生活をしていくうえで、仕事をしてお金を稼いだり、栄養のある食事を摂ったり、部屋をキレイにして生活環境を整えたりすることは当たり前の行動だと言えるでしょう。しかし、自分自身に対してこのような行動に無関心になる、放置してしまうといったセルフネグレクトになっている方が増えているようです。この記事では、セルフネグレクトについて、高齢者セルフネグレクトが起こる原因と対処法を解説します!

目次

セルフネグレクトとは

「セルフネグレクト」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?セルフネグレクトになっている高齢者が多く存在し、若者にも影響を及ぼしている傾向があります。セルフネグレクトについて詳しく見ていきましょう。

セルフネグレクトの意味

ネグレクトには、「無視する」「世話を怠り放置する」という意味があります。育児放棄や高齢者の介護放棄などによく使われることが多いので、知っている方も多いでしょう。

ネグレクトにセルフがつくことで、無視をする・放置するといった行動を自分自身に行ってしまうことを言います。生活能力に欠けてしまい、意欲も失われるため、普通の生活を続けていくことができなくなるのです。

相手とコミュニケーションを取ることもなくなり、もうどうなったっていいと自暴自棄になってしまいます。このような状況になっても、自分で助けを求めることもしないので、周りがセルフネグレクトに陥っていると認識することは難しく、改善するどころか状況は悪くなっていく一方です。

セルフネグレクトの特徴

セルフネグレクトになると、自分のことは一切しなくなります。例えば食事を摂ることが疎かになるために栄養状態が悪くなる、お風呂に入らないために不衛生な状態が続く、掃除や片付けをしないために部屋中にゴミが溢れてゴミ屋敷状態になってしまうといったことがあります。

改善するためには周りのサポートも必要になってきますが、拒否する方もおり、現状は変わらずといった状態が続いてしまいます。自身の安全や健康を守ることを怠ってしまうため、孤独死してしまうリスクも出てくるのです。

セルフネグレクトの事例

セルフネグレクトの事例としては、「ゴミ屋敷に住んでいる人」「ひどい汚れやボロボロになった衣服を着ている人」「医療サービスを受ける必要があるのに拒否する人」などが当てはまります。

ゴミが散乱しても気にしない、ゴミをゴミとは思っていないということから、判断力や意欲の低下、身体能力に欠けてしまう部分があると言えるでしょう。

そのため、片付けなくてはいけないという気持ちが芽生えず、必要なものとしてどんどん集めてしまい、片付けられなくなってしまうのです。判断力が低下してしまうのは、認知症による影響であることも大きいです。

「医療サービスを拒否する」ことにも当てはまりますが、周りからサポートされることを拒むため、なかなか現状を解決することができないといった場合も多いと言えます。

高齢者がセルフネグレクトに陥る原因

セルフネグレクトは何が原因で起こるのでしょうか。セルフネグレクトになってしまうと、自分で助けを求めることをしないため、周りも気づかないことが多いです。

悪い方向へと進んでいく可能性が高いので、原因を探り解決策を見つけていくことが大切です。高齢者がセルフネグレクトに陥る原因についてご紹介していきます。

原因①身体機能の低下によるもの

年齢を重ねるとともに体が言うことを聞かなくなり、身体機能の低下によるものでセルフネグレクトに陥ってしまう場合があります。まだまだ元気だと自分では思っていても、若い時のようには動くことはできなくなるのです。

生活意欲はあるのに、筋肉の衰えによって重い物が持てなくなることで片付けや掃除ができなくなってしまったり、買い物に行くことも難しくなってしまうでしょう。また、加齢により背骨が曲がることで高い場所に手が届かないなど、セルフネグレクトになる原因を作ってしまうことが考えられます。

原因②判断力の低下によるもの

脳に影響を及ぼすことで物事の判断ができなくなることも、セルフネグレクトの原因になっていることがあります。判断力が低下する病気としては、認知症精神疾患が挙げられます。

65歳以上では認知症と言われていますが、若い人でも若年性認知症になる場合もあり、高齢者に限ったものではありません。高齢者になるほど認知症になりうる可能性も高くなりますが、いずれにしても脳に影響を及ぼすことで判断力が低下してしまいます。

