介護の仕事はやりがいのある仕事ですが、定期的な給与やボーナスなどの収入も重要です。しかし、職場によってはボーナスが支給されなかったり、支給額が少なかったりして不満に思うケースも少なくないようです。今回は、介護職のボーナス事情とボーナスの増やし方について解説します。また、ボーナスなしで働く介護職の割合や、勤続年数や施設の種類による違いも紹介しますので、ぜひチェックしてみましょう。

目次

介護職はボーナスが出るの?

まずは、介護業界でボーナスを支給している事業所がどのくらいあるのかを見てみましょう。2019年に実施された公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、正社員に対して「定期的に賞与を支給している」と回答した事業所は約7割(71.9%)に上りました。

「賞与制度はあるが、経営状況によって支給されないこともある」(11.0%)、「制度はないが、経営状況によって支給されている」(8.0%)など、状況に応じて支給されているケースを含めると、9割を超える(90.9%)ことがわかっています。

こうした調査結果を考えると、多くの場合介護職でもボーナスを支給されている状況が見えてきます。一方、非正規社員では、「ボーナスは定期的に支給されている」が約4割(38.8%)に留まっている現状があります。

「制度はあるが、経営状況により支給されないこともある」が8.9%、「制度はないが、経営状況により支給されている」が15.2%となっています。このように、非正規職員では正社員に比べて確率が低い現状があります。

介護職のボーナスはどれくらい?

介護業界は賃金が低いとニュースなどで報じられていますが、実際の賞与はどうなっているのでしょうか。介護業界の平均ボーナスは約53万円で、男女別では男性が57万円、女性が49万円と、男性の方が多い傾向にあります。

ボーナスは一般的に夏と冬の年2回支給されるので、1回あたりの支給額は約26万円ということです。介護職はボーナスが出ないというイメージがありますが、介護労働安定センターが行った介護職の実態調査によると、ボーナスの支給割合は年々増加傾向にあるようです。

年齢別で見る介護職の平均ボーナス

介護職の場合、20代前半や経験の浅い新卒者の平均賞与額は64万円、20代後半で約97万円となっています。いずれも夏と冬のボーナス4カ月分を合わせた金額ですが、20代のボーナスは100万円に届かないケースも少なくありません。

施設形態別で見る介護職の平均ボーナス

介護職の場合、法人やサービスの種類によってボーナスの有無や金額が異なります。そこで、施設の種類や職種ごとの平均額や支給方法、相場を知っておくと便利です。

介護労働安定センターの調査によると、介護老人保健施設(特別養護老人ホーム)などの居住系介護施設では約9割(90.1%)が定期的に賞与を支給していますが、通所系介護施設では約7割(69.8%)、訪問系施設では約6割(59.8%)しか支給されていないようです。

つまり、入所施設に勤務していれば、ほとんどの場合ボーナスが支給されますが、訪問施設ではボーナスが支給されないケースが多いということです。また、介護業界も他の業界と同様に、事業所の規模が大きくなればなるほど、賞与の金額が高くなる傾向があります。

勤続年数別で見る介護職の平均ボーナス

では、勤続年数によってどのくらい差が出るのでしょうか?平成元年賃金構造基本統計調査によると、介護業界のボーナスは勤続年数に比例して増加することが分かっています。

例えば、勤続1~4年の社員と15年以上の社員では25万円以上もの差があります。ボーナスは基本給の1ヶ月分を基準に計算されることが多いので、経験年数による昇給に合わせてボーナス額も増えていくことが予想されます。

入社1年未満の場合は、入社1年以上の場合よりもボーナス額はかなり低くなります。場合によっては、ボーナスを受け取れないこともあります。勤続年数が1年以上であれば、ボーナスは支給されると考えておいた方が良いかもしれません。

職種別で見る介護職の平均ボーナス

介護職員には訪問介護員や介護支援専門員などさまざまな種類があり、必要な資格や業務が異なるため、支給されるボーナスの額にも差があります。例えば、介護職のボーナスの平均は約54万円、訪問介護では約43万円となっています。

