介護士の方は、思ったよりも給料が少なく、もう少し稼ぎを増やしたいと考える方が多いという現状にあります。しかし、労働時間が増えると自分への負担も増えてなかなか良い仕事が見つからないという方も多いでしょう。そこで今回は、介護士の方におすすめの副業や、副業を行う際の注意点などについて詳しく解説していきます。

介護士の副業は可能?

介護士が副業をすることは、日本の法律的に言えば可能です。しかし、職場によってルールが定められており、労働者はそのルールに従う必要があるため、一概に全ての方が可能とは言えません。詳しく見ていきましょう。

職場の就業規則による

副業というは、アルバイトに限らず会社員においても法律的には禁止されていないため、罰せられることはありません。しかし、職場によって副業を禁止している企業は一定数存在するので、介護士の方が副業を行いたい場合は職場の就業規則を確認する必要があります

また、仮に現在の職場が副業を許可していても、副業として行うもう一方の職場が許可していなければ、他の仕事を探さなければなりません。そのため、もう一方の職場の就業規則も併せてチェックしましょう。

万が一どちらかの職場で副業が禁止されているにも関わらず、そのルールに反して仕事に就いてしまうと、ペナルティが科せられたり、最悪の場合退職せざるを得ない状況に陥る場合もあるので、注意してください。

介護士で副業している人はどのくらいいる?

厚生労働省による実態調査では、介護士を含む医療福祉業界の副業率は10%という結果が出ています。また、そのうちの半数以上の方が金銭的な理由で副業を行っているということもわかりました。

介護士は、日本の職業全体で見たときに、あまり収入が多い方ではないので「副業をしないと生活が成り立たない」「家族を養うことができない」「収入を増やしたい」という理由によって副業を余儀なくされている方が多いようです。

介護士が副業する際の注意点

続いて、本業は介護士で副業を検討しているという方が、注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。職場に秘密で副業をしたいと考えている方もチェックしておきましょう。

注意点①労働時間

日本が定める法定労働時間は、1日8時間以内、かつ1週40時間以内で、休日は週に1日以上与えることが規則となっています。さらに36協定を届け出ている場合の時間外労働(残業)に関しても、しっかりと限度が定められています。

副業を行う場合は、2つの会社から雇われるわけですが、両方の職場での労働時間が通算されるということを覚えておきましょう。そのため、副業をすることで法定労働時間をオーバーしてしまうと違法となるので注意してください。

注意点②確定申告

副業の収入分は、年間収入額が20万円を超えると課税対象となります。この場合、確定申告を行って収入に応じた税金を納めなければなりません。職場に黙って副業を行っている方は、納税額で副業がバレてしまうことを恐れて確定申告をスルーする方もいます。

しかし、万が一無視していたことが発覚すると処罰が与えられたり、ペナルティ料金として多く税金を払うことになる可能性もあるので、素直に確定申告を行っておくことが賢明です。

注意点③スケジュール管理

収入を増やすために副業を行っていても、それはあくまでも副業であるということを理解し、本業との兼ね合いを考慮しながらスケジュール管理をしっかり行いましょう。副業で疲れて寝坊が増えたり、時間を勘違いして本業の仕事に遅刻していったりというミスが続くと、本末転倒です。

また、同じ職場には副業をしていないスタッフももちろんいるはずですが「私は副業をしているから周りの人より疲れてて当たり前」という考えは、間違いです。その職場では皆均等に働き、同じ給料をもらっているわけなので、他のスタッフと同等のパフォーマンスで仕事ができるよう心掛けるべきです。

注意点④体調管理

副業をするのは良いですが、体調管理をしっかり行うことも大切です。副業で疲れ果て体調を崩して本業を休んだり、仕事中に調子が悪くなって休ませてもらうなんてことがあるようなら、そもそも副業をするべきではありません。

仮に副業を職場が把握していても「○○さんは副業をしているから仕事を減らしてあげよう」と気遣ってくれる職場も少ないはずです。なぜなら、副業をすることも、それに合わせて体調管理を徹底することも全て自己責任だからです。自分の体質や体力も考慮しながら、本業と副業のバランスを調整して働くようにしましょう。

注意点⑤副業の話はしない

万が一、副業が禁止されている職場で、黙って副業をしているという場合は、たとえ仲の良い同僚だとしても副業に関する話題は出さないように注意してください。他の人からその話を聞かれたり、同僚が他の人に告げ口をしてしまう危険性も十分あるので、広まったときに面倒なことになります。

