介護の仕事は高齢者が増える現代では需要が高く、今後も必要とされる仕事の1つです。介護職の大変さは多く語られていても、介護の職場の人間関係までは詳しく分からない方も多いのではないでしょうか。ここでは介護職の人間関係の実態、そして困った時の対処法をご紹介してまいります。介護職に就きたい方はぜひチェックしてみてください。
介護現場の人間関係はどう?
仕事をしていると接客や営業など、多くの人と接する職業もあれば、職場の数人しか接しない、ほぼ人と関わらないという職場など様々です。介護の現場では、勤務先の規模にもよりますが、比較的広い人間関係があります。介護現場の人間関係について詳しく見て行きましょう。
介護現場の人間関係①同じ職場の職員
まずは同じ職場の職員です。介護の現場は介護職の正社員だけでなく、看護師や医師、理学療法士など様々な職種の方がいる現場や、パート勤務の方が多い事業所など様々で、グループホームやデイサービスなど事業所規模が大きい所には当然ながらスタッフの人数も多くなります。
仕事内容が異なる方たちと連携を取りながら仕事を進めていかなければならない状況ですが、スタッフ間の人間関係で悩む方も多くおられます。協力しなければならないのに協力しない人がいたり、キャリアが上だったり資格のあるなしで強い態度を取られた、仕事への向き合い方や考え方、価値観がそもそも違うことなどで、悩むことが多いようです。
介護現場の人間関係②施設の利用者
施設の利用者との関係は、穏やかに話せる方もいれば、常に不機嫌であったり声をかけても反応してくれないなど、様々な状況があります。また、相手によっては自分にだけ話しかけても無反応、介助を嫌がられるといったことから、良い関係が築けていないと悩む方もおられます。
利用者のその日の気分やその方の性格などもあるため、どの距離感が良いのかはやはり慣れるまでは感覚をつかむのは難しいかもしれません。
介護現場の人間関係③利用者の家族
介護職の現場では、利用者の家族とも関わることがあります。訪問介護では特に関わりも多くなります。利用者の家族は、利用者がより良いサービスを受けて欲しいと言った気持ちがあることも多く、これもしてほしい、ああして欲しいなど無理難題を言ってくることもあります。
また、家族でしたくないことまで介護施設の方でやってくれと言ったり、出来ないと断れば文句や嫌味を言われるケースもあるようです。
介護現場の人間関係が悪くなる理由
ここからは介護現場の人間関係が悪くなる理由をご紹介していきます。人間関係が悪い職場は介護現場だけではありませんが、介護の現場ではよくある理由もあります。これから介護の仕事に就こうと思っている方や介護職にすでに就いている方も、ぜひチェックしてみてください。
理由①人手が足りていない
理由1つ目は、人手が足りていないからです。介護の現場では慢性的に人手不足になっており、仕事の大変さや給料の安さなどからも離職率も高くなっています。多くの現場では人手不足で1人1人の仕事量や負担も多くなって、体力的にも精神的にも自分に余裕がなくなり人間関係もギスギスした状態になりがちです。
助け合うこともなく協力する体制もないと、気持ちの面だけでなく事故などのトラブルも起きやすくなります。
理由②女性の比率が高い
2つ目は、女性の比率が高いからです。男性も介護職に就いている方はもちろんおられますが、介護労働実態調査からも男女比で女性の方が圧倒的に多いのが実情です。女性が多い職場では、ベテラン職員の派閥があったり、やはりグループになってしまうことが多いです。
グループで仲が良い人がいるだけならいいですが、女性が多い職場ではいじめが起きやすく、派閥によるいじめがあったり、グループが別だと悪口を言われたりする場合もあります。また、業務に差し支えるような嫌がらせをしてくるケースもあり、学生時代より陰湿ないじめが起きる職場もあるようです。
理由③看護士との対立
最後は看護師との対立です。介護の現場では様々な業種の方と仕事をする現場も多く、看護師が常駐する職場もあります。看護師と介護士では、それぞれ業務の違いはあるものの、本来は協力して多方面からサポートしていく関係が望ましいです。
しかし、看護師は医療や健康管理の面から、介護士は利用者の日々の生活の面から、考える方針も違うため意見が対立してしまうことがあります。どちらもより良いケアを目指していても、対立すると関係が悪くなってしまうようです。
介護現場の人間関係を良くする方法
