介護に関するサービスは国内でも様々存在していますが、その中に介護付きマンションというものがあります。住まいを離れ、住み替え先としても注目がされているサービスの一種になっています。今回は介護付きマンションがどんなものか、費用や入居条件などを解説していきます。

目次

介護付きマンションなんてあるの?

高齢化社会が以前より問題視され続けている国内では、介護に関する様々なサービスが展開されています。今回ご紹介する介護付きマンションも、その1つに数えることができるものです。

介護付きマンションとは

介護付きマンションは、高齢者や介護が必要な人々が住むための住宅施設の一種です。将来介護が必要になった時にも安心して生活を続けることができるよう、相応の設備を揃え住むことができる環境が整っています。

シニア向け分譲マンションなどと呼ばれることもあり、3,000万円から1億円といったように相場も様々です。全国には合計100件近くのマンションが並び、1万5千戸ほど存在しています。

シニア向け分譲マンションの特徴

一般的に、個室や1ベッドルームや2ベッドルームのアパートメントのようなプライベートな住居が提供されます。住宅施設はバリアフリーの設計や安全な環境を備えており、人の助けを必要としつつも、ある程度自分の力で生活できる環境が整っています。

入居対象としては主に富裕層をメインにしている所があり、その分サービスの内容に関しても非常に充実した内容になっています。通常のマンションのように管理人は常駐し、フロントではコンシェルジュ的な人物が常に受付をしてくれます。

また設備内容に関しても、フィットネスジム、レストラン、シアタールーム、温泉などといったように充実度合いは他の介護施設と比べても段違いとなっていて、ストレスなく暮らせる環境です。

加えて老人ホーム・福祉施設などと異なり、賃貸のような毎月の費用払いではなく分譲マンションを購入するような形式になります。その為一度購入すれば、入居先は物件となり所有する不動産としても扱うことができます。

シニア向け分譲マンション購入のメリット

介護付きマンションには、通常、居住者が必要な場合に介護サービスを受けることができる体制が整っています。これにより、高齢者や身体的な支援が必要な人々が自分の健康状態に合わせたサポートを受けることができます。

大きなメリットとして、設備の充実度合いも非常に高いものになっています。先にご紹介した一部の内容だけでもその度合いを推し量ることができるでしょうが、老後の生活をストレスフリーに暮らせる環境が整っています。

現在の物件数は100件前後となっていますが、今後とも分譲マンションは増加していくと予想されています。現在でこそ数はまだまだ少ないですが、相続できる介護施設という事で非常に魅力が高いといえます。

介護付きマンションに入居する条件はあるの?

この様に富裕層をメインターゲットにしている介護付きマンションですが、そこに入居するのもそれなりにハードルが高そうに見えます。そんなマンションへの入居条件として、主に2つの点が挙げられます。

介護付きマンションの入居条件①年齢

まずは、入居される方の年齢です。こちらに関しては物件ごとに条件が様々に分かれており、制限を設けていないところもあれば65歳以上といったように明確な年齢条件を設けている物件もあります。

基本的にはシニア向け、と枕詞にあるように、定年で退職をされた方であったりバリアフリー化された居住環境で安全かつ快適に暮らしたい、といったような高齢者の方々が住む場所となっています。

介護付きマンションには他の老人ホームなどのように、高齢者住まい法といったような法的定義が存在していません。これによって、各物件で年齢制限が設けられていたりそうでなかったりといった、各種それぞれの要件を設けているのです。

介護付きマンションの入居条件②自立度が高い

もう1つの条件として、入居する人の自立度が高いことが挙げられます。年齢制限に加えて、入居時の状態として他者の介護を必要とすることなく身の回りのことをすべて自分ができる状態である、という物を条件にしている所がほとんどです。

仮に認知症など、確実に介護が必要な状態という場合には、日常的なケアの体勢を整えていない介護付きマンションでは入居の要件を満たすことができない事があるのです。

もしも入居時には問題なくとも、入居後に介護が必要になった場合には物件によっては介護棟と呼ばれる専用のフロアに移動になるといったケースがある様で、外部の介護事業者と提携している場合にはそのケアを受けることも出来ます。

