「終末期ケア専門士」は、死を間近に控えた方の看取りをサポートするための資格です。高齢化が進む現代社会では、「その人らしい終末期をどう過ごすか」が重要な課題となっています。その一つひとつに応えていくためには、より高い専門性が必要とされています。当記事では、終末期ケア専門士とはどのような職業か、また受験資格などを詳しく解説していきます。

目次

終末期ケア専門士とは?

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介護福祉士を目指す方の中には、「終末期ケア専門士」という資格を聞いたことがある方もおられるかもしれません。

終末期ケア専門士とは、簡単に言うと、死を間近に控えた人をケアするための資格のことです。まずは、終末期ケア専門士という資格についておさらいしておきましょう。

終末期ケア専門士は臨床ケアのスペシャリスト

終末期ケア専門士とは、終末期医療について学び、科学的根拠に基づいたケアを実践する終末期臨床のスペシャリストのことです。

この資格の目的は、科学的根拠に基づく実践の知識を学び、ケアの引き出しを増やし、利用者一人ひとりを尊重したケアを提供できるようになることです。

また、終末期には「延命治療を行うか」「残された時間を大切にするか」など、明確な答えを出すことが難しい状況が多く発生します。

そのため、終末期医療専門職のカリキュラムには、倫理観を養うための内容が盛り込まれています。

終末期ケア専門士はステップアップもある資格

認定資格は、ステップバイステップ方式を採用しています。それぞれの資格に与えられた使命を実践できるスペシャリストになるために、各資格は段階を踏んで取得することができるようになっています。

終末期ケア専門士資格は、履歴書や名刺に記載することができ、転職の際にも有効です。特に終末期医療を行うことが多い、緩和ケア病棟や介護施設では、専門知識を持ったスタッフとして重宝されるでしょう。

また、他のスタッフを指導するリーダー的存在になることも可能です。また、直接看取りを行わない現場でも、看取りに関する倫理観やケア方法などが役立つ可能性があります。

そのため、将来的に医療・介護の分野で専門性を高めたい方にとっては、大きな武器となる資格です。

終末期ケア専門士が活躍する職場

終末期ケア専門士資格を持つ介護士は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホーム、小規模多機能型居宅介護施設など、看取りを行うさまざまな介護施設での需要が高まると予想されます。

また、在宅介護士として、自宅での看取りをサポートする仕事もあります。国家資格ではないため、この資格での募集は少ないですが、現場での需要が高い資格として、事業所によっては数千円の資格手当が支給される場合もあります。

大切な人との死別という悲しい出来事は、介護スタッフにとって大きなストレスになります。

また、終末期医療はまだまだ未知の領域であり、現場では様々な混乱や葛藤が生じます。

エビデンスに基づかないケアや行き当たりばったりのケアは、スタッフに過度なストレスを与えることもあります。

そこで終末期ケア専門士の資格を持った専門家が現場で活躍することで、患者さんやご家族だけでなく、周りのスタッフも安心して看取りを行うことができるようになります。

終末期ケア専門士になるには

認定終末期ケア専門士になるには、協会が実施する試験に合格する必要があります。資格や受験資格について見ていきましょう。

終末期ケア専門士の受験資格

終末期ケア専門士になるには、誰でも受験できるわけではありません。医師や看護師などの国家資格のほか、実務経験年数など、いずれかの免許を取得している必要があります。

受験資格基準経験2年以上経験3年以上
該当資格名医師・歯科医師・看護師・保健師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・臨床工学技士・歯科衛生士・管理栄養士・介護支援専門員・社会福祉士・精神保健福祉士・臨床検査技師・公認心理師・救・救命士・放射線技師・介護福祉士栄養士・准看護師・臨床心理士・音楽療法士・介護士

介護士の国家資格がない者の受験も可

終末期ケア専門士になるには、医療・看護・介護の資格を持ち、一定の実務経験が必要です。介護福祉士の資格をお持ちの方は、介護職として通算3年以上の実務経験があれば受験することができます。

国家資格を持たない「介護福祉士」でも、実務者研修の修了証の写しの提出があれば受験が可能です。

終末期ケア専門士の合格率

2020年の第1回では受験者数2,310人、合格者数1,516人で合格率65.6%、2021年は受験者数3,775人、合格者数2,623人で合格率69.5%となっています。

