需要が高まる介護の仕事に、興味をお持ちの方もいるのではないでしょうか。介護の仕事というと資格が必要なイメージがありますが、実は無資格でも働くことができます。今回は無資格でもできる介護の仕事と、資格がないとできないことを解説していきますので、無資格だけれど介護の仕事をしたいとお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

目次

介護の仕事は無資格でも働ける?

介護の仕事というと専門性が高く、資格が必要だというイメージをお持ちの方も多いでしょう。実際、介護関連の資格としては介護福祉士やケアマネージャーなどが有名です。しかし実は無資格でも働くことは可能で、介護の現場では資格を持っていなくてもできる仕事が多くあります。

無資格で働ける理由

介護職は、離職率の高さや日本の高齢化加速により人材不足が問題になっています。全ての団塊世代が75歳に到達する2025年にはさらに後期高齢者が増える見込みで、介護職の人材不足は38万人とより深刻化すると考えられているため、需要は高まっているといえるでしょう。

このような背景から介護業界の求人数は多く、無資格であっても雇用のチャンスは多くあります。無資格でもヘルパーとして有資格者と役割分担をすることで、サービスの質を維持しつつスムーズに業務を進めることができ、人材不足の解消にも繋がるのです。

介護の仕事で無資格でもできること

人材不足が深刻化している介護業界では、無資格や未経験でも働くことが可能です。では無資格の場合、実際の介護の現場ではどのような仕事ができるのでしょうか。ここでは無資格でもできる介護の仕事をご紹介していきます。

無資格でもできること①介護補助

介護補助とは有資格の職員をサポートする業務で、資格を持つ職員が専門的な業務に専念できるようにすることで、より業務を効率化できます。具体的には清掃や片付け、ベッドメイキング、食事の配膳、利用者の話し相手や見守り、活動のサポートなどが介護補助の仕事です。

介護の仕事というと利用者と直接接して介護をするイメージですが、それ以外の業務も多く、部屋や共有スペースの清掃や食事の準備・片付け、備品補充、レクリエ‐ションの準備や片付けなども大切な仕事といえます。

資格を持っている職員をサポートし、役割分担することで全体の業務をスムーズに進めることができるため、無資格の職員も介護の現場で必要とされているのです。

無資格でもできること②送迎業務

デイサービスを行う通所型施設や小規模多機能型居宅介護の場合、利用者の送り迎えを行う送迎も必要な業務です。送迎業務では、利用者を自宅まで迎えに行き施設まで車で送ります。

普通自動車免許があれば介護資格がなくてもできますが、運転だけではなく乗り降りする際に介助をするため、事業所によっては介護職員初任者研修を修了する必要があるでしょう。送迎業務のみ行う運転手として、送迎の時間だけ出勤し業務に当たるパートタイム求人もあります。

無資格でもできること③生活援助

生活援助とは、利用者の身体に触れる身体介護以外の業務で身の周りの世話をし、利用者の生活をサポートすることです。

具体的な仕事内容としては、部屋やトイレなどの掃除、洗濯、シーツ交換やベッドマイキング、食事の準備や配膳、アイロンがけ、買い物などがあります。直接利用者の身体に触れない生活援助は、自宅で生活する要介護者にはもちろん、有料老人ホームなど施設内でも必要とされる重要な仕事です。

無資格でもできること④身体介護(施設内のみ)

介護福祉士がいる施設内であれば、資格を持っていなくても介護福祉士の指示のもとで身体介護を行うことができます。そのため、訪問介護を行う事業所では、無資格の場合身体介護はできません。

身体介護とは利用者の身体に直接触れて行う介助で、中でも食事介助・入浴介助・排泄介助は「三大介助」と呼ばれる重要な業務です。

その他、着替えの手伝いやベッド・車いすなどへの移動サポート、歩行介助なども行います。施設内であれば無資格でも身体介助ができますが、知識やスキルを求められるため初任者研修以上の資格があると良いでしょう。

無資格でもできること⑤事務作業

施設では、介護業務以外にも受付や電話対応、備品の発注や管理、レクリエーションの準備、郵便物の発送、介護給付費の請求といった事務作業が多くあります。このような事務作業は無資格でもできるため、有資格の方と役割分担することで施設内の業務がスムーズに進むでしょう。

ほとんどの事務作業は資格や専門知識は必要ありませんが、請求業務に関しては専門知識が必要になるので、資格を持っている方も多くいます。

介護の仕事で無資格だとできない仕事内容

資格がなくてもできる介護の仕事をご紹介しましたが、無資格だとできない仕事とはどのようなことなのでしょうか。ここでは、資格がないとできない介護の仕事を確認しておきましょう。

