日本において、社会的な問題とされ続けている高齢者や介護に関する話。勿論これらの問題に対して何もしていない訳はなく、介護予防として様々な施設が全国的に展開されていたりします。今回は、いずれ必要になるであろう介護予防に関して、どんなサービスがあるのかなどを解説します。
介護予防とは
日本において、介護に関する問題は非常に多く存在しており、少子高齢化という背景が影響しているところも大きいものです。そんな中、これを解決するための介護予防も広まっています。
要介護状態になることを防ぐ
厚生労働省の資料によれば「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」が定義になっています。
これはすなわち、介護が必要になる状態になる前にできる限り予防する事、または遅らせる事であり、もし既に介護が必要な状態であれば要介護段階を最低限の状態に押さえるという、複合的な意味があるのです。
高齢者の自立した生活の維持を支援
基本的には要介護状態になるのを防ぐのが介護予防に相当しますが、それだけではなく、高齢者が自立した生活が出来るよう維持、支援するのも同じです。要介護状態となると、自宅で済むのが難しく施設に行くケースも珍しくありません。
高齢者本人の、住み慣れた家で最期まで暮らしたいという思いを実現するべく、地域がリハビリ等を通して心身機能や活動、社会参加などを促します。日常生活をより生きがいのあるものにするべく、社会側からアプローチするのです。
介護予防の詳細
介護予防と一口に言っても、介護を未然に防ぐ意味合いもあれば、既に介護が必要な状態でも可能な限り悪化を防ぐといった意味もあるので、その内容も様々です。
- 食生活を見直し栄養面を改善
- 体操、レクリエーションを通しての運動機能低下防止
- 会話等で口腔機能の向上
- 日常生活の質を高める
こういったものは、あくまでも予防が主な目的となりますので、対象となるのは現時点で基本的に自立した生活が出来ている健康な高齢者、もしくは要支援が1~2の高齢者になります。
介護予防サービスの種類・特徴
介護予防は、目的こそ要介護になってしまう前の予防という点に集約されますが、実際に行われる内容は多岐にわたっています。実際の予防サービスについては、大きく3つほどに分けられます。
種類①介護予防通所介護(デイサービス)
まず、介護予防通所介護、通称デイサービスです。デイサービスという方が分かりやすいかもしれませんが、高齢者用のサービスセンターに日帰りで通い、食事、入浴等の生活に関する支援を受けます。
これに加えて、体操やレクリエーションなど実践して日常生活機能の維持、および心身機能の維持向上を図り、利用者一人一人の能力に応じてライフスタイル実現のための支援が行われます。
種類②介護予防訪問介護(ホームヘルプ)
続いて、介護予防訪問介護、通称ホームヘルプになります。デイサービスが利用者の方が施設の方へ通うという形であったのに対して、ホームヘルプでは訪問介護員、ホームヘルパーが文字通り訪問して支援を行う形となります。
こちらでも利用者の能力それぞれに適したサービスを提供する点は変わりませんが、なるべく利用者が住み慣れた居宅で自立した生活を送り続けられるようにするのが一番の目的となっています。食事、入浴介助、掃除や洗濯等もサービスに含まれます。
種類③介護予防通所リハビリテーション(デイケア)
もう1つが、介護予防通所リハビリテーション、デイケアです。通う施設は病院や介護老人保健施設などになり、作業療法や理学療法などを通じたリハビリテーションを行う事で、高齢者の自立した生活を促し支援するのが主目的となります。
リハビリのサービスを受けるのは、日常生活における基本的な動作をほぼ自立して行う事が可能で、状態の維持または改善の可能性が高い要支援1もしくは2に該当する高齢者です。
具体的には、筋力や体力の維持、関節の拘縮予防、自主的なトレーニング指導の他、管理栄養士による栄養士戸津、歯科衛生士や言語聴覚士による航空機能向上が該当します。
地域密着型介護予防サービスの種類・特徴
介護予防サービスには、地域密着型も存在しています。原則として対象の地域に住んでいる住民のみが利用できる、という特徴を有しています。
