どんなに対策をしていても、衣服や寝具、タオル等が汚れてしまいやすい在宅介護。
〝汚れ〟だからといって、必ずしも目で見て確認できる大きいものばかりではありません。ごく小さい〝汚れ〟によって、ニオイや菌が広がる場合もあります。
人は、年齢や病気に関係なく、日常生活、そして自分自身から汚れを出し続ける生き物であり、生きている限り、〝洗濯〟そして〝汚れ〟と上手く付き合っていく必要があります。
洗濯で衣類の清潔を保つことは、重要な感染対策のひとつであり、何より介護者と被介護者の生活の質を維持することにも繋がります。 今回は、「介護向け洗濯洗剤」の選ぶポイントや、おすすめの「介護向け洗濯洗剤」などについてご紹介させていただきます。
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介護向け洗濯洗剤の選ぶおすすめのポイント
ドラッグストアやホームセンターなどに行っても分かる通り、販売されている洗濯用洗剤は、様々な種類のものがあります。それぞれ、得意・不得意な汚れが異なるため、使い分けていくことで、各洗剤を効果的に使用することができます。
洗剤の種類
粉末洗剤
粉末タイプの洗剤は、とにかく洗浄力が高く、泥汚れや皮脂の黄ばみ、汗染みなど、頑固な汚れを落とすのに適しています。食べこぼしや皮脂、手垢、汗、油汚れといった日常的な汚れは、酸性のものが多いことから、弱アルカリ性である粉末洗剤と相性が良く、さらに酵素や漂白剤、除菌・消臭成分が配合されている粉末洗剤は、菌の増殖も抑制してくれます。
ただし、洗濯の際、溶けきれなかった粉が衣類に付着してしまったり、洗剤としての効果が半減してしまったりすることがあります。現在販売されている粉末洗剤は、改良により溶けやすくなっているものも多くありますが、それでも冬場などで水温が低い場合は溶け残る可能性もあります。
洗剤を効果的に使用するためには、ぬるま湯やお湯で一度粉末を溶かしてから洗濯機に投入するといった工夫が必要となります。
液体洗剤
最近主流となっている液体タイプの洗剤です。液体洗剤の多くは中性洗剤のため、弱アルカリ性の粉末洗剤と比べると洗浄力はやや劣りますが、その分生地が傷みにくく、洗濯による衣類の型落ちや色落ちなどを防ぐことができます。
また、液状であるため、粉末タイプのような「溶け残り」というものがなく、冷たい水にも溶かすことが可能です。「すすぎ1回」ですむタイプのものがほとんどで、時短・節水にもなります。
洗浄力が劣るといっても、あくまで粉末洗剤と比べた場合であり、日常的な汚れは十分に落とすことができますし、除菌成分や抗菌・防臭効果のある成分、漂白剤が含まれた液体洗剤など、ニオイやカビ、菌、ウイルス除去に対応した高機能な製品も多く出ています。
中性のため、汚れ落ちが気になる場合は、「酸素系漂白剤」の併用も可能ですし、液体を衣類の汚れに直接染み込ませてつけ置きすることで、汚れを集中的に落とすという使い方もできます。
ジェルボール洗剤
特殊な膜で洗剤をパックしたボール状の洗剤で、粉末、液体に続き、第三の洗剤と呼ばれています。パックの中身は基本的に液体洗剤と同じ中性洗剤で、水に濡れると膜が溶けて中身の洗剤が広がるようになっています。
洗濯1回につきジェルボールを1個投入するだけなので、洗剤をこぼしたり、容器から液だれしたりすることもないですし、粉末洗剤や液体洗剤のように計量したり詰め替えしたりする手間を省くこともできます。
また、液体洗剤と同様、「すすぎ1回」で済むため、時短・節水にもなります。
ただし、計量の手間が省ける分、量を調節することができないため、洗濯の量が少ないとコスパが悪いというデメリットがあります。さらに、夏場で温度が高いところに保管しておくと、膜が溶けて洗剤が溶け出してしまう可能席もあるため、注意が必要です。
石鹸洗剤
天然由来の界面活性剤が主成分となっている洗剤です。衣類を白くみせるための蛍光剤などが入っているものもありますが、敏感肌の方や赤ちゃんの衣類にも安心して使うことができる、無添加にこだわった製品も多くあります。やわらかい仕上がりとなるため、柔軟剤も不要です。
固形タイプ、粉末タイプ、液体タイプがありますが、固形タイプは特に泥汚れに強く、汚れているところに直接塗り込むことから、スニーカーやシャツの襟などを洗う際の使用に向いています。ただし、石鹸は手で直接触らず、ゴム手袋などを使用します。