介護付きマンション入居にかかる費用の目安

介護付きマンションは老人ホームなどとは相当に異なる形態であるため、入居条件に関しても独自のものが設定されているところが多いのです。ここで、入居にかかる費用がどの程度になるのかも気になるところでしょう。

介護付きマンションの入居時にかかる費用

まず入居時に発生する費用についてですが、ここがほとんどとなっており新築のマンションへの入居を行う場合には数千万円から数億円という非常に大きな金額が必要になっています。

先に解説した通り、介護付きマンションというのは月額制というよりも物件を通常の分譲マンションのように物件として購入することになりますから、それと同じように初期費用が非常に高額になっている訳です。

新築ではやはり非常に費用が高くなりますが、中古物件も存在します。1,000万円台のところもありますし、一定の年収さえあれば通常の分譲マンションと同じく住宅ローンを利用することも可能です。

ただし、返済完了時の上限年齢を設けているところもあります。借りる際に既に50代や60代となると長期にわたる返済になるので、無理のない返済計画を立て余裕をもってプランを組む必要があります。

介護付きマンションの毎月にかかる費用

続いて、月額費用についてです。それぞれのマンションごとで月々に支払う金額は異なっていますが、基本的には住居費や管理費、修繕積立金に食費、利用する場合には外部介護サービス費なども加算されます。

それらの諸費用を加味して、月額としては約5万円から25万円ほどの間に収まるケースが多いとされています。通常のマンションと同様、住居費などに合わせて修繕積立金や管理費なども月額費用に入っています。

またサービスが充実しているマンションへの入居を行う場合には、それぞれのサービスの利用料なども発生することになります。もし介護が必要になった場合介護サービスも保険は適用されますが、1割から3割ほどは自己負担ということになります。

介護付きマンションで受けられるサービスは?

費用の中でも特に初期費用が非常に高額になってきますので、家を購入するのと同じような尺度で考えなければなりません。しかしその分、介護付きマンションで利用できるサービスの幅は非常に広いものになっています。

日常生活の支援はコンシェルジュや施設スタッフが対応

まず日常生活上の支援に関してですが、マンションのコンシェルジュや施設スタッフなどが対応を行ってくれます。ちょっとした買い出しなどが難しくなった場合など、生活の雑事を任せる事が可能です。

食事についても、ほとんどは施設内のレストランにて専属の料理人により栄養バランスの取れた食事内容が提供されますし、ホテルのルームサービスのような食事提供をしてくれる質の高い施設もあります。

このほか、趣味のために設けられているホビースペースがあったり、カラオケなどの設備についても半数以上の施設で導入されていたりと、日常的な娯楽に関しても非常に充実しています。

医療・介護サービスは提携されている

続いて、医療や介護サービスに関してです。介護付きという枕詞が付いていますが、実際には居宅介護支援、すなわち訪問看護との提携が行われており、指定の業者が必要に応じて訪問し介護を行う形となっています。

もしくはすでにお世話になっているホームヘルパーが居る場合には、指定の業者ではなくそちらを呼ぶといったことも出来るなど柔軟性は高いものになっています。施設によっては、マンション1階に介護ステーションを設けているところもあります。

医療体制に関しても、地域の病院、看護ステーションなどと同じく提携を行っています。定期的な健康診断をはじめとして、実際に医療が必要になった場合にも緊急対応を行ってもらえます。

緊急時の対応や安否確認などの見守りもある

医療のサービス定型でも既に触れていますが、もし緊急の対応が必要になった場合には救急車の手配やかかりつけの医師への連絡等の対応をしてもらえます。調子を崩した程度であっても、フロントスタッフが家族へ連絡してくれます。

また、通常時の安否確認については入居者に対して施設に常駐しているスタッフが定期的に行っているところが多いです。もし安否に変化があれば、すぐに緊急対応が行われたり家族へと連絡が行われます。