訪問介護

無資格だとできない仕事として代表的なものが、訪問介護です。訪問介護とは、利用者の自宅に伺って食事や排せつ、入浴介助といった身体介護や、掃除や洗濯などの生活援助、通院サポートを行うことです。

直接利用者の体に触れる身体介護は、老人ホームやデイサービスなどの施設内であれば有資格者の指示のもとで行うことができます。

しかし訪問介護は一人で業務に当たることが多く、有資格者の指示を受けることができず問題が発生した場合の対応が困難なため、介護福祉士や実務研修修了者などの資格がないとできません。訪問介護の業務の中でも、生活援助に関しては「生活援助従事者研修」を受講すれば無資格でも行うことができます。

コロナ禍による特例

新型コロナウイルスの影響で、介護業界の人材確保がより厳しくなっています。そのため、2020年4月に厚生労働省から臨時の対応として無資格であっても訪問介護ができるという特例が認められました。

新型コロナウイルスの影響で資格を持つ職員の確保が困難な場合、資格がなくても訪問介護を行っても良いという内容ですが、高齢者へのサービス提供に従事した経験があること、利用者へのサービス提供に支障がないことが条件です。

医療的ケア

訪問介護における身体介護の他、医療的ケアも資格がなければできません。医療的ケアとは喀痰(かくたん)吸引や経管栄養などで、「喀痰吸引等研修」を受けた方のみに許可されています。

医療的ケアに関しては、施設内で有資格者の指示を受けられる状況にあっても、無資格の方が行うことはできませんので注意しましょう。

有資格者・無資格者の介護職員の給料の違い

有資格者と無資格者では、給料にも差があります。厚生労働省が公表している「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、平均給料は有資格者で約31万円、無資格で約27万円と、4万円程度の違いがあります。

有資格者の中でも「介護職員初任者研修」や「介護福祉士実務者研修」修了者は約30万円、介護福祉士は約33万円、介護支援専門員は約37万円と、資格によっても異なります。

これはあくまでも平均値であり、サービス形態などによっても給料は違ってくるので、無資格の場合、平均給料より低くなる可能性もあるでしょう。このように介護士は資格を持っていた方が給料が高い傾向にあるため、給料を上げたいと考えているなら資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

働きながら介護資格取得を目指す方法も!

無資格でも介護の仕事はできますが、やはり資格を持っていた方が仕事の幅が広がりますし、給料も違ってきます。働きながら資格取得を目指すことも可能です。働きながら資格取得を目指すことは、実務経験を積むことができ、自然と知識や技術も身に付くというメリットがあります。

取得しやすい資格

介護関連の資格にはさまざまなものがありますが、働きながらでも取得しやすい資格とはどのようなものでしょうか。介護福祉士やケアマネージャーは受験資格として実務経験が必要になりますが、実務経験がなくても手軽に取得を目指せる資格もあります。

「介護職員初任者研修」は未経験で知識がなくても、通信と通学で最短1ヶ月で取得を目指せます。「介護福祉士実務者研修」は介護福祉士を目指す場合必須な資格で、最短6ヶ月で取得可能です。修了するとサービス提供責任者として勤務することができます。

その他、就職に有利な介護事務資格や、通信講座で受講できるレクリエーション介護士もチャレンジしやすいのでおすすめです。

資格取得支援制度を利用する

事業所によっては、資格取得支援制度を利用できるところもあります。資格取得支援制度とは、資格取得にかかる費用を一部もしくは全て負担したり、資格取得のために欠勤した日を出勤日として換算できるなど、働きながら資格取得を目指す方をサポートしてくれるものです。

このような制度が整っている事業所で勤務すれば、資格の勉強もしやすく、効率的に取得を目指せるでしょう。働きながら資格取得を目指すなら、資格取得支援制度がある施設を選んで上手に利用するのがおすすめです。

資格取得は昇給が見込める

先にご紹介したように、無資格と有資格では給料が違ってきます。有資格の方が介護の知識と技術があり、すぐに戦力になるため給料が高い傾向にあります。

事業所によっては資格によって給料が決まったり資格手当が支給されるところもあるので、資格を取得することで昇給が見込めるでしょう。昇給は仕事のモチベーションアップにつながり、やりがいを持って働くことができます。

無資格でも働きながらキャリアアップを目指そう

今回は、無資格でも介護の仕事はできるのか、できることとできないことを解説しました。資格がなくても介護職には就けますが、資格があった方が給料は高く、仕事の幅も広がります。

介護の資格にはさまざまなものがあり、働きながら取得を目指せるものもあります。今資格を持っていなくても、ぜひ働きながら資格取得してキャリアアップを目指しましょう。

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