粉末タイプや液体タイプは洗濯機での利用におすすめです。ただし、石鹸カスが出て洗濯槽に汚れが溜まりやすく、定期的に洗濯槽の掃除が必要となったり、コストが高かったりといったデメリットもあります。 ただ、肌が弱いなど、何らかの理由で合成洗剤が使用できないという方は、無添加の石鹸洗剤を使用し、肌トラブルやアレルギーなどの症状を防ぐ必要があります。
おしゃれ着用洗剤
ニットやセーター、レースなど、デリケートな衣類やデザイン性が高い衣類を洗濯する際に使用する洗剤です。通常の洗剤と比べ、洗浄力が弱い分、衣類を優しく洗い上げることができ、伸びやヨレ、型崩れ、色褪せ等を防ぐことができます。
おしゃれ着用洗剤は、現在主流となっている一般的な液体洗剤と同じ「中性」の洗剤となっていますが、おしゃれ着用洗剤の場合は、シリコンや柔軟化剤といった衣類の繊維をコーティングする成分などが含まれているのが特徴です。 洗濯機の「手洗いコース」や「デリケートコース」を選んで洗濯します。
洗浄成分
界面活性剤
「界面活性剤」には、通常は混ざることのできない「水」と「油」を混ざりやすくさせる役割があり、洗濯洗剤の主成分である他、化粧品や食品などにも使用されています。
この特性により、水だけでは落ちない油汚れや皮脂汚れなどを浮かして落とすことができるようになります。
アルカリ剤
洗剤の主成分の一つです。水をアルカリ性にし、皮脂や泥などの酸性の汚れに反応して強い洗浄力を発揮します。水温が高くなるほどアルカリ剤の効果も高くなるため、汚れが落ちやすくなりますが、その分、衣類の色落ちなどにも注意する必要があります。
水軟化剤
水に含まれる「カルシウム」や「マグネシウム」といった金属イオンをとらえることで、水の硬度を下げ、界面活性剤の働きを助けて、洗浄性能を向上させます。
酵素
界面活性剤では取り除くのが難しい、衣類の繊維の奥に入り込んでしまった脂質やたんぱく質汚れを分解して、除去しやすくします。ただし、絹やウールの繊維まで分解してしまう可能性があるため、洗濯する衣類の素材を確認する必要があります。
蛍光増白剤
白い衣類によく使用される成分です。紫外線があたると白く反射し、衣類を白くみせてくれます。ただし、淡い色の衣類に使用すると、色あせや変色などが起こる可能性があるため、注意が必要です。
漂白剤
汚れやシミ(色素)を、漂白成分の化学反応によって分解し、汚れそのものを除去する成分です。色柄物にも使用できる「酸素系漂白剤」と、白物にしか使用できない「塩素系漂白剤」があるため、注意が必要です。
介護向けの洗剤とは
現在、洗濯用洗剤は液体洗剤が主流となっており、消臭機能に特化した介護向けの製品もいくつか出てきています。
粉末タイプは洗浄力が強いため、頑固汚れに最適な洗剤ですが、液体洗剤でも、食べこぼしなどの日常的な汚れは十分落とすことが可能です。さらに、液体洗剤は、粉末洗剤や石鹼洗剤のように、溶け残りや洗剤カス・石けんカスがたまる心配もありません。
最近は、除菌・抗菌成分や消臭・防臭成分、漂白剤が配合されており、汚れを落とすだけでなく、菌やウイルスを除去したり、洗濯後の衣類のニオイ菌発生や増殖を抑えたりする高機能の液体洗剤も多く出ています。介護では、「ニオイ」が気になる衣類や寝具、タオルなどを取り扱う場面も多いことから、洗浄力はもちろん、除菌力が高く、消臭効果に特化した洗剤を選ぶのがおすすめです。
ただし、合成洗剤が体質的に合わないという方もいるため、身体を拭く時に使うタオルや要介護者の肌着などは敏感肌の方でも使用できる無添加の洗濯用洗剤を使用して洗うなど、感染症などの心配がない限りは、要介護者の体質に合わせた洗濯用洗剤を選ぶようにすることも大切です。
介護向け洗濯洗剤のおすすめ7選
おすすめ①
サラヤ 洗たく用洗剤 濃縮・消臭タイプ 5L
価格 | 6,138円 |
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容量 | 5L |
タイプ | 液体洗剤 |
成分 | ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、脂肪酸カリウム、エタノール、香料 |
