福祉用具専門相談員という仕事をご存じでしょうか?高齢者、および障害のある方が安心して生活するためには無くてはならない職業なのですが、実際にはどんなことをしているのでしょうか?本記事では、福祉用具専門相談員の仕事内容、そして給料事情などについて解説します。

目次

福祉用具専門相談員とは

福祉用具専門相談員というのは、文字通り福祉用具を必要とされている方の相談に乗ったり、アドバイスを行う専門家になります。介護士などとは異なり国家資格ではなく、制度によって福祉用具を貸与する事業所では相談員を最低2名配置する事が義務付けられています。

最近では、高齢者施設をはじめとする福祉用具を直接必要としている施設、制度で決められた事業所のみならず、高齢化が進んでいる日本国内の事情に合わせて様々な場面において需要が高まっているのです。

福祉用具専門相談員の仕事内容

そんな福祉用具専門相談員の主な仕事としては、福祉用具の使用を求めている方、および家族やケアマネージャーといった方からの福祉用具関係の相談を受け、それに対してアドバイスをするのが最も大きいです。

利用者、利用検討をされている方の生活環境などを考慮し、適している福祉用具を選択、介護保険制度において利用するならば、ケアプランと呼ばれる使用に関する計画書を作成します。

そして、実際に使用する方に対しての用法の説明、および細かい調整などをし、その後は定期的な訪問をしてメンテナンスなどにも携わります。

福祉用具専門相談員に必要な資格

介護なら介護士、社会福祉全般なら社会福祉士というように、介護関係の仕事には得てして資格が必要です。実は福祉用具専門相談員には特定の資格を取得しなければ仕事が出来ない、といった決まりはありません。

ただし、全国の知事が指定する各事業所に従って、福祉用具専門相談員指定講習というものを受講する決まりがあります。これをすべて受け、最後に実施される試験に合格すれば、晴れて相談員としての仕事が出来るようになります。

もしも、既に介護福祉士や社会福祉士をはじめとする福祉関係の資格を保有しているのであれば、この講習を受けなくとも相談員の仕事に就けます。

福祉用具専門相談員の年収・給料は?

福祉用具専門相談員がどんな仕事をしているのかについて、簡単にではありますが解説してきました。介護関連の仕事というのは大変と聞くでしょうが、気になるのはその年収や給料についてです。

男女で給料は異なる?

まず、基本的な福祉用具専門相談員の年収というのは、約250万円から350万円ほどであるとされています。男女別で差があるのかといわれると、実際にはそこまで給料差は無い様なのです。

若い時にはやはり男性の方が体力的に勝るところがあるので、月給換算で1万円から3万円程の違いはあるとされますが、それが50代までと続いていくと差はほぼほぼなくなると考えて良いでしょう。

他の職種ももちろんそうですが、年々経験値が上がるのに合わせて給料も上がりますし、男性なら40代、女性だと50代が一番給料が高くなります。また、女性であっても専門性の高い資格があれば、その分のプラスを見込めます。

地域で給料は異なる?

続いて地域ごとの給料についてですが、一般的には事業所数、および人口が多い場所の方が年収は高くなるので、関東が最も平均年収は高くなるようです。その中でも特に神奈川県が最も高く、364万円となっています。

ですが、福祉用具専門相談員に関しては北海道が全国の平均よりも高くなっているようで、これに関しては単純な事業所数や人口の多さなどではなく、複数の事業所を運営している企業の好待遇が起因しているのではと考えられます。

対して、最も給与の水準が低い結果になっているのは山形県であり、年収としては約255万円となります。神奈川県と比べてみると、年収差額は110万円近くになります。

一般の介護職員と給料は異なる?

では、一般の介護職員との給料差はどうでしょうか?介護労働安定センターが実施した2016年の介護労働実態調査によると、福祉用具専門相談員の資格を有している方の平均月収は約21万円となっていました。

対して、介護職の資格となる介護福祉士の平均月収が19.2万円となっており、実務者研修の方の場合は18.8万円、初任者研修の方が16.1万円なので、介護職員と比べるとやや高めであると分かります。

