介護や看護において、利用者の足や手の温浴を行う「足浴」や「手浴」は、健康効果を実感することができるおすすめの健康法です。特に足浴は血行促進作用を果たす他、リラックス効果を発揮するもの、また、手浴は全身の温熱効果を実感することができるなど、身体に良い効果を実感することができるでしょう。今回は、この「足浴」と「手浴」がもたらす効果をはじめ、準備や手順まで徹底解説していきます。
足浴・手浴とは
私たちが健康効果を実感することができると言われている「足浴」や「手浴」とは、実際にどのようなことを指しているのか、以下にその定義をそれぞれご紹介します。
「足浴」や「手浴」に興味のある方、また、日常生活の中で実践してみたいと感じている方は、実際にどのような効果が得られる健康法であるかを確認していきましょう。
足浴とは
「足浴」とは、身体の一部となる足だけをお湯の中に浸からせる「部分浴」です。疾患や病気によって全身浴が不可な方でも、足浴を行うことによって身体に良い効果をもたらすことができる方法です。
特に寝たきり状態の方や、褥瘡など傷がある方に足浴が最適だと言われています。その他、全身症状を和らげる他、安眠効果をもたらすなど睡眠障害が起こる方に提供される健康法となっています。日常的に自宅で手軽に行える方法のため、実践する方も多い方法だと言えるでしょう。
手浴とは
「手浴」とは、「足浴」と同様、全身浴を行うことが困難であるという方へおすすめの健康法です。手首から指先にかけてお湯に浸し、温めることによって全身への血流を良くする他、安眠効果を得ることができます。
また、感染症予防に効果を発揮するなど、身体に様々な良い効果をもたらすとして知られています。日頃から日常的に取り入れることができる上、準備も手間なく簡単に行うことができるため、ぜひ実践してみてください。
足浴の効果
ここからは、足浴を行うことで得られる健康効果について、以下に4点ご紹介します。いったいどのような効果を実感することができるのかひとつずつ詳しくみていきましょう。
足浴の効果①足を清潔に保つ
私たちの足の裏には雑菌繁殖が活発になる要素となる汗腺がたくさんあります。そのため、常に足裏を清潔な状態に保つことが求められます。また、足を清潔な状態にしていれば、感染症を起こすこともなくいつも正常で健康な足を保つことができます。
足浴の効果②血流障害を予防する
身体の血行促進作用を果たすと言われる足浴は、全身に温熱効果を実感することができるため、むくみを改善し、予防する効果を期待することができます。
足浴の効果③ストレスの緩和
普段の疲れや睡眠障害など、リラクゼーション効果を実感することができる足浴は、こわばった筋肉を緩め、しびれを緩和させ、ゆったりとした気持ちを持つことができます。
さらに、ストレスを和らげる効果を実感することができるでしょう。時にアロマオイルを使用し、より高いリラックス効果を感じてみるのもおすすめです。
足浴の効果④足や皮膚の状態を観察
足浴を行うことで、普段気付かない足の状況を自分で発見することができます。また、足爪を柔らかくし、爪切りを行いやすくする他、汚れを浮かせ、きれいに洗浄することができるでしょう。
手浴の効果
次は、手浴を行うことで得られる身体への健康効果について、以下に3点ご紹介します。私たちの身体にどのような良い効果を実感することができるのか、ひとつずつチェックしてみましょう。手浴に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
手浴の効果①マヒや拘縮のリハビリ
温かいお湯に手を浸けておくと、リハビリ効果を実感することができます。そのため、手指を動かしながら麻痺や拘縮のリハビリとして手浴を行ってみましょう。
手浴の効果②自律神経のバランスを整える
身体を温めることによって自律神経のバランスが整うため、手浴が効果的だと考えられています。冷えやストレスによって自律神経のバランスが崩れてしまうことのないよう、温かいお湯の中に手を浸すことで改善効果が得られるなど、定期的な手浴を行うことをおすすめします。
手浴の効果③冷えの改善
手浴は身体を巡る全身の血行促進作用を果たすため、冷えを改善する効果を期待することができます。また、血流が良くなる分、痛みのある箇所を緩和させる効果、さらに良質な睡眠が得られるなどの効果を実感することができるでしょう。
足浴をする方法
ここからは、足浴を行うために事前に準備すること、また、正しい足浴の手順について以下にご紹介します。これから足浴を実践してみようと思う方はぜひ参考にしてみてください。
