日本という高齢社会において、介護職というのは欠かす事の出来ない職種というイメージが強いです。人手不足もあって無くなる事などないと考えられていますが、実際のほどはどうなっているのでしょうか?今回は、介護職の将来性、介護施設の需要などについて詳しく解説します。
介護職の仕事がなくなる?なんてことがありうる?
医療技術が発達した事によって、世界的にも人間の寿命というのは延びているのですが、その中でも特に日本というのは高齢化が進んでいる事で有名です。高齢化社会という言葉が叫ばれて久しく、それに合わせて介護職の需要も高まりました。
介護職は将来性があるのか、という不安を持たれている方も居るかもしれませんが、高齢者は依然として増加しており、介護人材の需要というのは今後も高まっていくと考えられています。
その為、手に職を付けるという意味でも、安定性の高い職種だという見解が強いのです。加えて、後述するように国といても介護職の支援には力を注いでいる面があるので、待遇を含めたさらなる改善が見込まれます。
介護職の将来性は高い⁈
介護職の仕事が本当に無くなってしまうことなどあり得るのか、という話に対する結論を簡潔に解説しました。将来性はあり今後も需要が高まり続けるわけですが、その根拠となる部分をいくつか挙げていきましょう。
介護職の将来性①介護ニーズ
まず1つ目に、介護ニーズについてです。介護を必要としている要介護者というのは、これからも増加していくと想定されています。要介護率の高くなる75歳以上の人口は、2055年には25%を超えると言われており、これだけでも需要が分かるところです。
要介護者がこれからも増え続けるために、介護職の需要も減る事は無く、むしろ増え続けるという訳です。逆に日本の総人口に関しては減少するとされていて、2048年に一億人以下に、2060年には8千万人台にまで落ちると内閣府のデータに記されています。
介護職の将来性②人材不足
2つ目に、人材不足についてです。介護業界というのは、慢性的な人材不足に悩まされています。経済産業省によって行われた試算によれば、2035年には約80万人近い介護人材が不足するとされているのです。
2015年には、既に4万人の人材が不足していると言われていましたので、どれだけ介護業界に人材が足りていないかがお分かりいただけるでしょう。今現在も、7割近い施設で人材が足りていないというのです。
その原因というのは様々考えられていますが、やはり最も大きいのは給料面だと考えられています。年収はあらゆる業界の中でもワーストで、これを改善するために国も力を入れ始めています。
介護職の将来性③国の支援
3つ目に、国の支援の面についてです。対策の必要性が長らく重要視されてきましたが、高齢化社会や人材の不足といった現状を踏まえて、国からも様々な徳りみが実施されています。例えば、介護福祉士で10年以上の勤続年数の方には、8万円の月収アップが計画されています。
加えて、働き方改革の流れを受けて大変だと言われている業務内容の改善が行われていたり、負担を減らすためのペーパーレス化といった運動が推し進められていて、待遇や環境は今後さらに変化していくと思われます。
介護職の将来性④離職率
離職率というのも気になるところですが、平成29年に行われた介護職員や訪問介護員の離職率は16.4%で、同年の全産業の数値が14.9%でしたので、若干高い事が分かります。
その理由としては、結婚や出産、育児などの家庭事情、運営方針に対しての不満、そして職場の人間関係が大きいとされています。そういった面を考慮して、離職防止や定着率向上の為の対策も取られています。
介護ロボットの導入、先に挙げた国からの支援によるペーパーレス化によって、職員それぞれの負担を軽減させようとする働きがあります。また、事業所内に保育施設を導入したりと、子育てをしながらでも従事しやすいようにといった取り組みもあります。
介護職の将来性⑤時短勤務対応
もう1つ、時短勤務対応についてです。時短勤務というのは、育児・介護休業法によって定められており、子育てや介護をしている方が仕事との両立をしやすいように、1日の勤務時間合計を原則6時間以下にできるようになったのです。
正社員のみの特権という訳ではなく、派遣社員やパートといった勤務体系の方でも利用でき、一定条件を満たせばだれでも申請できます。この時短勤務があるおかげで、一度出産等で離職の必要があった方も、長く働けるようになりました。
今後の介護施設の需要見込み
様々な観点から介護職の将来性を見ていきましたが、やはり今後も必要性は依然として減らないどころか、むしろ増えていくのは間違いありません。では、介護施設の需要の見込みはどうなっているのでしょうか?