介護職に就いて、人間関係が悪くて我慢している方や、これから介護職に就く方も人間関係を諦める必要はありません。嫌な人が全員退職するような奇跡が起きたとしても、働く環境が悪い職場では新たな悪い問題も起きやすいでしょう。
ここからは介護現場の人間関係を良くする方法をご紹介していきます。仮に良くない職場に当たってしまっても、乗り切る方法として身につけておくとあなた自身が楽に仕事が出来るはずです。
方法①割り切る
方法1つ目は、割り切ることです。それなりに人数が入れる職場なら、介護職に限らず合わない人がいてもおかしくありません。合わない人とも一緒に仕事をしなければならない場合は、必要以上に関わらず、仕事だからと割り切って接すると自分自身が必要以上に悩まずに済むでしょう。
ただ、仕事で必要な報告や協力といったことはしっかりしておくと、後々なにか責められるようなことがあっても、やるべきことは自分はやっていたと言えます。相手を変えるのは無理なので、気にしないことが精神的に楽でしょう。
方法②悪口や噂話を無視する
2つ目は、悪口や噂話は無視することです。女性は悪口や噂話で盛り上がることがよくあります。同調しないと相手を怒らせたりいじめられる場合もあり、同調できない話にうんざりする方もおられます。
便乗して同調すると、あの人もあなたの悪口を言っていたと噂を流したり告げ口をする、質の悪い人もいたりするので、しんどいからと話を合わせてしまうのも危険です。悪口や噂話が出た場合は、無視するのが一番です。
どうしても聞かなければならい状況だった場合は、同調、賛同せずに知らなかった、初めて聞いたという体で話を聞いたり、相手の言ったことをオウム返しで返答すると、相手を怒らせずに賛同もせずに済むでしょう。
方法③やり取りを記録する
やり取りを記録することも、関係が良くない状況には有効です。今日はこういったことを言われた、自分はどう思った・どう返答したなど、些細なことでもやり取りを記録してみると、その時は気付かなかったことも、冷静になると分かることもあります。
時間に対して怒る、自分が優先されないと不機嫌になるなど、相手のパターンが読める場合もあります。また、他の方でコミュニケーションをしっかり取れている方を参考にして比較してみると、自分で改善できる点に気付けるかもしれません。
方法④自分のことをオープンにする
最後は自分のことをオープンにする方法です。何から何までベラベラと自分のことを話す必要はありませんが、自分の子供の頃の話や家族の話、些細なことでもいいので、自分のことを話してみると、相手と共通点が見つかったり、話が盛り上がって打ち解けてくる可能性があります。
もちろんマウントを取るような話や相手が不快に感じる話はもちろんNGで、聞いてもらって自分が気分がいいような話は避けましょう。
それでも人間関係が改善されない時の対処法
様々な手を打っても、相手も人間なので自分の思うようには変えられません。関係の悪い人が辞めたり変わってくれることを期待するより、自分が行動したり変わる方が早く効果も出るでしょう。それでも人間関係が改善されない時の対処法をご紹介します。
対処法①働く施設を変える
1つ目は、働く施設を変える方法です。施設を変えると人間関係もリセットされるので、一から関係を築いていけます。もちろん、新しい職場でも苦手な人はできてしまうかもしれませんが、これまでよりいい人間関係の施設の可能性もあります。
介護の現場は人手不足なので、経験者とあれば採用される可能性も高いので、新しい職場探しはそこまで苦労しないで済むはずです。また、同じ会社で他の施設も運営しているようであれば、異動させてもらうのもおすすめです。
対処法②介護職から離れる
もう1つは、介護職から離れることです。人間関係のみが悩みであれば施設を変えるのがおすすめですが、介護職自体ももう続けらないほど嫌になってまう方もおられます。そういった場合は転職を考える必要があります。
ただ、介護職に関わる資格を持っていても、転職するとその資格が生かせなくなる場合も多いでしょう。介護のやりがいやこれまでの経験、資格のことも良く考えた上で、介護職から離れるかを決めてみてください。
介護現場でより良い人間関係を築こう
介護の職場の人間関係や改善方法をご紹介してまいりましたが、もちろんご紹介したような悪い関係ではない職場もあるでしょう。やりがいもある仕事なので、人間関係が悪くても続けたいという気持ちのある方も多いはずです。
人間関係に悩んだら、まずは良い関係が築けるよう、自分でできる事を実践してみてください。ちょっとしたことで、関係に明るい兆しが見えるかもしれません。