昨今は部屋に生活安全センサーが備わっており、入居者の生活動作が一定以上ない場合には施設のスタッフ側に連絡がいき、安否確認が行われるといったような機能が完備されているところもあります。

優れた設備・サービスが整い食事の心配もない

シニア向けの分譲マンションにおいては、居住する高齢者が暮らしやすいようバリアフリー化が行われています。居室面積についても、35~100㎡の広々した場所になっています。

間取りに換算すると2LDK、夫婦二人がそろって広々と暮らすことができるだけのレベルの広さになっており、キッチンや浴室、トイレといった生活に必要な設備ももちろんすべて揃っています。

居住場所にキッチンがあるという事で、自炊をするのか外食をするのかは完全に居住者の自由となっています。自分で作りたければ自炊ができますし、その気がなければレストランなどの施設を自由に利用できます。

レストランや食堂は9割5分近くの施設に設けられており、そのほかのゲストルーム、カラオケ、図書館といったような娯楽施設や設備も多くのマンションで豊富に設置されています。

介護付きマンションとサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は何が違うの?

この様に、介護付きマンションは非常にサービスが充実した施設であるという事がお分かりいただけたかと思われます。ここで、サービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住とはどんな相違点があるのかを解説します。

充実した生活環境の介護付きマンション

まず、介護付きマンション、シニア向け分譲マンションは生活環境の充実度合いが非常に優れています。これまでにご紹介してきた通り、日常生活の家事等全般をマンションのスタッフに任せる事が可能です。

そしてカラオケなどをはじめとして、娯楽設備についても豊富に設けられている施設が多いです。第二の人生をアクティブに楽しむための場所として設けられている面が大きく、レクリエーションやエンターテインメントなどのイベントも多く行われているようです。

こうした居住者の直接の生活に関するサービスの提供については、サ高住では100%無い訳ではありませんが介護付きマンションと比べると劣ります。

加えて分譲マンションと同じ括りになりますので、仮に居住していた高齢者が亡くなった、退去したという場合であってもそのまま不動産資産として持ち続けることができるため、子どもや親族に残していけるのです。

高齢者が入居しやすく生活しやすいサ高住

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者や高齢者向けのケアやサポートが必要な人々のために提供される場所です。高齢者が安全で快適な環境で自立した生活を送りながら、必要に応じてさまざまなサービスを受けることが可能です。

一般型と介護型という2種が存在しており、この内介護型では24時間いつでも介護サービスが受けられます。介護付きマンションと比べると、入居難易度も低めになっています。

介護については一般型は外部サービスを利用することになります。介護型は要介護の段階に応じて毎月定額の支払いが発生します。

どちらも入居する際には一般の物件と同様に賃貸契約を結びますが、契約方式は「建物賃貸借方式」と「終身建物賃貸借方式」があります。前者なら亡くなった場合に遺族が引継ぎを行い、後者の場合は亡くなった時点で契約が終了します。

サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンションの違い一覧

内容サ高住シニア向け分譲マンション
契約方式賃貸借契約所有権方式
入居時の費用0~27万円数千万円~1億円
月額費用11.1~20万円10~30万円
居室キッチン、洗面、トイレ、浴室など一般的な分譲マンションと同じ
サービス安否確認、生活相談、生活支援サービス安否確認、生活支援サービス 緊急時の対応など

介護付きマンションは資産などに余裕がある高齢者におすすめ

介護付きマンションとはどういうものか、その特徴や入居条件・費用・受けられるサービスなどについて解説しました。介護付きマンションは、高齢者や介護が必要な人々にとって、快適で安全な環境での生活を可能にし質の高い介護サービスを提供する場所です。

充実した生活支援サービスを受けることができますが、入居にあたって高額な費用が発生するなど富裕層を入居対象としていることがほとんどです。資産に余裕があって、優雅なシニアライフを送りたい方は是非検討してみてください。

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