ケアマネジャーになりたいと思っている方の中には、どのように試験対策をすればよいのか知りたいという方もおられることでしょう。成功の鍵は、事前に試験内容を把握し、試験対策のコツを理解しておくことです。当記事では、ケアマネ試験の合格率が低い理由、対策法、また勉強が進まない時の対策等をまとめてご紹介します。ぜひ、試験合格のためにお役立てください。
ケアマネジャー試験の概要
ケアマネジャー試験は、正式名称を「介護支援専門員実務研修受講試験」といいます。2018年10月試験から、ケアマネジャー試験の受験資格が改定されました。
以前は「介護等の実務経験5年以上+介護資格の取得」「介護等の実務経験10年以上(無資格者)」も受験資格がありましたが、廃止されました。
5年以上かつ900日以上の実務経験があれば、受験資格を得ることができます。ケアマネジャー試験は、「介護支援」と「保健・福祉サービス」の2分野から出題されます。
介護支援分野では25問、保健医療福祉サービス分野では基本問題15問、総合問題5問、福祉サービスの知識に関する問題15問、合計60問が出題されています。
ケアマネジャーの試験時間は120分です。身体障がい者など、受験に際して特別な配慮が必要な方のためには、別途試験時間を設けています。
試験合格後には、講義・演習形式で計87時間の研修と、居宅介護支援事業所での3日間程度の実習が行われます。その後、各都道府県に登録申請を行います。
ケアマネージャー(介護支援専門員)の仕事
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護を必要とする人が介護保険のサービスを受けられるように、ケアプランを作成したり、サービス事業者との調整を行う介護の専門家です。
主な職場は、在宅で介護を受けている人に介護サービスを提供する居宅介護支援事業所、特別養護老人ホームなどの施設、自治体による介護相談の窓口となる地域包括支援センターなどです。また、介護用品のレンタル事業を行う民間企業で働くこともあります。
近年のケアマネ試験の受験者数と合格者数
2021年12月2日(木)、2021年度(第24回)介護支援専門員実務研修受講試験の合格発表が行われました。厚生労働省の発表によると、54,290人が受験し、うち12,662人が合格し、合格率は23.3%となっています。
合格率が20%を超えたのは、受験資格変更前の2009年度(第20回)試験以来で、過去10年間で最も高い合格率でした。
都道府県別で最も合格率が高かったのは愛知県の30.0%、最も低かったのは佐賀県の16.1%ですが、すべての都道府県で昨年を上回る合格率となりました。
職種別の合格者数は7,689人で、介護福祉士が最も多く、次いで看護師、准看護師の順になります。介護福祉士の合格者数は、全体の合格者数の増加により昨年比1.6倍でしたが、合格率は60.7%と前年より若干上昇しています。
ケアマネの合格率は低い理由とは?
なぜ、ケアマネ試験の合格率は、他の資格に比べて低いのでしょうか?その理由を4つご紹介しますので、ぜひチェックしてください。
合格率が低い理由①受験資格が厳しい
医師や看護師になるには養成校を卒業する必要があり、難易度は高いですが、合格率も高くなります。それに対して、ケアマネ試験は実務経験が必要なため、学生の受験者がいないのです。
社会人が受験する場合、仕事をしながら勉強時間を確保する必要があり、人によってはそうした環境を整えることが難しい場合も多いようです。また、受験者の平均年齢が高いことも予想されます。
当然、学生よりも勉強に集中できる環境ではないので、受験者の多くは学生よりも実力が劣る傾向にあると言えます。そのため、合格率は低くなる傾向にあります。
社会福祉関係の資格に限らず、実務経験を必要とする資格はいろいろあり、例えば介護福祉士は実技試験ルートで受験するのが最も一般的です。
しかし、介護福祉士の養成施設を卒業することで受験資格を得るルートもありますので、必ずしも実務経験がなければ介護福祉士になれないというわけではありません。
また、上位の資格では実務経験が求められることが多く、下位の資格では経験が問われないケースが多いようです。
また、介護福祉士養成の前提となる介護職員初任者研修や実務者研修は、未経験でも取得できる資格です。そう考えると、ケアマネ試験は他試験と比較しても受験資格を得るための条件が厳しいと言えます。
合格率が低い理由②介護人材不足とのバランス
ケアマネの合格率が低い理由の2つ目は、「介護職の人材不足との兼ね合い」です。高齢化社会が進む中、介護職の人材不足は危機的な状況と言われています。
そのような中、ケアマネ試験の受験者の多くは、現場で介護業務を行う介護福祉士です。つまり、「介護福祉士の資格を持つケアマネジャー受験者が増える」ということは、「現場の介護福祉士有資格者が減る」ということなのです。
したがって、ケアマネの合格率が低いのは、「ケアマネの合格者を減らして、現場の労働者をできるだけ減らす」という厚生労働省の狙いがあるからではないでしょうか。
合格率が低い理由③ケアマネ試験の独自性
また、この試験の特徴として、五肢複択という独特の解答方式が挙げられます。この方式では偶然による正答率が低く、より多くの知識が求められます。