健康寿命が延び要介護者はなくなる?
日本人の平均寿命は、年々延びていっています。男女共に80歳以上となっており、衛生や栄養状態の向上、そして医療技術発達が大きく関係しているとされます。これに対して、人が健康な状態で居られる機関である「健康寿命」との差が問題視されています。
2013年の健康寿命は、男性が約71歳、女性は約74歳であり、当時の平均寿命との差が男性が9年ほど、女性は12年少々という計算になります。この間というのが、介護及び医療ケアを必要とする期間になります。
この差が縮まらなければ、どれだけ平均寿命が延びようが依然として介護の必要な人は増えていくので、介護職の必要性も依然高いままなのです。
超高齢社会の今後
世界でも類を見ない高齢化によって、超高齢社会とまで言われている日本。2018年の時点で全人口1億2千万人に対して高齢者人口が3千5百万人と、既に全人口の3割近くを占めていました。
高齢者の人口が増えたことで、介護施設の需要も当然ながら高くなりますから、数年の間に施設数はかなり増えました。今後の需要としても、2045年あたりには需要のピークを迎えると考えられており、その先25年も高齢者人口は増える計算ですから、施設の需要は高いままでしょう。
なくなることはない介護職!
業界全体の慢性的な人手不足という現状、そしてこれからも増え続け更に加速する高齢化社会という現実を見ても、介護職というのはそう簡単になくなる職種ではない事が分かります。
今後の介護士の給料
まず、今後の介護士の給料について見ていきましょう。これまでで解説した通り、介護職の給料は職業全体で見ても一番下となっています。しかし、2017年に平均年収が361万円であったのが、2018年には395万円になっており、上昇しているのです。
これに加えて、厚生労働省によって考案されている、勤続10年以上の介護福祉士の月給8万円アップが実現すれば、更に平均年収の増加が見込めます。加えて、施設や仕事内容によって給料も変わりますので、安いからと言って簡単に辞めない事をお勧めします。
無資格では働けなくなる?
現状の介護士というのは、特に資格などを取得しなくても実務に当たる事が出来ます。ですが、2021年の4月に介護報酬改定によって、無資格の介護職員には「認知症介護基礎研修」を受ける事が義務化されたのです。
これによって、完全なる無資格では介護士は務まらなくなりました。ただし、その研修というのは約6時間で終了するので、一日あれば受講は完了します。すぐに働けなくなるわけではなく、2024年3月末までは努力義務扱いなので、それまでに受ければ良いのです。
介護職はなくなることはない!
やはり日本社会にも関わってくる高齢化問題に密接に関係する職種である以上、無くなるという事は考えにくいのです。どころか、これからも更に高齢化が進む一方である以上、これまでよりも更に必要とされるでしょう。
介護転職に有利な資格
そんな介護職への転職に有利な資格としては、例えば介護職員初任者研修や実務者研修があります。前者は基本的な資格であり、後者はその上級資格となって、後の介護福祉士資格取得につながります。
介護福祉士などの資格もやはり有利で、3年の実務経験と実務者研修の修了によって受けられ、評価がぐんと上がる資格になります。認定介護福祉士というものもあり、民間資格になりますがスペシャリストとしての評価を受けられます。
そしてさらにその上には介護支援専門員、所謂ケアマネージャーの資格もあります。介護福祉士と5年の実務経験があって初めて受けられ、介護業界においてはトップレベルで評価の高い資格です。
介護の需要はまだまだあります!
介護の需要というのはどうなのか、と思われている方も多いかもしれないですが、現状既に人手が足りな状態で、更に未来を考えるとより需要が高まる職種であるといえます。ご興味があれば、是非とも資格取得などを目指されてはいかがでしょうか?