40代になると、転職を考えるのは厳しい、というイメージがあるかもしれません。確かに20代などの若い世代の方がやりやすいかもしれませんが、それでも40代に可能性が無いわけではありません。今回は、40代の方が転職を成功するためのコツや、お勧めの業界を紹介します。
40代での転職は本当に難しい？
一般的に、40台を超えてからの転職というのは、20代や30代のころと比較するとどうしても厳しくなると言われています。のちに詳しくご紹介する通り、その理由も様々挙げられます。
特に、40代から未経験の業界、職種に携わろうとするのは、教育という観点から見ても一定以上に困難な面があり、中々実現しづらいのです。それゆえに、中々希望する仕事に就けないと悩んでいる方も多いでしょう。
しかし、全ての業界がそうという訳ではありません。介護業界をはじめとして、人手不足に悩んでいる業界であれば年齢や経験に関係なくはいっていく事も可能ですから、可能性はゼロではありません。
40代の転職が厳しいと言われる理由とは
40代になるとなぜ転職が難しい、厳しいとされるようになるかというと、その理由には「応募できる求人が少ない」「年齢から採用者側からの懸念を持たれやすい」といったものが挙げられます。続いては、その理由について1つ1つ解説していきます。
厳しい理由①若い世代よりも求人が少ない
1つ目は、若い世代よりも求人の数が少ない事です。求人サイトやハローワークに掲載されている求人は、20代や30代を対象にしたものが多いです。というのも、企業側が長期的なキャリアを見据え、若いうちからの人材育成を使用としているからです。
それゆえに、応募の条件には35歳以下、といったような形で年齢制限を設けている事が多く、40代以上となると中々未経験が入っていくのは難しいのです。逆に求められているのは、専門性やマネジメント能力といった点です。
こういったスキルを習得している人材を確保するべく、応募を待つよりもヘッドハンティングの形式を取っている傾向があります。
厳しい理由②若い世代より採用されにくい
2つ目は、若い世代よりも採用されにくいという点です。採用する企業というのは、自社の環境や雰囲気になじみ、そして長期的に働いてもらえる人材を求めています。となれば、社会人経験は浅くとも柔軟性のある若い世代を積極採用するという流れになります。
40代となると、前職である程度の期間勤めている筈ですから、考え方や社風が固まっているのではないか、やり方を変えるのが難しいのではないかと判断されやすいのです。
また、採用を行うのが20代や30代の場合、自分よりも年上の人は現場では扱いにくい、と感じやすいです。その為、当人の人間性やスキルよりも年齢の方に目が行って、結局若い方を残すというのはよくある話です。
厳しい理由③スキルやキャリアの不足
3つ目は、スキル、キャリアの不足です。前述した通り、40代に企業が求めるところがあるとすれば、それは専門性やマネジメント能力など、経験に基づいた管理スキルです。すなわち、コミュニケーション能力、問題解決能力など、集団を取りまとめる力とも言えます。
20代や30代となれば、企業は実際に現場に出て働くなど、戦力としてのプレイヤーという位置づけで力を発揮してもらうのを想定しています。若ければ長く働いてもらえるでしょうから、企業にも長く貢献してもらえると考えるのです。
対して40代には、若い世代のような単なるプレイヤーとしてだけではなく、コミュニケーションや指導を行うといった、1つ上の立場になって立ち回れるかどうかが求められます。そういったスキル、キャリアが不足していると、採用にはつながりにくいです。
厳しい理由④年収が転職前よりも下がることが多い
仕事の内容だけではなく、お金の面を考えてみると、転職する前よりも年収が少なくなるケースが多いという点も挙げられます。厚生労働省が行った調査によると、40代の転職者のうちおよそ3割が賃金が減り、変わらないと答えたのが3割でした。
この調査からわかるのは、40代で転職した方は、年収が転職前と変わっていないか、もしくは減少してしまっている方が半数以上を占めているという事です。増えているというケースももちろんありますが、全体で見るとあまりない例であり、年収が下がる可能性の方が高いのです。
厳しい理由⑤柔軟性に欠けている