つまり、受験者の7割弱が合格しており、比較的合格を目指しやすい試験といえます。とはいえ、しっかりと勉強時間を確保し、公式テキストで内容をしっかり理解した上で受験するようにしましょう。

終末期ケア専門士の合格への道

終末期医療専門職の試験は毎年10月頃で、年に一度のこの機会に照準を合わせて個人で勉強することになります。

資格や実務経験がある人でも、受験者の3割以上が不合格になるため、最低でも半年は準備期間を確保することが望ましいです。できれば、1年弱かけて地道に勉強するのが望ましいでしょう。

終末期ケア専門士の試験概要

終末期ケア専門士試験には、資格や実務経験などの要件があります。条件を満たした上で、年1回のパソコンテストに合格し、登録することで認定終末期ケア専門士となります。

試験は全90問で、複数の選択肢から1つ以上の正解を選びます。終末期ケア専門士試験を受験するには、まず専用のフォームから受験を申し込み、受験料を支払う必要があります。

その後、1週間程度で申込書が届きます。必要事項を記入し、書類と一緒に返送します。試験当日は、予約した試験会場でコンピュータによる試験が行われます。

合否の通知は試験から約2ヶ月後に届き、合格後に登録手続きを行えば、翌月に認定証が発行されます。

終末期ケア専門士学習方法

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問題は、JTCA認定終末期ケア専門士テキストと、JTCAホームページの「JTCAセミナー」で取り上げている最新のトピックから出題されます。試験は全90問で構成されています。

新しい資格なので難易度の判断は難しいですが、実務経験者の3割以上が不合格になっていることを考えると、決して簡単な試験ではないでしょう。合格するためには、テキストで勉強し、理解を深めることが必要です。

終末期ケア専門士の資格の活かし方

最後に、終末期ケア専門士の資格の活かし方について説明します。資格を取得すると、上位資格の取得も可能です。今後、医療・介護の専門性を高めたい方は、以下をご確認ください。

終末期ケアの専門性を高めた業務ができる

これらの知識は、終末期における身体的・精神的苦痛の緩和や、終末期に活用できる社会福祉制度の提案など、本人や家族の負担を軽減することにつながります。

また、終末期医療の専門家の資格を取得することで、今後到来するであろう「多死社会」にも対応しやすくなります。

人が死を迎えようとするとき、肉体的な苦痛だけでなく、精神的な苦痛を感じることが多いのではないでしょうか。また、ご家族も負担やストレスを感じる状況になることでしょう。

そこで、患者さんやご家族の気持ちに寄り添いながら、看取りを行う専門家の存在が大切になってくるのです。

自身のキャリアアップになる

終末期ケア専門士の専門資格は履歴書や名刺に記載することができ、転職の際にも有利です。特に、終末期医療が行われることの多い緩和ケア病棟や介護施設などで専門性を持つスタッフにとって有用な資格と言えます。

また、他のスタッフを指導するリーダーにもなり得ます。終末期医療を直接担当しない分野でも、その倫理観やケア方法は終末期医療の分野で役立つことがあります。

そのため、将来的に医療や介護の分野で専門性を高めたい方にとっては、武器になる資格です。また、終末期ケア専門士資格を1年以上取得している方は、終末期ケア上級専門士試験を受験することができます。

終末期ケア上級専門士の資格を取得すると、終末期医療の知識や経験だけでなく、チームリーダーとしての知識も身につけることが可能です。

特に、自社施設でのワークショップ開催時には、協会の講義システムを利用することができます。また、協会のサポーターとして、セミナーの準備やイベントのサポートに参加する機会も開かれます。

さらに、終末期ケア上級専門士として1年以上経験を積むと、JTCAアドバンスインストラクターの資格取得を目指すことも可能です。

他分野の講師と連携し、協会の中核メンバーとして活動することで、社会貢献の場がぐっと広がります。

これから看取りケアは必要な知識や技術

終末期ケア専門士とは、死を目前にした人が自分らしい最期を迎えられるようにケアする専門家です。

現在、終末期ケアは未開拓の部分が多くありますが、この資格により、一人ひとりのニーズに対応できるスタッフを育成することが期待されます。

将来、終末期医療に携わりたい方、医療・看護分野の知識を深めたい方は、ぜひ「終末期医療専門士」の資格取得にチャレンジしてください。

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