法
ただし、就職や転職の前に、自分に合っているかどうかをある程度確認することはできます。それでは、自分に合った職場の探し方をご紹介しましょう。
職場訪問を行う
その施設に公式サイトがあれば、サイトを見ればある程度の雰囲気はわかります。しかし、実際に見てみないとわからない部分も多いので、転職先の候補を絞る過程で職場に足を運ぶようにしましょう。
ただし、一度の訪問では職場の雰囲気を把握することは難しいです。見学時に「明るいスタッフが多くて活気がある」と感じても、その日はたまたま明るいスタッフがいただけかもしれません。
また、「スタッフが多く、利用者の方とゆったりと接することができる施設だな」と感じても、その日はたまたま退所者が重なっていた可能性もあります。
入社後の誤解を避けるためにも、できれば最低2回は職場見学をするようにしましょう。職場を見学することで、自宅からの近さを実感することができます。
公式サイトに「最寄駅から徒歩3分」と書かれていても、坂道でアクセスしにくかったり、改札から駅の出口まで5分以上かかったりすることもあります。まずはご自身の目で確かめてみてください。
人材派遣で働く
働く日や時間を調整したい場合は、人材派遣サービスを探してみましょう。希望の曜日や時間に合った仕事を見つけることができます。不安定な雇用というデメリットはありますが、仕事と子育てを両立させたい、プライベートの時間を確保したいという方には便利です。
エージェントを利用する
エージェントとは、介護に特化したコンサルタントが、希望条件に合った職場を提案してくれる完全無料のサービスです。例えば、「土日祝休み/夜勤なし」などの勤務条件を交渉して、収入アップにつなげてくれます。また、その施設の残業時間や離職率、職場の口コミまで徹底的に調べてくれるものもあります。
複数のサービスを利用する
求人情報を探す際には、1つのサービスだけでなく、複数のサービスを利用するようにしましょう。求人サービスごとに募集している求人内容が異なりますし、特定のサービスにしか登録していない施設もあります。
そのため、複数のサービスを利用することで、より多くの情報を得ることができ、自分に合った施設を見つけやすくなります。また、ハローワークや求人サイトにはない非公開求人を教えてくれるのも、エージェントを利用するメリットです。
大抵のエージェントでは、面接の日程調整や履歴書の作成などもサポートしてくれます。それぞれのエージェントの特徴を比較して、自分に合ったエージェントを選びましょう。
介護転職を成功させるポイント
介護サービスの内容、利用者やスタッフの人数などが働き方に影響します。また、利用者からの評判や、常時募集している施設かどうかなど、さまざまな角度から情報を収集する必要があります。
施設・事業所のホームページや求人情報だけでなく、SNSやクチコミサイト、身近な人に話を聞くなどして、良い面だけでなく、悪い面があればそれも把握することが大切です。
自分に合った介護職に就こう
この記事で紹介した資質を複数持っている人、あるいはすべて持っている人は、介護士という職業への適性があると言えるでしょう。ただし、最初からすべてを持っていないと介護職になれないというわけではありません。
例えば、今はコミュニケーション能力に自信がなくても、介護の現場で日常的に人と接することで、スキルアップすることができます。少なくとも、人と接することが苦にならず、健康で体力に自信のある方であれば、介護の仕事に就ける可能性は高いと言えます。
今回の記事を読んで、「自分は介護の仕事に向いているかもしれない」と思った方は、もっと情報を集めて介護の仕事への理解を深め、転職を検討してみてはいかがでしょうか。