今後ますますニーズが高まると予想される介護ですが、働き手を増やすことを目的とした「資格取得支援制度」があることをご存知でしょうか?本記事では、資格取得支援制度の基本情報や、資格取得支援制度を利用する際のメリットデメリット、また介護の資格取得支援制度の種類をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
資格取得支援制度とは
国が実施している資格取得支援制度のひとつに「教育訓練給付金」があります。厚生労働省が実施している支援制度で、条件を満たした人が資格取得を目的に特定の講座を受講し修了した場合、受講料の一部が支給されるものです。
助成を受けるには、さまざまな条件があります。資格取得支援制度には、大きく分けて、民間企業が行うものと、公的機関が行うものがあります。
民間企業による資格取得支援制度は、業務に必要な資格や研修の取得費用を会社が支援する制度です。制度の内容は企業によって異なります。よくある例としては、介護職員初任者研修の費用の一部または全部を負担するというものがあります。
また、介護福祉士の国家資格試験や介護支援専門員の試験費用を会社が負担する場合もあります。資格を取りたいけれど、費用がかかるからと一歩を踏み出せない方におすすめの情報です。
資格取得支援制度を受けるメリット
「資格取得支援制度」を利用すれば、「介護職員実務者研修」や「介護福祉士」、初心者向けの「介護職員初任者研修」など、さまざまな資格を取得することができます。ここでは、資格取得の支援制度がある介護の仕事を選ぶことに伴うメリットにフォーカスしてご紹介します。
メリット①給料アップ
資格取得支援制度がある介護の仕事を選ぶことには、給料がアップするというメリットがあります。例えば、初任者研修を受講し修了することで、無資格ではなれない「訪問介護員」として働くことができます。
その結果、初任者研修から介護福祉士の資格を取得した場合、月2万円程度、年間20万円程度給料がアップすることがあります。
メリット②資格取得費用の節約
最大ともいえるメリットは、資格取得にかかる費用を抑えられることでしょう。通常資格取得には授業料(スクールに通う場合)、テキスト代、資格の受験料など、意外と出費がかさむものです。
例えば、介護系資格の筆頭である「初任者研修」は、通学だと10万円以上かかることもあります。この費用がすべて負担してもらえるとしたら、モチベーションも上がるのではないでしょうか。
メリット③実務経験を積める
介護福祉士の国家試験を受験するためには、3年以上の実務経験や実務者研修が必要です。資格は持っていないけれど、ホームヘルパーとして実務経験を積んでから資格取得に挑戦したいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その場合、仕事で実務経験をつみながら給料を得、しかも受験の費用が補助してもらえるとなると、経済的に大きなメリットとなるでしょう。
また、職場に支援制度があれば、自分と同じような立場で働く仲間がいる可能性も高く、モチベーションにもつながります。このように、職場にサポート体制があれば、資格取得のハードルも低くなるといえるでしょう。
メリット④資格がなくても介護求人に応募可
資格の種類が多いと聞くと、「介護の仕事は資格がないと応募できない」と思うかもしれません。しかし、資格がない方でも応募できるようなサポート体制を整えている施設も数多くあります。
また、取得できる資格も「介護職員実務者研修」や「介護福祉士」、初心者向けの「介護職員初任者研修」など、さまざまなものがあります。
また、未経験・無資格OKの求人もあるので、介護業界の求人に応募する際には、必ずしも資格が必要というわけではありません。施設の状況によって求められる人材は全く異なるので、それぞれの求人の詳細を確認することが大切です。
資格取得支援制度の会社側のメリット
資格取得のためにお金を払うことに抵抗がある経営者の方に、期待できるメリットをご紹介します。メリットを知っていれば、資格取得支援制度の導入に迷うことはないでしょう。
会社のメリット①知識や技術のある人材を確保できる
資格取得支援制度は、スキルや知識のあるスタッフを採用する際に非常に有効です。会社が従業員に投資し、「企業力」を向上させていることを示すことができるのです。
その結果、ますます多くの社員がその会社に魅力を感じ、自分のキャリアを向上させるために一生懸命勉強するようになるのです。その結果、会社に利益がもたらされることになります。
会社のメリット②定着率が上がる