足浴の準備
足浴を行う際は、以下のアイテムを準備することから始めていきましょう。
- 洗面器(大と小)
- 防水シーツ
- バスタオル
- ガーゼ
- 泡せっけん
- 手袋
- マスク
- 保湿剤
- 爪切り
足浴の手順
ここからは、足浴を行うための正しい手順についてご紹介します。これから足浴を行う方はぜひ参考にしてみてください。
- 足浴を行うことを伝え、同意が得られたらトイレを済ませておくよう声をかける
- 室温を25℃前後に保ち、防水シートを敷いて洗面器にお湯を張り準備を行う
- ベッドへ腰かけ、両足を床につける
- 片足をお湯に浸け、片足ずつ行う
- 泡石けんで足全体と爪先までを包み込むように洗う
- かけ湯を行いながらきれいに洗い流す
- 水分を拭き取り乾燥予防のために保湿剤を馴染ませる
足浴に最適な温度・時間
足浴を行う際は、熱すぎるお湯はお肌の乾燥を招き、かゆみなどの症状が出る恐れがあるため、39~42℃の適温に保ち、7~30分程度を行うのがおすすめです。
足浴をする際の注意点
足浴を行う際は、感染症の疑いがないか、また、ケガをしている箇所がないか、また食事の前後に実施することは避けるようにしましょう。
足浴はとても清潔にケアしていくことができるため、定期的に取り入れ、実施していくことをおすすめします。ただし、アロマオイルの使用は、医師に確認の上で行っていくようにしてください。
手浴をする方法
続いては、手浴を行う際の事前準備や手浴を行う際の正しい手順についてレクチャーしていきましょう。これから手浴を行うという方はぜひ参考にしてみてください。
手浴の準備
手浴を行う際は、次のアイテムをそれぞれ準備して行いましょう。
- 洗面器(大と小)
- 防水シーツ
- バスタオル
- ガーゼ
- 泡せっけん
- 手袋
- マスク
- 保湿剤
- 爪切り
また、手浴を行う際は、事前に本人に同意を得ておくこと、そしてトイレを済ませておくように伝えましょう。室温は25℃前後に保ち、肌寒く感じる時はタオルで保温を行ってください。
寝た姿勢で行う際は、ベッドより低い位置でテーブルを置き、手浴を行っていきましょう。ベッドに座った姿勢の場合はベッドの上に小さいテーブルを設置し、その上で行うことをおすすめします。
手浴の手順
ここからは、手浴を行う際の正しい手順についてレクチャーしていきます。これから初めて手浴を行うという方は、ぜひその方法をマスターしてみてください。
- 手浴を行う姿勢で座る
- 手浴に必要なものを準備する
- 服の袖をまくり衣類が濡れないようにする
- 39~42℃のお湯を準備する
- 手首まで浸して10分温める
- 片手ずつお湯から出して泡せっけんで指の間を洗う
- 手を洗面器から出し、水滴を拭き取る
- 保湿剤を塗布しお肌を整える
手浴に最適な温度
手浴を行う際は、利用者の状態を確認しながら行いましょう。お湯も39~42℃の範囲で微調整を行ってください。あまりに熱いお湯は火傷の恐れがあるため注意してください。また、適温であるかは利用者に確認しながら手浴を行うことをおすすめします。
手浴をする際の注意点
手浴を行う際は、誰もが行っても良いとは言い切れず、もしも行う場合は事前に医師や看護師の確認を得てから行うことが大切です。
これは、手浴を行うことで皮膚が柔らかくなり、それによって損傷の危険性が高まることにつながる恐れがあるからです。その場合は、利用者の疾患によっては手浴を控えることを指示されることもあるでしょう。
あるいは、本来の手浴時間の内側で短い時間で終えるなど、細かな指示を受けることもあるかもしれません。また、利用者の手にケガがないかどうかを確認してから行うようにしましょう。
もしもあらゆる注意点をクリアして実際に手浴を行えるということになれば、短時間で身体に良い効果を実感しやすい手軽なケアとなるため、ぜひ定期的に実施されることをおすすめします。
介護・看護に足浴・手浴を取り入れてみよう
私たちが行う足浴や手浴は、全身浴が困難であるという方でも手軽に実施することができる上、身体の血行促進効果が得られるため、冷えやむくみを解消する効果を実感することができます。
また、日々の暮らしの中に手軽に取り入れていくことができるため、簡単に行いながらも健康効果が得られるため、ぜひ実践されることをおすすめします。介護や看護の現場で活用する足浴や手浴を、日常的に取り入れ、行っていきましょう。