悪臭成分を吸着し閉じ込める物理的消臭と、悪臭成分自体を異なる成分に変える、または分解する化学的消臭、芳香成分による感覚的消臭技術により、衣類に染み付いた尿臭と結合して消臭効果を発揮します。汚れもしっかり吸着・洗浄。天然由来の洗浄成分を使用してるため、環境にも配慮されています。
おすすめ②
アタック消臭ストロングジェル 業務用 4kg
価格 | 1,771円 |
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容量 | 4kg |
タイプ | 液体洗剤 |
成分 | 界面活性剤〔23%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、直鎖アルキルベンゼン系〕、安定化剤、アルカリ剤、pH調整剤、分散剤、酵素、蛍光増白剤 |
日本在宅介護協会第1号認定商品。ニオイを発生させる分解酵素の働きを抑える独自の消臭成分「尿臭ブロッカーEX」配合により、尿臭の発生を防ぎます。高浸透洗浄成分が、繊維の奥にある皮脂汚れまでしっかり洗浄。しみついた尿臭・体臭にも高い消臭効果を発揮します。
おすすめ③
トップ スーパーナノックス ニオイ専用 業務用 4kg
価格 | 3,850円 |
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容量 | 4kg |
タイプ | 液体洗剤 |
成分 | 界面活性剤(52% ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル、アルキルエーテル硫酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、安定化剤、pH調整剤、酵素 |
「独自洗浄成分MEE」と「ナノ消臭酵素」配合により、ニオイ汚れをナノレベルにまで分解・除去。さらに、ニオイ発生の原因となる様々な菌の増殖も抑えます。消臭成分も配合され、生物・物理・感覚・科学的消臭による全方位消臭&防臭。蛍光剤不使用の中性洗剤です。
おすすめ④
日華化学 エストラルGT-33(柔軟剤配合液体洗剤)
価格 | 2,633円 |
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容量 | 4kg |
タイプ | 液体洗剤 |
成分 | - |
柔軟剤入りの液体洗剤です。これ一本で洗濯と柔軟剤仕上げができるため、洗濯の際に手間がかからず、経済的です。すすぎも1回ですむため、水も節約できます。抗菌剤配合により、除菌もできて衛生的です。
おすすめ⑤
日華化学 抗菌防臭液体洗剤 エストラルGT-55
価格 | 1,833円 |
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容量 | 4kg |
タイプ | 液体洗剤 |
成分 | 非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、イソプロピルアルコール、水 |
肌への刺激が少なく、環境にやさしい中性タイプの液体洗剤です。すぐれた洗浄力と抗菌剤配合により、衣類の除菌とすぐれた消臭効果を発揮します。
おすすめ⑥
カネヨ 抗菌・無香料衣料用洗剤 5kg
価格 | 1,870 円 |
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容量 | 5kg |
タイプ | 液体洗剤 |
成分 | 界面活性剤(17%、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)、安定化剤、酵素 |
香料と蛍光剤が無添加の液体洗剤です。無臭のため、ニオイの強い洗剤にストレスを感じる方や、香りが苦手な高齢者の方におすすめ。抗菌・防臭効果により、部屋干しなどのニオイも抑えてくれます。つぶせる容器のため、使い終わった後も廃棄しやすくなっています。
おすすめ⑦
ミヨシ 無添加 お肌のための洗濯用 液体せっけん 5L
価格 | 2,365円 |
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容量 | 5L |
タイプ | 液体せっけん |
成分 | 純石けん分(30% 脂肪酸カリウム) |