資格取得支援制度は、社員にとっても大きな利益となります。そのため、環境の良さをプラスに捉え、より長く会社に在籍してくれる可能性が高くなります。そうなると社員の定着率も安定し、会社にとって有利になると言うメリットがあります。
会社のメリット③資格保有者の人数により助成金がでることがある
資格取得制度で金銭的な恩恵を受けるのは、従業員だけでなく、企業も同じです。場合によっては助成金が出るので、会社の経営に役立てることができるのです。
助成金がもらえるなら、資格取得制度を導入してもいいかも、と考える事業主は珍しくありません。助成金が受けられる条件を確認した上で、経営者や役員と話し合ってみましょう。
介護の資格取得支援制度の種類
助成金とは、雇用、雇用の安定、長期的なキャリア形成を支援する目的で支給されるものです。厚生労働省では、介護の人材確保を目的に、自治体と連携して資格取得のための助成を行っています。ここでは、どのような補助金・助成金があるのか、また、受給する際の注意点などをお伝えしたいと思います。
種類①教育訓練給付金制度
教育訓練給付制度は、働く人の主体的な能力開発とキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的としており、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した方に受講料の一部を給付するものです。
現在、厚生労働大臣が教育訓練給付金の支給対象として指定した講座は、「教育訓練講座検索システム」で検索することができます。教育訓練給付金の申請は、居住地を管轄するハローワークで受け付けています。
雇用保険の被保険者または被保険者であった方が対象となりますが、一般教育訓練給付金と実践教育訓練給付金では条件が異なります。
教育訓練給付金制度の条件
一般教育訓練給付金については、受講開始日時点で雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回受給の方は1年以上)あることが条件です。ただし、退職者の場合は、退職日の翌日から1年以内(妊娠・出産の場合は4年以内)に受講を開始することとなっています。
また、同一人物が短期間に複数回受講することはできないため、最後に教育訓練給付を受けた日から3年以上経過している必要があります。
訓練開始日において、雇用保険の被保険者期間が10年以上(初めて受給される方は2年以上)あることも条件です。一般教育訓練より訓練期間が長く、給付額も高いため、より厳しい要件となっています。
退職者の場合、退職日の翌日から1年以内(妊娠・出産等の場合は4年以内)に受講開始することは一般教育訓練と同じですが、複数回の支給を受けるには前回の訓練給付金の受給から10年以上経過していなければならないなど、一般教育訓練より条件が厳しくなっています。
種類②自立支援教育訓練給付金制度
自立支援教育訓練給付金は、母子家庭や父子家庭のひとり親を対象とした支援制度です。就職を目指した積極的な能力開発を支援するための制度で、該当する教育訓練を受講すれば、その費用の一部が支給されます。
ただし、給付されるのは受講終了後なので、受講を開始する際にはまず自己負担分を準備する必要があります。
自立支援教育訓練給付金制度の利用条件
この制度は、市や県などの地方自治体が実施主体となっています。お住まいの地域によっては、この制度が利用できない場合がありますので、ご注意ください。母子家庭の母または父子家庭の父であれば、この給付金を受けることができます。
- 一人っ子の母または父
- 現在、子ども(20歳未満)を扶養している方
- 職歴、技能、資格、労働市場の状況等から判断して、適職に就くために教育訓練を受ける必要があると認められる方
- 過去に当該給付金を受給していない方
以上に該当している方のみが活用できる制度となります。
種類③介護職員初任者研修資格取得支援事業
介護の現場で働きたい方のために、介護職員初任者研修、生活介護職員実務者研修を開講し、介護の現場で働くための資格取得を支援します。研修費用は研修実施機関に支払われるため、受講者の負担はありません。東京都内で介護の仕事に就きたい方が受講できます。
資格取得支援制度を上手に利用して介護の資格をとろう
資格取得支援制度は、企業にとっても個人にとっても、とても魅力的な制度です。この制度を上手に活用すれば、無資格で介護業界に入った方でも、着実にステップアップしていくことができます。今後、介護職の需要はますます高まることが予想されますので、ぜひこうした助成制度をうまく活用して、資格取得を目指してください。