もう1つ、柔軟性に欠けているのではという懸念がある事です。40代の人材というのは、これまでに他の会社で少なくない勤続年数がある事でしょう。となると、前職での社風や業務のやり方というのがある程度固まっているイメージを持たれがちです。
一般的には、20代、30代の方であれば、そこまで長い職歴ではありませんから、会社の雰囲気や業務のやり方が異なっていたとしても、柔軟に対応する事はそこまで難しい事ではありません。
しかし、40代の方は業務のやり方、考え方などが固まっているのではと捉えられやすく、企業からすると育てにくいと思われてしまうのです。
40代の転職を成功させるためのコツ
この様に、どうしても経歴や年齢的な理由から、40代が転職を行うのは若い世代と比較すると困難な面が多いです。しかし、だからといって可能性が全くない訳ではありませんから、完全に諦めるよりは、成功のコツを押さえてみましょう。
コツ①定期的に転職活動を行う
1つ目のコツは、定期的に転職活動を行う事です。定期的に行うべき理由というのは、活動を行う中で市場での傾向、そして自分の年代に対して求められている能力が何なのかというのが、ある程度分かってくるからです。
その転職活動中に求められているスキルが何なのかが分かれば、自分の現状のスキルに対しての棚卸も可能になります。その為、これまでの仕事のみならず、これから取り組む仕事に対する考え方も変わってくるでしょう。
また、定期的な転職活動は、職務経歴書、履歴書といった必要な書類を一々新しく作るといった手間も削減できます。
コツ②自分の強みをはっきりさせる
2つ目は、自分の強みを明確にする事です。40代の所謂ミドル層と呼ばれる年代に対して、企業が求めているのは、すでに何度もご紹介している通り、マネジメント能力などの人を導けるかどうかというところなので、即戦力になり得るかを見極めています。
それを実現するためには、これまでの豊富なスキル、知識、経験といったものが必要不可欠であり、何が自分の強みか理解していれば、面接などの際にも企業側に対してアピールがしやすいでしょう。
コツ③情報源を広げる
3つ目は、情報源は可能な限り広げておく事です。今どきはインターネットが普及していますから、検索すれば40代の転職に関するアドバイスも色々と見つける事が出来るでしょう。ただしこの時、情報源を1つに絞らないでください。
自分なりに探してみても、理想的な求人を見つけられないといった時には、複数の転職サイトに登録したり、知人を頼って探すといった方法を取りましょう。偏った情報よりも、広いところから情報を集めて、自分に適したものを選択しましょう。
コツ④うまくいかなかったときは失敗の原因を振り返る
実際に転職活動をしてみて、上手くいかないといったシーンはもちろん考えられます。それは40代にとっての転職のハードルが元から高いからであり、誰であっても簡単に事が進むわけではありません。そこで大切なのは、しっかりと失敗の振り返りをする事です。
例えば、自分の理想が高すぎたのではないか、必要な書類の書き方が悪かったのではないかといったように、原因は様々考えられます。条件の幅を広げてみたり、書類の書き方を工夫するなど、改善しようとすればいくらでもできるでしょう。
コツ⑤転職エージェントの活用
やはり自分一人で行うよりも、転職エージェントを活用する方がお勧めできます。情報を集めるにしても、一人だけでは限界というものがありますから、思うように事が運べずに疲れてしまう事も考えられます。
転職エージェントでは、キャリアアドバイザーが転職を求めている方と企業との間に入って、マッチするかどうかなど転職支援を行ってくれます。希望に沿った求人を紹介してくれたりもしますので、これを活用しない手はありません。
コツ⑥希望条件に優先順位をつける
もう1つ、希望条件には優先順位を設けておきましょう。家庭を持っている方も少なくありませんから、例えば勤務地、年収といったように自分が希望するところも少なからずあるかと思われます。
しかし、先に述べているように専門的なスキルや能力が無ければ、その希望にマッチした求人を見つけるのは難しくなります。自分の中で何が一番優先されるのかを考え、全部叶えようとしないようにするのが大切です。
40代の方におすすめの転職業界