石けん成分のみでつくられた、弱アルカリ性の衣類専用液体せっけんです。他の洗濯用洗剤と比べると除菌力は劣りますが、無添加で、お肌の弱い方や敏感肌の方でも安心して洗濯に使用できます。敏感肌の方の肌着などに最適です。やわらかくふんわりとした仕上がりになるため、柔軟剤なしでもお使いいただけます。
便や尿がついた衣類を洗う注意点
特に在宅介護では、尿や便、嘔吐物等で衣服や寝具、タオル等が汚れてしまう場面が多くあります。このように、感染リスクの高い汚れは、必ず下洗いを行ってから通常の洗濯を行うようにします。
処理をする際は、必ずゴム手袋を着用し、取り扱いには十分注意するようにしましょう。
下洗いでは、洗面器などに水をためて洗剤を溶かし、85度以上の熱水による1分間以上の下洗い、あるいは塩素濃度約200ppm以上の次亜塩素酸ナトリウムで汚れた衣類等の消毒を行います。
処理が終わった後は、使用したゴム手袋と洗面器も必ず次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を行います。
ただし、安全のため、ウイルス等に感染している方の排せつ物や嘔吐物が付着した衣類等の場合は、洗濯ではなく処分をするようにしてください。 また、汚れた衣類に便や嘔吐物などの固形物が付いている場合には、下洗いをする前に必ず取り除くようにしてください。便の場合は、そのままトイレに流すと良いでしょう。
介護臭対策としてできること
介護中の「ニオイ」は、要介護者・介護者どちらにとっても大きなストレスとなり、生活の質にもかかわる大きな悩みの一つです。非常にデリケートな問題であるため、相談しづらいという方も多いかもしれませんが、排泄臭などで不快な思いをするのは介護する側だけではありません。要介護者本人も、ニオイを気にしてしまうことで、排泄を我慢してしまったり、落ち込んでしまったりなど、精神的な負担となります。
介護する側も介護される側も、どちらも快適に過ごすためには、ニオイ対策を行う必要があります。
介護によるニオイは、1日でも放置してしまうと、室内にニオイが染みついてしまい、衛生的にもあまり良くありません。1日最低1回は窓を開けるようにし、外の空気を取り入れて換気を行うようにしましょう。特に室内にポータブルトイレを設置してる場合にはニオイがこもりやすくなっているため、感染症対策という意味でも、排泄するたびに少しでも良いので窓を開けておくと良いと思います。
定期的な換気だけでなく、空気清浄機を設置するとさらに効果的です。特に、冬場や梅雨の時期などは、寒さや雨などで窓を開ける回数が減ってしまうため、空気清浄機の併用がおすすめです。
置き型の消臭剤を部屋に何個か設置したり、毎日洗濯するのは難しいカーテンや寝具等に消臭スプレーを使用したりすることで、ニオイを軽減させることもできます。
ただし、香料があるものは苦手な方や、消臭剤の成分が体質的に合わない方もいるため、使用には注意が必要です。 また、消臭剤や消臭スプレーはあくまでニオイを軽減するものであるため、衣類は毎日取り換えたり、適切な排泄処理を行ったりなど、ニオイの原因となるものにはきちんと対処するようにしましょう。
口臭・体臭・排泄臭は、食べ物の影響を受けやすいため、食生活の見直しが、ニオイを軽減することにも繋がります。肉類や動物性脂質、香辛料などは、口臭や体臭、排泄物のニオイの原因となりやすい食品です。食べすぎには注意するようにしましょう。
逆に、ビタミン類が多く含まれる緑黄色野菜などの抗酸化食品、水溶性食物繊維や、味噌、納豆など腸内環境を整える食品、海藻類や梅干しなど、ニオイを抑制するアルカリ性食品などは、体臭を抑える効果があるとされています。積極的に摂るようにすると良いでしょう。
ただし、食べすぎたから健康に良いというわけではないため、栄養バランスの良い食事は常に心がけるようにしてください。 また、栄養指導を受けている場合は、要介護者の体調に合わせた食事を摂るようにしてください。
まとめ
今回は、「介護向け洗濯洗剤」の選ぶポイントなどについてご紹介しました。
介護者・要介護者ともにいつでも清潔に、快適に過ごせるようにしたいものです。現在は、消臭機能に特化した洗濯用洗剤も多く売られています。洗剤の種類もたくさんあるため、生活状況だけでなく、様々な汚れに合わせた洗剤を選べるようにしておきましょう。