福祉用具専門相談員というのは、残業があったり休日の出勤というのもありますので、そうした点でも介護職員とは年収に差が出やすいのでしょう。

福祉用具専門相談員の給料をアップするには

そんな福祉用具専門相談員が給料を上げたい時に取れる手段としては、まず好待遇な事業所への転職が挙げられます。特に大手事業が運営している施設なら、給料だけでなく福利厚生も待遇が良く、ほぼ確実に給料アップを狙えるでしょう。

2つ目に、関連資格の取得があります。主に「福祉用具プランナー」「福祉用具選定士」といった資格は、福祉用具に関するエキスパートという扱いになります。カリキュラム形式で、修了すれば証明書が発行される仕組みです。

福祉用具専門相談員の魅力

大まかにではありますが、福祉用具専門相談員という仕事や待遇環境などについてお分かりいただけたかと思われます。では、そんな福祉に携わる専門相談員の仕事としての魅力とは何でしょうか?

魅力①利用者の笑顔が見れたり感謝される

ホームヘルパー、ケアマネージャーなどと比較すると、利用者との面会頻度は少なめですが、、それでも定期的に訪れたりメンテナンスなどで訪問した際には、利用者や家族の笑顔や感謝の言葉を口にしてもらえたりします。

仕事内容そのものは大変ではあるものの、その中でもらえる感謝の言葉が大きなモチベーションになったりもするのです。加えて、ケアマネや地域包括支援センター職員などからも、同じく感謝を伝えられたりします。

魅力②営業ノルマを達成し次に繋げ信頼を得られる

2つ目は、営業ノルマ達成と信頼です。大抵、福祉用具の貸与を行っている事業所では、ノルマを設定しているところが多いです。その達成には、依頼をしてくれるケアマネージャー、そのほか地域包括支援センターからの信頼、何より利用者からの信頼が必要です。

ノルマの達成が出来れば、達成感も当然感じられるでしょう。加えて、ノルマ達成による評価アップだけではなく、給料アップなどの可能性も大いにありますので、昇進や昇給も狙えるという訳です。

魅力③利用者の自立支援に繋がったときにやりがいを感じる

3つ目に、自立支援につながった時のやりがいです。そもそも福祉用具専門相談員が利用者に対して用具の提供やアドバイス等を行っている目的は、その利用者の生活を少しでも助ける為です。

今までは支援が無ければ難しかったことも、福祉用具を利用する事で出来た、家族の負担を減らせたといった結果に繋げられれば、達成感ややりがいというのは大きく感じられるでしょう。

福祉用具専門相談員が向いている人

やりがいも間違いなくありますが、一方で大変な仕事内容であることは変わりありません。それでもなくてはならない福祉用具専門相談員には、どんな方が向いているのでしょうか?

向いている人①コミュニケーション能力がある人

まず、コミュニケーションを取るのが上手な方です。相談を受け付け提案をするという業務である以上、まずコミュニケーションが取れなければ仕事は始まりません。利用者当人のみならず、ご家族、ケアマネージャー、センター職員などとの会話が必須です。

相談をしてくる人には、説明があまり得意ではない方も居ます。そういった場合でも必要な事柄をしっかり理解し、最適な用具選択に繋げる必要があるのです。

向いている人②体力に自信がある人

2つ目は、体力に自信のある人です。相談員は、なにも相談を受けるだけが仕事ではありません。実際に利用する福祉用具を利用者へと届けるのも業務の内であり、20㎏以上の荷物を運んだりといった力仕事もあります。

こうした体力を要する事を行いますし、マットレスを交換するといった時には利用者を抱えるなど介護に近い事まで行います。こうした内容も含まれるので、体力は必須であるといえます。

向いている人③高齢者・障碍者と関わるのが好きな人

3つ目に、高齢者や障碍者とのかかわりが苦ではない方です。介助が必要な状態である以上、如何にして生活を支えるべきかを常に考えることになります。それが好きな人であれば、続けられる職であると言えるでしょう。

向いている人④観察力がある

最後に、観察力のある方も向いています。利用者の使う福祉用具を選ぶにあたって、適するものを選択するには当人や環境をしっかり知る必要があります。細やかな部分にまで気付ける力があるのならば、最適な福祉用具選びに役立ちます。

人と接する人が好きな人は福祉用具専門相談員がおすすめ!

利用者の事を考慮し、使う福祉用具の提案などを行う福祉用具専門相談員は、人と接する事が好きな方であれば向いていると言って差し支えないでしょう。ご興味のある方は、是非とも目指してみてください。

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