介護福祉士試験のように五肢択一では偶然による正答率は20%ですが、五肢複択の場合、組み合わせの数が増えるにつれて、偶然による正答率は下がります。
つまり試験範囲の深い理解が必要なのです。さらに試験範囲が広いため、深く学習することが難しいのも特徴です。
業務とは直接関係のない他分野の知識も必要とされるため、なかなか良い点数を取るのが難しい試験と言えるでしょう。その上合格基準は正答率70%以上で、これは他の資格試験と比べても高い基準となっています。
合格率が低い理由④試験対策不足
ケアマネ試験を受験される方の多くは、仕事をしながら勉強されているようです。忙しい合間を縫って勉強する時間を何とか捻出するのは難しいものです。
さらに、家事や育児があれば、休む暇もないでしょう。こうした状況も、合格率が低い理由の一つかもしれません。
ケアマネ試験の対策ポイント
それでは、ここからは、ハードルの高いケアマネ試験に合格するためのコツについて解説します。ぜひ参考にしてください。
対策ポイント①早期から勉強にとりかかる
ケアマネ試験の受験を決めたら、できるだけ早く試験対策を始めましょう。試験問題は60問と少ないですが、どれも専門的な知識が必要なため、一朝一夕に解けるものではありません。余裕を持って試験対策を始め、知識を蓄えておきましょう。
対策ポイント②読解力を身に付けておく
近年は、問題の長さが短くなる傾向があります。受験者が文章から読み取れる手がかりが少ないため、自分で単語を埋めていく必要があります。
この傾向は、2016年度の試験でも見られました。次試験以降も、一定レベルの読解力を必要とする問題が出題されることが予想されます。日頃の練習で鍛えておくことが大切です。
対策ポイント③過去問を繰り返し解く
過去問を繰り返し解き、問題に慣れましょう。ケアマネ試験は、問題に対して適切な回答を5つの選択肢の中から選ぶ形式です。繰り返し解くことで、試験に出題されやすい問題を解くためのポイントを身につけることができます。
間違えた問題は曖昧なままにせず、納得がいくまで繰り返し解答しましょう。形式に慣れたら、本番と同じ時間内に問題を解き、実力を試してみましょう。
対策ポイント④介護保険法改正を押さえておく
介護支援分野では、直近の介護保険法改正に関する問題が5問出題されました。前回(第19回)試験の介護支援分野の合格基準点は13点でしたので、介護保険法の改正に対応していれば、合格基準点の約3分の1以上の点数を取得できた計算になります。
また、各問題の難易度も高く、各社のテキストを学習していれば、十分に得点できるレベルと言えるでしょう。平成28年度試験は、平成26年度の介護保険法改正後、2回目の試験となりました。
つまり、次の改正を控えた中間年、折り返しの年でした。そのため、2014年の介護保険法改正に関連する問題がどれだけ出題されるかが注目されました。
結果は、出題数が合否を左右する結果となり、改めて介護保険法改正の集中学習の重要性が明らかになっています。
次回受験される方も、最新の介護保険法改正を中心に集中的に学習してください。また、過去の介護保険法改正も頭に入れておきましょう。
対策ポイント⑤講座を活用する
確実に合格したいのであれば、試験対策講座を受講するのも一つの方法です。試験対策講座では、ケアマネの知識がなくても専門的な知識や情報を集中的に学ぶことができるので、効率よく勉強することができます。
試験対策講座はいくつかあるので、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。ただし、対策講座の受講には、それなりのメリットとデメリットがあることを覚悟しておく必要があります。
メリットは、試験に合格するための授業が受けられること、わからないことがあればすぐに講師に質問できることです。
本を読んでわからないことがあっても、独学ではその部分から先に進めないし、調べるのにも時間がかかります。また、対策講座の講師は最新の試験情報を持っているので、知らなかった情報や出題傾向の変化を試験前に知ることができます。
一方、デメリットとしては、対策講座を受講したからといって、必ず合格できるわけではないので、費用がかかるということです。
また、対策講座を受講するために、仕事帰りや休日に通う必要があるのもデメリットです。通信講座や1日から受講できる対策講座もあるので、これらの点を比較し、自分にとって受講しやすい対策講座を見つけるとよいでしょう。
ケアマネ試験勉強が進まない時の対処法
勉強していると、どうしてもペースがつかめないときや、勉強が嫌になるときがあります。仕事や育児などの疲れもあると、余計に苦痛になることでしょう。
そんなときは、アプリやWebサイトなどの勉強ツールを使って、ゲーム感覚で勉強の隙間時間を活用することで、効率的に勉強を進めることができます。
また、図書館やネットカフェ、スターバックスなどで勉強するのもリフレッシュになりますし、周りに勉強している人がたくさんいるので、励みにもなって捗りやすいです。
ケアマネ試験は対策をしっかりと!
以上、ケアマネジャー試験の難易度と合格のために押さえておくべきコツについてお伝えしました。他の介護関連試験と比べると難易度が高いとはいえ、これからも需要の高いポジションの資格であることは間違いありません。ぜひ効率の良い勉強方法で合格を目指しましょう。