一方、事務的な仕事を行うサービス提供責任者(サ責)のボーナス平均支給額は約60万円の傾向にありますが、仕事の専門性が高いケアマネージャーは約68万円と高めに設定されています。難易度が高く、資格が必要な仕事ほどボーナスが高くなる傾向があるようです。

保有資格別で見る介護職の平均ボーナス

介護職の場合、介護福祉士や介護職員初任者研修、社会福祉士など仕事に役立つ資格を持っている人が多く、その資格をもとに賞与の支給額を決めている事業所もあるようです。ベースとして、無資格で介護職として働く人のボーナスの平均は約39万円です。

一方、介護職員初任者研修や介護職員実務者研修などの資格を持っている人は、無資格者よりも賞与の支給額が高く、平均して約44万円となっています。次にボーナス支給額が高いのは介護福祉士で、全介護職の平均とほぼ同じ約59万円ということです。

また、介護職の中でも難関資格である社会福祉士の資格を持っている人のボーナス支給額は平均約65万円と、全介護職の中で最も高い金額となっています。

介護職のボーナスの査定基準や支払時期はいつ?

ボーナスは通常年2回支給されますが、介護の仕事においてボーナスはいつ支給されるのでしょうか。ボーナスが支給されるタイミングを知っていると、仕事のモチベーションにもつながります。ぜひ確認しておきましょう。

介護職のボーナスの支払時期

企業や公務員は通常、夏と冬の年2回、ボーナスが支給されます。クレジットカードのボーナス払いや住宅ローンの返済も、ボーナスが年2回支給され、夏と冬に増えることが前提となっています。ボーナスの支給時期が他の業界と違っていたら、人生設計が狂うこともあるでしょう。

しかし、結論から言うと、ほとんどの介護施設では、他の企業と同じように夏と冬にボーナスを支給しています。冬は12月、夏は6~7月が多いようですが、8月に支給するところもあるようです。ボーナスは通常、給与の支払いと同時か、月の15日に支給されます。

介護職のボーナスの査定基準

ボーナスの金額も会社によって違います。介護業界では、賞与額の基準はありません。とはいえ、求人情報には「賞与は年2回、4ヶ月分」と記載されていることが多く、賞与は基本給をベースに計算されるケースがほとんどです。

会社の業績によって支給額が変わるケースも多いようです。求人票に記載されている金額は、あくまでも過去の実績の参考として捉えてください。

介護職でボーナスアップする方法

介護職のボーナスは増加傾向にありますが、今の支給額を増やしたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、介護職の方がボーナスを増やす方法をご紹介します。ボーナスを増やしたい方は、ぜひ参考にしてください。

ボーナスアップ方法①資格を取得する

介護職で活かせる資格を持っていると、ボーナス査定で有利になりやすい。資格取得に自信がない方は、介護職の経験が少なくても取得しやすい介護職員初任者研修や実務者研修から始めてみてはいかがでしょうか。

また、介護福祉士の資格を目標にするのも良いでしょう。他の資格に比べて難易度は高いですが、介護福祉士の資格を取得しておくと、ボーナスアップにつながり、仕事の幅が広がるのでおすすめです。

ボーナスアップ方法②役職を上げる

介護職には、「主任」「ユニットリーダー」「サービス管理責任者」といった役職があります。役職に就くと、毎月の手当が支給されるだけでなく、昇進に影響する場合もあります。役職が上がれば上がるほど、ボーナスも高くなる可能性が高いので、結果的に高いボーナスを期待することができるのです。

ボーナスアップ方法③転職する

会社に賞与制度がない場合、制度を変更したり、賞与を要求したりすることが難しい場合があります。そのような場合は、賞与支給のある介護施設や事業所に転職することで解決できます。特に介護業界は人材不足が懸念される業界ですので、人材確保のために様々な待遇の求人が出ています。

介護職を続けながら給与やボーナスを上げていこう

生活を安定させるために給与や年収を上げることは、介護福祉士や介護職として働き続ける上でとても重要なことです。就職・転職を考えている方は、求人情報で給与だけでなく賞与もしっかり確認し、自分に合った職場を選ぶようにしましょう。

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