看護師の仕事には、さまざまな勤務態勢があります。中には自分には合わない働き方もあることでしょう。無理して勤務を続けることで体調を崩す場合もあるので、勤務態勢をチェックするのは大切です。今回は、オンコールと呼ばれる勤務形態や時間の過ごし方、支給される手当の相場について解説していきます。また、どのような人がオンコール勤務に向いているのかも紹介しますので、職場選びの参考にしてください。

目次

看護師のオンコール勤務とは?

オンコールとは、看護師の勤務体系のひとつです。簡単にいうと、看護師が緊急時に出勤できるように待機しておくというものです。職場によっては「オンコール当番」と呼んだり、単に「待機」と呼んだりするところもあります。

通常、看護師の数が少ない夜間に行われることが多く、待機中の看護師は職場から連絡を受けたらすぐに出勤できる状態でなければなりません。

事業所によっては、専用携帯電話を用意しているところもあり、その日の担当の看護師は携帯電話を肌身離さず常に携帯することが求められています。

オンコール勤務の目的

看護師が当直する必要がない職場や、必要最低限の人員で済む職場で活用されるケースが多いでしょう。つまり、職場の看護師の配置や人数によって、この勤務態勢があるかないかが決まってくるという訳です。

オンコール制度は、看護師が常駐でなくても自宅で当直ができるため、常駐の場合よりも自由に時間を使うことができます。

オンコール勤務のある職場

担当者は、一般的に夜間や休日の人数が少ない時間帯に交代で配置されます。不測の事態に備えて、メイン担当者とサブ担当者の2人体制にしているところも多いようです。

病院の手術室や療養病棟、特別養護老人ホームを含む介護施設、訪問看護ステーションなどでよく採用されているシステムです。

オンコール勤務はどれくらいある?

どれほど頻繁に電話がかかってくるかは職場の特性やスタッフの人数によって異なりますが、月に4~8回程度が一般的です。

1人で応対することもあれば、メイン担当者が電話に出られない場合に備えてサブ担当者を置く2人体制の場合もあります。

ケースバイケースとはいえ、実際には、緊急対応の頻度は月に1回程度が多いようですから、当番になると毎回電話が鳴るという心配はそこまでしなくても大丈夫でしょう。

オンコール勤務時の過ごし方

ここでは、担当看護師がシフトを任された場合、どのように過ごしているのかを紹介します。ぜひ参考にしてください。

オンコールが鳴っても出勤しなくてもいいケースもある

手術室などでは、電話がかかってきたらすぐに職場に駆けつけるケースが多いですが、職場が介護施設や訪問看護ステーションなどの場合、対応が異なることがあります。

介護施設や訪問看護の場合、職員や利用者の家族から疑問や不安の電話がかかってくるケースも多いため、回答や指示を出すだけということも少なくないようです。

オンコールにいつでも対応できるようにしておく

当番であっても、基本的には普段通りの生活を送ることができます。まず、平日のオンコール当番ですが、平日は朝いつも通り出勤し、通常の訪問や事務作業などを行います。

ただし、電話が鳴ったらすぐに出られるように、常に携帯電話をそばに置いておく必要があります。また、訪問先で待機している場合、すぐには出られないこともあります。

その場合は、副担当や他の空いているスタッフがフォローしてくれますので、万が一の時も安心です。休日に当番が当たることもありますが、休日の当番だからといって、休みをつぶしてずっと家にいなければならないわけではありません。

普段どおりの生活をしても大丈夫なことが多いです。ただし、施設によってこの辺りの対応は異なることがありますので、しっかりチェックしておきましょう。

飲酒や遠出はできない

当番の時は退社後もその業務責任が続きますので、いつでも電話に出られるよう、入浴時は脱衣所、就寝時は枕元に携帯電話を置いておく必要があります。

救急受診の際は、判断力が問われ、現場まで急行しなければいけませんので、飲酒は控えるようにしましょう。もちろん、近所に買い物に行くなど、少し外出する程度なら大丈夫という職場が多いことでしょう。

オンコールに対応したら手当はどれくらい出る?