40代からでも、コツを押さえたり業界を選べば決して可能性はゼロではありません。むしろ、業界によっては可能性が高くなるところもありますから、40代からの転職にお勧めの業界をいくつかご紹介します。
おすすめ転職業界①介護職
まず1つ目は、介護職です。日本国内では高齢化社会が加速している事が以前から問題視されており、それと同時に介護業界の需要も増加、現在もそれは変わっていません。
特に未経験の業界にチャレンジしたい場合には、介護業界は慢性的な人手不足となっていますし、実際に介護の業界に勤めている方は20代から50代、60代と幅広いので、ミドル世代にも可能性は大いにあるのです。
おすすめ転職業界②営業職
2つ目は、営業職です。イメージの通りかと思われますが、営業職を務めるうえで重要視されるのはやはりコミュニケーション能力に尽きます。これまで営業を経験した事の無い40代の方でも、ある程度社会を渡ってきた訳ですから、対人スキルについては相応にある筈です。
経験が豊富な40代にとって、臨機応変な対応が時として求められる営業職は、人によっては非常にマッチした職業と言えます。もしこれまでに経験のある方であれば、より可能性は高まるでしょう。
おすすめ転職業界③販売・接客業
3つ目は、販売や接客業です。こちらも営業職と同じく、お客様や取引相手などと常に対話を求められる立場になります。そうなると、必然的にコミュニケーション能力やとっさの対応力といったものが求められます。
特にイレギュラーな場面での対応力というのは、若い世代よりも経験豊富な40代の方が上手く対応できる可能性が高いです。その為、飲食店や小売店、セレモニーホールのスタッフといった仕事なら可能性があるでしょう。
おすすめ転職業界④ドライバー
もう1つ、ドライバーもお勧めできます。これも40代が転職しやすい業界の1つであり、配達などの業務を行うドライバーもあれば、タクシーなど人を乗せるサービスを行うドライバーもあります。
これらはどちらも人手不足といわれており、特にタクシーのドライバーについては40代以上年齢の方がやっている場面が多く見られるでしょう。もし対応する免許などを所持しているなら、更に転職の可能性が高まります。
40代の方の転職に介護業界がおすすめの理由
お勧めの業界の中で介護職を推奨していました。人手不足であるためにその業務内容についても大変なところが多いのではないかというイメージも持たれがちですが、転職という観点からすればお勧めできる理由はいくつか挙げられます。
理由①常に募集が多い
1つ目は、常に多くの募集がある事です。すでに何度も述べている通り、介護業界の慢性的な人手不足は今に始まった事ではありません。高齢化社会となってから需要が高まって以来、常に不足に喘いでいるのです。
介護施設自体どこも満床で、入る事自体難しい、といった現状すらあります。多くの事業所において介護職員は足りていないのが普通と言っていいレベルなので、常に募集が多くかけられています。
理由②将来的にもニーズが増える
2つ目は、将来的なニーズの増加が挙げられます。現在既に人手不足な中、2025年には37万人の不足となると計算されています。すなわち今後更に需要が高まる事を意味しており、また待遇面の改善なども検討されています。
理由③さまざまな形態の働き方がある
正社員だけが働き方の形ではありません。ニーズの高さから、一般的な正社員としての介護職員をはじめとして、アルバイトやパート、派遣など働き方は様々です。非正規でも生きていく事は十分にできますから、自分に合った形態で働けます。
理由④キャリアアップできる
一般の介護職員だけではなく、福祉住環境コーディネーター、ケアマネジャーなど、介護に関係する様々な資格があり、その取得によってキャリアアップも狙えます。すると当然収入面もプラスになるので、職場の選択肢もその分増えるでしょう。
理由⑤未経験者でもできる
人手不足という現状を鑑みてか、未経験からも入りやすい業界となっています。他と比べて年齢や経験の面を不問にし、とにかく人材を求めています。また、指導体制や教育制度についても整えている施設が多いので、安心して入って行けるでしょう。
成功のコツを理解すれば40代からの転職も怖くない
若い世代が転職に有利な面がある事は、もはや揺らぎようはありません。しかし、だからといって40代の転職が全くできないという事は無く、チャンスは確実にあります。是非ともコツを押さえて転職を成功させましょう。