何をしたら良いのかわからない、どれが必要なものでいらないものなのかわからず捨てる判断ができなくてゴミが散乱してしまうなど、セルフネグレクトに発展するのです。

原因③経済的な貧困によるもの

セルフネグレクトに陥る原因としては、経済的な貧困によるものが挙げられます。生活していくうえでお金は必要不可欠です。しかし、経済的に生活していくのが困難になってしまうと、暮らしを支えていくことが難しくなってしまうでしょう。

どうしても苦しくなって生活ができなくなれば、生活保護を受けることだって可能です。限界が来る前に助けを求めることができれば良いですが、できなかった場合さらに苦しい状態が続き、セルフネグレクトになってしまいます。

限界が来てからでは遅く、周りに頼ることも必要になってきます。セルフネグレクトが加速してしまうと、命の危険性もでてきてしまうでしょう。

原因④社会的な孤立によるもの

社会的な孤立によるものでセルフネグレクトに陥ってしまう場合もあります。社会から孤立してしまう状況として考えられることは、熟年離婚パートナーや家族との死別退職などが挙げられます。

今までは家族がいて幸せな生活を送っていたのに、急に一人ぼっちになると寂しさが襲ってくるものです。悲しみからなかなか抜け出すことができず、何も考えられなくなり生きる意欲を失ってしまいます。

また、仕事が生きがいだったのに退職することで虚無感に襲われるようになります。もう社会では自分は必要とされていないと意欲が低下してしまい、セルフネグレクトに繋がっていくのです。

原因⑤家族からの虐待によるもの

子供が高齢である自分の親に対して、精神的・身体的な虐待をしているケースも増えています。これは介護による疲れやストレスからくることが多いとされています。家族からの虐待によって、セルフネグレクトになってしまう可能性も高くなるのです。

高齢化により身体能力も低下しているため、家族から虐待を受けても抵抗することもままならなくなってしまうでしょう。

それ以前に、暴力や暴言を吐かれているにも関わらず、「自分がこんな体だから悪いんだ。申し訳ない。」と自分を責めてしまうようになり、虐待されていても誰かに助けを求めることも難しくなるのです。

虐待が続いていくと、「自分がいれば迷惑がかかる」「これ以上生きていても意味がない」と思うようになります。自分さえこの世からいなくなれば周りは幸せになれると考えるようになり、死を選択してしまうといった最悪の結果になることもあるのです。

セルフネグレクトに陥った際の対処法

セルフネグレクトに陥ってしまった場合、どのように対応していけば良いのかわからないという方も多いでしょう。対処法を実践することで、セルフネグレクトから解放されることも多くなります。セルフネグレクトに陥った際の対処法についてご紹介していきます。

対処法①本人と話をする

セルフネグレクト状態になっている場合、周りに助けを求めることはせずに状況が悪化していきやすくなります。まずは、本人と話をしてどう思っているのか本音を聞き出すことが大切です。

ゴミ屋敷になっているならどうしてゴミを集めてしまうのか、サービスを受けないでいるのは何故なのかなど話をする場所を設けるようにしてみてください。お互いに信頼関係を築けるように、本人に心を開いてもらうことが必要になってきます。

初めは何も語らないかもしれませんが、イライラせずに穏やかな表情で相手と向き合うようにしましょう。この時、相手の発した言葉に対して否定することは避けてください。

話にしっかり耳を傾けて、「この人はなんか話しやすいな」と思ってもらえれば、セルフネグレクトから抜け出す方法にも真剣に耳を傾けてくれるようになるはずです。

対処法②治療をする

認知症や精神的な疾患が原因で判断力が鈍り、セルフネグレクトになる場合があります。病状が進むにつれて状況は悪化していくため、医師に相談し、適切な治療を受けることが必要になってきます。

しっかり治療をすると、病気の進行が早まらないようにすることが可能です。今後どのような支援が必要になるかは、家族間で十分に話し合って、セルフネグレクトから脱却することが大切です。

対処法③適切なサポートをする

セルフネグレクト状態になっている人は、一人ではどうしようもないと思っていながらも、周りに助けを求めることはせずに徐々に状況が悪化していきます。そのため、周りもなかなか気づけないという方も多い傾向にあります。