利用者の希望に合わせて通所できるものもあれば、認知症高齢者を対象としてのリハビリや支援等を受けられるものもありますので、3つに分けてご紹介します。
種類①介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防小規模多機能型居宅介護は、居宅のままで自立した生活を送り続けられるように提供されるサービスです。要支援1、もしくは2に該当する高齢者を対象として、居宅に縛られず通所や外泊などを組み合わせて行われる場合もあります。
基本的には日常の生活の介助、およびリハビリや身体チェック、症状悪化の防止といった点が目的になっていて、基本は日帰りの通所もしくは訪問が軸ではあるものの、利用者の状態や希望等を考慮して短期入所等適切な組み合わせで行われます。
食事、入浴の介助をはじめとして、排せつや掃除、洗濯、調理等行われる内容としてはホームヘルプのそれに近いものになります。生活をする上での相談を受け、それらに対してのアドバイスを返す場合もあります。
種類②介護予防認知症対応型通所介護
介護予防認知症対応型通所介護は、軽度の認知症と判断された高齢者を対象として、食事、入浴等の生活上の介護、および健康管理やリハビリテーション等の複合的なサービスを行うものになります。
小規模多機能型が要支援の高齢者を対象にしていたのに対して、こちらでは認知症を軽度に患っている高齢者が対象です。基本的に日帰りで、デイサービスセンター、グループホーム等での通常生活支援や機能訓練等を受けます。
自宅からの送迎から始まり、血圧測定などの簡単な健康チェック、食事の提供から入浴や排せつ等の介助をし、日常生活のための簡単な機能訓練や施設によってレクリエーションを実践する事もあります。
種類③介護予防認知症対応型共同生活介護
そしてもう1つは、介護予防認知症対応型共同生活介護になります。少人数の家庭的な雰囲気の中、共同で認知症の高齢者が生活を行い、これを支援するサービスであり、約5人から9人程度の人数の中で一緒に生活をします。
一緒に生活をするのを通して、認知症の症状進行を遅延させ最大限日常生活を自立したまま行えるよう支援をする事、介護予防の主目的である要介護状態への移行の阻止のための対応を行います。
認知症の原因となる疾患が急性の状態になく、疾患その他の要因に基づき脳の器質的な変化があり、これによって日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下しているのが支援対象です。
地域支援型予防サービスの種類・特徴
平成18年4月より、介護保険の介護予防事業として新しいサービスが展開されています。それが地域支援型予防サービスであり、密着型とは異なり各市町村が実施しているものが、大きく分けて2種類あります。
種類①介護予防特定高齢者施策(一次予防事業)
介護予防特定高齢者施策は、一次予防事業とも呼ばれているサービスです。今後要介護、要支援状態になる可能性がある、特定高齢者に認定された高齢者を対象としており、地域包括支援センター等で依頼をすれば受けられるようになります。
訪問型、通所型の2つの形式があり、訪問型の場合にはホームヘルパーによる介護予防訪問と同じように生活介助が行われます。そのほか、保健師や看護師の手で生活指導や栄養改善等も行います。
対して通所型の場合、市町村から委託されている病院等の保健所や社会福祉法人、高齢者住宅サービスセンター等の公共団体によって、介護予防に関しての講義を開催するケースもあります。
種類②介護予防一般高齢者施策(二次予防事業)
もう1つは、介護予防一般高齢者施策、二次予防事業です。こちらは、介護保険を利用していない高齢者を含めた65歳以上の全高齢者が対象となる事業で、各地域ごとの介護予防活動支援、普及や啓発が行われます。
予防活動においては、研修会や健康セミナー、認知症予防の講習会、会食親睦会の開催の他、ウォーキングや料理教室なども開かれるということで、生活に関連する内容はもちろん、今後の介護予防に関する知識の啓発も高頻度で行うのです。
介護予防サービスの特徴を把握して積極的に利用しよう
現状において、介護保険等も万全に機能している訳ではありませんし、現実に即していない側面もあるのは事実です。だからこそ、こういった介護予防サービスがある事を知識として知り、そして最大限活用するようにして下さい。