オンコールの看護師には、もちろん手当てが支給されます。大抵は、対応した日数に応じて支給するようになっています。ここではオンコール勤務に対してどのくらいの手当を受けられるのか詳しくみてみましょう。

オンコール対応時の手当

最も多いのは「オンコール1日あたり1,000円~2,000円」です。ただし、この金額はあくまで待機のみで電話がかかってこない場合を想定しています。実際に出勤して医療行為に従事した場合は、働いた分の給与とは別に残業代が発生します。

また、訪問看護師は、保険で規定されているオンコール対応を追加で契約し、事業者はこれを保険に請求することができます。そのため、看護師の給料にも、比較的手厚い月額のオンコール手当が反映されることがあります。

平日よりも土日の方が手当が充実していたり、1日分であったり、対応ごとに支給されるところもあるようです。

また、電車通勤の看護師にはタクシーチケットを支給したり、職場の近くに住んでいる看護師に業務を担当してもらい、オンコール手当の代わりに住宅手当を支給したりするところもあるようです。

緊急訪問手当がつく場合もある

また、実際に患者宅を訪問した場合、オンコール手当とは別に「緊急訪問手当」が支給されることもあります。実働の場合は時給制のステーションが多く、相場は1時間あたり2,000~5,000円です。

一例として、移動時間を含めて1時間あたり4,000円程度の手当を支給している施設もあります。オンコール勤務の頻度はどれほどか、電話はどのくらい鳴るのか、緊急訪問はどのくらいあるのかなどに関しては、職場によってかなり差があります。

「思ったより大変だった」ということがないように、ステーション訪問時や面接時に「オンコール業務はどのように対応していますか」とあらかじめ聞いておくことをおすすめします。

オンコール勤務に向いている人は?

オンコール業務は、状況に応じた柔軟な対応ができる人、コミュニケーション能力の高い人、責任感をもって仕事ができる人、夜勤はしたくないという人などに向いている仕事です。

特に介護や訪問看護の現場では、電話が鳴ったとき、出勤するのかそれとも電話で指示を出すのか、的確な判断をしなければなりません。その場の状況に応じて臨機応変に対応し、周囲と協力し合うことが求められます。

また、介護・訪問看護ステーションを中心とした施設では、日勤のみの勤務で済むのもポイントといえるでしょう。夜勤はしたくないという方のなかにはあえてオンコール業務のある職場を選ぶ方もいるほどです。

基本的に電話があったとしても、対応は電話での指示で済むことが多く、規則正しい生活を送りやすいのもメリットです。こうした条件に当てはまると感じた方は、オンコール業務のある求人を探してみてはいかがでしょうか。

オンコール勤務にストレスを感じる場合は?

とはいえ、オンコールのある勤務がストレスになるという場合は、職場そのものを変えることも選択肢に入ってくることでしょう。ここでは、オンコールがストレスになる場合の対処法について解説します。

派遣の看護師として働く

派遣の看護師として働くという方法でオンコール業務を回避することも可能です。看護師を募集している施設や病院は幅広く、看護師不足が続いている現状では、ある程度自分の状況に応じた職場を選ぶことができます。

そのため、どうしてもオンコール対応がストレスになるのであれば、そもそも気にしなくていい環境に身を置くことが一番です。

オンコールのない職場に転職する

月にどれくらいのオンコール業務が割り当てられるか、どれくらいの頻度で連絡が来るかは、働く会社によって異なります。

責任感の強い人は、頑張りすぎて「オンコールだからゆっくりできない」とストレスになることも少なくありません。

心身の健康に支障をきたすほど負担が大きいと感じるのであれば、転職を考えるのもやむをえないかもしれません。

正社員のオンコールがない職場としては、訪問看護ステーションや老人ホーム、クリニックなどが挙げられます。

こうした施設なら日勤のみで、年間休日もしっかり確保されている職場が多く、各種手当や福利厚生、教育制度も充実しています。

オンコールがない職場でも、さまざまな職場を選ぶことができるので、心身を壊す前に新しい環境に移ることを考えましょう。

オンコール勤務がつらいなら転職しよう

いかがでしたか?オンコールとは、患者さんの急変など緊急事態に備え、待機しておくことであり、緊急事態が発生した場合に対応することです。

もちろん出動した際には手当が支払われますし、実際に患者さんを訪問した際には「緊急訪問手当」が別途支給されます。オンコールの頻度は訪問看護ステーションによって異なりますので、詳しくは会社説明会・面接時にお尋ねください。

また、派遣会社や求人サイト等のサービスを上手に利用すれば、オンコール対応のない仕事を紹介してもらえるので、転職活動も楽になります。一度登録して無料相談(アドバイザー対応)をお願いしてみるのも良いかもしれません。

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