もし家族や友人など周りに困っているのではないかと思う人がいれば、支援センターに連絡してお願いするなど適切なサポートをすることも対処法の1つです。支援センターからどう対応していったら良いのかアドバイスをもらうだけでも、解決策へとつながっていくでしょう。

セルフネグレクト状態になっている人は、相手に対して警戒心を持っていることも多く、心を開かないという場合があります。そういった場合は無理に介入することなく、本人の気持ちが落ち着く方法を一緒に思案していくことも大切です。

対処法④片付け・引っ越しをする

セルフネグレクトに陥った際の対処法として、片付けや引っ越しをすることが挙げられます。ゴミ屋敷となっている場合、ゴミと思っていない判断能力の低下からきている可能性があります。

ゴミを集めることによって片付けができない状態になり、いつの間にかゴミ屋敷と化していることもあるのです。ここは思い切って片付けてリセットすることで生活環境が一変します。

また、人間関係によるストレスや疲れ、家族との死別があることでセルフネグレクトになっている場合は、引っ越しをすることも効果的です。

今までと環境が変われば、すっきりとした気持ちになり、心機一転一から頑張ってみようというやる気が起きたり、何か新しいことに挑戦したいという意欲も沸いてくるでしょう。

対処法⑤介護サービスを受ける

高齢になると、身体機能や判断力の低下などから思うように行動できないことも多くなります。周りに頼る相手がいれば良いですが、お風呂やトイレなど自立できていなければ日常生活を維持していくのが困難になってしまいます。

そこからセルフネグレクトに発展していく可能性も高くなるのです。セルフネグレクトの対処法として、介護サービスを受けることが挙げられます。要介護の認定を受ければ、介護サービスを利用することができます。

介護サービスでは、自宅に訪問をしてお風呂やトイレなどの介護を行ったり、デイサービスを利用することが可能です。

一人でお風呂やトイレができないとなると衛生面でも心配になってきますが、介護サービスを受けて入浴させてもらえたら衛生面でも改善させることができ、自立した生活に目を向けることもできるようになります。

また、介護サービスを利用する条件に当てはまっているのに、認定を受けていないという高齢者もいるようです。体が思うように動かなくて申請に行くことができないという場合もあるのではないでしょうか。

必ずしも本人が申請に行かなければいけないというわけではなく、そういった場合は地域包括支援センターに話をすることで、要介護の申請を代行してもらうことができます。

セルフネグレクトの予防法

セルフネグレクトになると、日常生活を維持していくのは困難になり、悪影響を及ぼしてしまいます。セルフネグレクトにならないようにするためにはどうしたら良いのか予防法についてご紹介していきます。

予防法①一人にしない

高齢者の中には、配偶者の死別や子供は結婚して独立していることから、孤独な生活を送っている方も多いでしょう。

一人でいることに寂しさを感じているものの、周囲に頼らずに生きている人は誰にも気づかれずにセルフネグレクトになっている可能性があります。状況は悪化の一途をたどってしまうので、予防法として一人にしないことが大切です。

周囲とのコミュニケーション、周りに一人暮らしの高齢者が住んでいる場合は心配りをする、高齢者の家族がいる場合はたまに自宅の方に顔を出すなど配慮することで、精神的にも身体的にも落ち着いた生活を送ることができるようになるでしょう。

予防法②役割を与える

セルフネグレクトの予防法として、役割を与えることも方法の1つです。仕事をしたり、家庭内での簡単な手伝いなどでも良いので、自信をつけさせることが必要になってきます。

責任があること、周りに頼りにされていることは自分への自信へとつながり、「必要とされている」ことを意識することができるようになります。したことに対して「ありがとう」と感謝の気持ちが返ってくれば、自分は認めてもらえていることに気づけるはずです。

誰でもセルフネグレクトになる可能性はある

高齢による身体機能や判断力の低下、社会的な孤立などからセルフネグレクトになってしまう傾向にあります。また、認知症や精神的疾患からなることもあり、病気の場合は医師に相談をして適切な治療を行うことが大切です。

高齢者に限らず、誰でもセルフネグレクトになる可能性はあるので、辛いと感じた時は一人で抱え込まず、周りに相談するなどして社会との関係を作っていくことが必要になってくるでしょう。

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