また、副業をしたくても職場のルールに則って副業を我慢している人がいるかもしれません。その場合、反感を買ったり上司に訴えられることもあるでしょう。

介護士におすすめの副業8選

ここからは、介護士の方におすすめの副業を厳選してご紹介していきます。十分な睡眠時間が取れる、副業としても働きやすい、融通が利くといったポイントを考慮した職業に絞っているので、ぜひ参考にしてみてください。

おすすめ①在宅ワーク

在宅ワークは全体的に体力を温存しながら働くことができるため、肉体労働も伴う介護士の方にとって最適な副業となるでしょう。在宅ワークと言っても様々な仕事があり、商品の梱包・検品・シール貼りなどの軽作業、ハンドメイド、Webライター、モニターなどが主流です。

これらは、バイト求人サイトやネット経由の業務委託サービスなどで仕事を探すことができるため、一度インターネットで検索してみると良いでしょう。基本的には会社に属さないので、自由に働けて時間に追われることも少ないという点が在宅ワークのメリットだと言えます。

おすすめ②飲食店

コミュニケーション能力や体力に自信がある方は、飲食店での副業もおすすめです。店によっては時給が高い場合も多く、生活の足しになるでしょう。しかし、人気店の場合は忙しい時間帯が多いので、体力を消費します。

不安であれば、ピークを避けた時間帯にシフトを組んでもらったり、深夜帯に働くと比較的疲れにくいかもしれません。また、店によってはまかないを出してくれる分食費が浮く場合もあります

おすすめ③コンビニ

コンビニは24時間営業なので、コンビニ夜勤のバイトを副業として行っている介護士の方は多いようです。コンビニの夜勤バイトは深夜手当が付く分、日勤より時給も高くそこまで忙しくもないため、体力を消費せずにある程度の給料を稼ぐことができます。

日勤で翌日が休暇という日や、日勤で翌日が夜勤というシフトの日は、コンビニの夜勤バイトを入れることができ、睡眠時間も確保できるのでおすすめです。また、コンビニのバイトは「週〇日以上入って欲しい」などと言われることも少ないので、スケジュールが組みやすいという点もメリットとなるでしょう。

おすすめ④覆面調査

通常のお客さんと同じように指定した店に来店し、条件通りの調査を行う覆面調査、通称「ミステリーショッパー」の仕事も、好きな時間に行える上、案件によっては利用料金が大幅に浮いたりプラスになる場合もあるので、おすすめです。

主に飲食店や美容室、ガソリンスタンド、アパレルショップ、カーディーラーなど、日常的に立ち寄るお店が中心となっており、食事や給油、ヘアカットなどであれば、これらのコスト削減にも繋がるため、他に副業を行っていたとしても登録しておくと便利です。

また、調査報告は登録者自身で行うことが必須ですが、飲食店などの来店は同伴者がいてもOKなので、楽しみながらできて出費も浮くという点で、非常に人気となっています。

おすすめ⑤登録ヘルパー

登録ヘルパーは、希望する曜日や時間帯を指定して訪問介護を行うという、介護職の中でも自由な働き方ができる雇用形態なので、副業として登録している方は多いです。条件として「介護職員初任者研修」を修了する必要があります。

本業も介護職の方であれば仕事内容が似ている分、新しく仕事を覚える手間も省けて、時給も他のアルバイトに比べてやや高めなのでおすすめです。ただ、希望した日時に必ずしも仕事の依頼が入るとは限らないので、確実な収入源にならない場合もあるということは理解しておく必要があります。

おすすめ⑥買い物・家事代行サービス

病気にかかって外出が難しい方や、高齢者のみで暮らしている方などのために買い物を代行したり、自宅の掃除や洗濯、料理などを代行するサービスを提供する仕事です。仕事先を探す際は、地域ごとに発行されている仕事情報誌やこういった仕事を仲介するサイトに登録すると、依頼を受けることができます。

会社に属さなくとも、個人で契約し自分の判断で仕事や依頼先を選択することが可能なため、自由な働き方ができるでしょう。その分、常に依頼先が見つかるというわけではないということを考慮しておきましょう。

また、訪問介護を行っている方の場合、訪問先の家庭にこういった依頼を持ちかけると違反行為にあたる場合もあるので、介護職とは切り離して契約することが大前提です。

おすすめ⑦介護派遣(夜勤専従)

介護施設によっては、夜勤専従のスタッフをアルバイトとして募集している職場もあります。こういった職場に休暇前日や本業の職場での夜勤前日など夜勤ができる日のみアルバイトに行くという介護士の方も少なくありません。

夜勤の場合、スタッフの人数が少なく、その施設に所属している介護士との交流も最低限で済むほか、仕事量も日勤に比べると少ないことが多いので、比較的働きやすいと言えます。ただし、万が一夜間の時間帯に利用者の体調急変があった場合は、臨機応変な対応が必須となります。

