介護の業界というのは、人材不足が叫ばれて久しいです。そういった業界であるゆえに様々な問題を抱えている訳ですが、その中でも老老介護や認認介護といった問題が生じており、年々増加しています。今回は、老老介護や認認介護とはどんなものなのか、その対策などを解説します。

目次

高齢者老老介護・認認介護とは

介護業界は人手不足であるゆえに様々な問題が浮上している訳ですが、今回ご紹介する老老介護や認認介護も、それらと並んで問題視されているものです。まずは、それぞれがどんなものなのかを解説します。

老老介護の実態

まず、老老介護についてですが、65歳以上の高齢者を同じ65歳以上の高齢者が介護している状態を指します。高齢者が同じ高齢者を介護していることになり、介護者と被介護者が同居している世帯のうち、65歳以上同士は6割以上となっているのです。

65歳位を超えている夫を同じく65歳以上の妻が介護している、といったものや、65歳以上の親を65歳以上の子供が介護している、という状況も老々介護に当たり、とにかく高齢者同士の介護となります。

認認介護の実態

続いて認認介護というのは、認知症の人が同じ認知症の人を介護している状態を指します。そしてこの定義としては、介護者、および被介護者がともに65歳以上となっているので、老老介護かつ認認介護になるのです。

認知症自体、脳に疾患を患っていたり、脳に障がいが生じる事が原因となって引き起こされます。日常生活においても大きな影響を及ぼすために良く知られていますが、この認知症同士の介護というのがどれだけ問題なのかは、想像に難くないでしょう。

高齢者の老老介護・認認介護の問題点

介護といえば、健常な人が高齢者をサポートするというのが一般的なイメージかもしれませんが、現状として老老介護や認認介護というケースは少なくありません。続いては、これらの具体的な問題点について述べていきます。

問題点①身体的負担

真っ先に挙げられるのが、身体的問題に関するものです。高齢者ともなれば、必然的に若い世代よりも体力的な衰えは大きいものです。介護自体、健常な人にとっても少なくない負荷を強いられますが、高齢者ともなればその負担はより大きくなります。

特に、入浴介助、排せつ介助、移動や移乗の介助というのは頻度が大きく、それでいて足腰への負担も高いものです。体力的な衰えによって、介護をする側にも転倒などのリスクが向上しますから、これを高齢者が介護していればどこで共倒れになってしまってもおかしくありません。

問題点②精神的負担

身体的な問題があれば、相対する精神的な問題も当然ながら生じています。先に述べた通り身体的な負担が増加しているのは明らかですが、これによって介護1回に要する時間も膨大なものになります。

一度の介護に長く時間をかけてしまっていては、介護をしている側も疲弊してしまいますし、周りの人との交流の機会も減少します。外部からの助けを借りるのも難しくなり、自分一人でどうにかしなければならないというのは小さくないストレスとなるのです。

また、毎度介護をしていて自分がリフレッシュをする時間や機会を得られず「介護うつ」の状態に陥ってしまうリスクも考えられます。

問題点③共倒れになりかねない

恐ろしいのが、共倒れになってしまいかねないという問題です。老老介護にしても認認介護にしても、高齢者が同じ高齢者の介助をするものです。先に解説したように、身体的、精神的にかかる負担は相当なものとなります。

若い体であればまだ身体的な余裕もあるので耐えられる可能性はありますが、介護される側と同じ高齢者となればそうはいかず、負担に耐え切れなくなって介護者が先に根を上げる可能性が高いのです。

介護者が倒れてしまっては当然被介護者を介助する人が居なくなってしまうので、生活もままならなくなります。特に認知症同士の認認介護の場合、お互いの体調管理も難しくなります。

認認介護はより深刻

共倒れの中でも少し触れていますが、やはりというべきか認認介護は一般的な老老介護よりも深刻な状態に陥っています。ただでさえ、老人同士の介護となる老老介護でも心身への負担は非常に大きなものになります。

その上で、お互いが認知症同士というケースとなると、服薬や食事の管理といった基本的な介護についてもままならなくなりますので、被介護者も十分な介助を受けられずに体調を崩す可能性が高まります。