そのため、もしものことを考えて経験年数の豊富な介護士や、有資格者の方に絞って募集している施設もあるので、介護士としての経験が長い方は夜勤専従のバイトやパートを考えても良いでしょう。

おすすめ⑧新聞配達

新聞配達は朝刊であれば2:00~6:00くらいの間が勤務時間となり、時給も比較的高めなので、副業として新聞配達を行う介護士の方も多いようです。

夜勤の日や休みの日の朝ならば、新聞配達の仕事をしてから睡眠を取るということもできるため、睡眠不足にもなりにくく、体調を考慮しながら無理のない範囲で稼ぐことができるでしょう。

介護士が副業することのメリット・デメリット

介護士の方は収入面を考慮して副業を行うという方がほとんどですが、副業にはメリットだけでなくデメリットも伴います。ここで、副業をすることのメリット・デメリットについて詳しく解説しましょう。

副業するメリット

介護士が副業する最大のメリットと言えば、収入が増えるという点です。もちろん副業を行う方こそ「収入を増やしたい」という理由を持つ方が大半のはずですが、やはり副業を行うことで生活の足しになったり、自分の好きなことに使えるお金が増えます。

また、将来のことを考えて貯金をしておきたいという方にとっても、副業で稼いだ分は全て貯金にするなどと区別しやすく、副業をする時間はお金を出費することがないので、貯まりやすいというメリットも考えられます。

他にも、介護職以外の職場を体験して経験値がアップするというのも大きなポイントとなるでしょう。全く違う現場に立つと違った視点から物事を考えられるようになったり、本業でストレスが蓄積している方は副業の時間が息抜きになるという方もいます。

副業するデメリット

一方で、副業を行うデメリットとして考えられるのは、心身ともに疲れやすくなるという点です。介護士という仕事は、実際は肉体労働であり体全体を使って仕事を行う場面が多いでしょう。そのため、本業の後に副業も行うとなると、体は疲れやすくなります。

また、精神的な負担になるという場合ももちろんあるはずです。従って、できるだけ体力を消費せず、精神的なダメージの少ない仕事を選ぶのがおすすめです。

また、副業禁止の職場なの、隠れて副業をするという方も、バレたときのことを考えると接客業などの職場は避けておくべきなので、選べる仕事が限られるというデメリットもあります。

介護士の副業がバレることはあるの?

介護士で副業をする方の中には、本業の職場が副業禁止なのに、こっそり仕事をしているという方もいるでしょう。その場合、職場に副業がバレることももちろんあります。そこで、バレてしまう理由や、その対策について解説します。

注意点を抑えていれば基本的にバレない

副業がバレる理由は、基本的に同僚による告げ口か、住民税の増額です。他人からの告げ口は、自分が徹底して他言しなければ防げます。問題となるのは、税金の増額でしょう。副業による住民税は、自分で納めるように調整すればバレることはありません。

そのため「本業の職場が副業禁止だが、どうしても副業をしたい」という方は、普通徴収で住民税を納めることができる職業を選ぶのが条件となります。

住民税の通知でバレることもある?

なぜ住民税の増額で副業がバレるのかというと、本業先の給与明細にから天引きされる住民税は、年間の収入が全て合算された額から割り出されるためです。つまり、本業先での給料が変化していないのに昨年よりも明らかに住民税が増えたとなれば、一発で副業が疑われることになるのです。

これを防ぐために、副業での所得に応じた住民税は「普通徴収」として自分で納めるよう、確定申告または住民税申告が必須となるため、注意しましょう。

副業がバレたときの対処法

副業がバレてしまったときは、まず素直に謝ることが大切です。そして、万が一副業をできなくなったらどうしても厳しいという場合は「お金に困っていて副業をしなければ生活ができない状態である」ということを切実にアピールしましょう。

しっかりと自分の想いが伝われば、副業に関しての規定を考え直してくれたり、特別に副業を許可してくれるかもしれません。

一方で、副業をしていなくてもなんとかやり繰りができる、現在の職場を絶対に辞めたくないという場合は「副業というより、一時的に頼まれて行っていたのですぐに中断できる」と伝えます。すぐに副業をやめるよう約束すれば、今回は見逃してくれるという場合が多いでしょう。

注意点を守り介護士をしながら副業で副収入を得よう

介護士の方は、注意点を押さえながら、無理のない範囲であれば副業によって収入を増やすことも可能です。自分の体力や精神面、副業の仕事内容なども考慮しながら、効率よく稼いでいきましょう。

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