他にも金銭感覚がお互いに分からなくなって管理が出来なくなってしまったり、火事が起こった、被介護者の体調が急変したといった緊急時の対処も出来なくなります。

高齢者の老老介護・認認介護の増加原因

ただでさえ介護というのは相当に負担のかかるものである上に、老老介護や認認介護ともなればその危険性や問題の度合いも跳ね上がります。ならば、そうなる前に対処すればよいのでは、と思うかもしれません。

原因①核家族化

原因として考えられるのは、まず核家族化が挙げられます。核家族というのは、夫婦とその子供だけで成り立っている家族の事であり、親の親、すなわち子供から見た祖父や祖母とは別居している世帯が増加しました。

子供世帯と近い距離に住まいがあるのならば、まだ助けを受けられたでしょう。しかし全部がそういったケースとはならず、遠方に住んでいれば当然助けは簡単に受けられません

中には自分の子供に介護をされる事自体に不甲斐なさなどを覚えてしまうので、負担になるのなら配偶者に介護されるのを望む人もいる様です。

原因②少子高齢化

もっと根本的な所を言えば、少子高齢化が原因となります。既に問題と言われていて久しいものですが、日本は医療技術の発達や介護サービスの普及、増加によって長寿化した社会であり、子どもの数は年々減少していっています。

子どもが居たとしても、実際に介護が出来る子供が居なければ高齢となった親が介護に当たらざるを得なくなります。社会的な問題も、老々介護、および認認介護を加速させている理由の1つなのです。

原因③現行の保険制度

当然日本にも各種の保険制度が設けられていますが、そこにも問題はあります。というのも、現行の介護保険制度というのは、介護者が若く介護をするのに十分な体力を有している家族を前提として組み上げられています。

それゆえに、家事の介助といった比較的軽めのサービスは必要ないという想定がなされています。勿論高齢者同士の介護が増えた現在において、それがそのまま当てはまるわけもなく、現状の介護保険制度が現実に即していないのです。

原因④金銭的な理由

もっと言えば、金銭的な理由も原因に数えられます。介護が必要ならばわざわざ同じ高齢者に頼らなくても施設に入れればよい、というのが一般的な解決策として思い浮かびそうですが、全員が全員施設を利用できる余裕があるとは限りません。

単純に金銭的余裕が無い、生活保護を受給しているといったケースが考えられ、年金を受けつつの介護をするという選択肢を取るしかなくなります。すなわち、リスクを分かっていながらも、誰にも頼れないのです。

高齢者の老老介護・認認介護を防ぐためには

非常に深刻な問題となっている高齢者同士の介護ですが、これは実際にこの日本で減算進行形で発生し続けている問題なのです。最後に、老老介護や認認介護を防ぐために考えられる対策をご紹介します。

対策①子供を頼る

老老介護、認認介護問わず、問題が起きた場合には子供も無関係を貫くわけにはいかなくなります。仮に高齢者側に自分の子供に介護される事に対して抵抗があったとしても、そのままでは共倒れ等の深刻な問題を起こしかねません。

それよりも、最初から子供に頼れる部分は頼っておいた方が、まだ影響としては小さいものになります。また、子ども側も兄弟姉妹が居るなら、それぞれで相談して体力、金銭的に無理のない介護を実践するべきです。

対策②介護知識を身に着ける

介護のスキルを有していないために、介護をする側に心身のストレスがかかってしまうところは大いにあります。ならば、介護を自分がするのを想定して事前にスキルを学んでおくのです。家族向けの介護教室なども、自治体などで開催されています。

対策③健康的な生活を送る

そもそも介護の必要を減らすべく、健康的な生活を意識するのも対策になります。たとえ介護が必要になろうと、要介護度が低いうちに運動を取り入れる等実践すれば、介護者の負担が大きい寝たきり状態になるのを防げます。

老老介護は問題多数!家族との相談も必要!

老老介護にしても認認介護にしても、当人同士だけの問題ではありません。家族やもっと言えば自治体などとも相談をして、如何に無理のない介護を実現できるかが大切ですので、事前知識として覚えてみてください。

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