40代で転職や再就職を考えた場合、「年齢的に厳しいのでは…」と思っている方が、多いのではないでしょうか。
確かに、年齢が高いと、仕事の経験値を考えれば、その分期待度も高まる傾向にあるため、即戦力を求める企業があるのは事実です。
そのため、未経験の場合や、職歴に自信のない方は、不安な気持ちを抱いてしまうこともあるのではないでしょうか。

しかし、職種によっては、年齢や経験に関係なく採用してくれるところがあります。
今回は、40代の転職の現状やおすすめの職種などについてご紹介させていただきます。

目次

40代の転職の現状

厚生労働省の令和2年「雇用動向調査結果の概況」の「転職入職者の状況」によると、20代・30代・40代の転職入職率は、以下のような結果となっています。

  男性 女性
20~24歳 12.7 14.3
25~29歳 12.4 13.8
30~34歳 11.1 10.0
35~39歳 7.6 10.6
40~44歳 6.2 11.0
45~49歳 5.2 9.0
参考:令和2年雇用動向調査結果の概要

※「女性」は、パートタイム労働者の方も含む合計になります。

40代の転職は、20代や30代に比べると、難しい傾向にあります。 40代の採用が少ない理由としては、以下のようなことが考えられます。

そもそも40代の採用枠が全体的に少ない

企業などにもよりますが、40代の転職が難しい理由の一つに、そもそも40代以上の採用枠が狭いというのがあります。

法律上では、労働者の募集及び採用について、「年齢にかかわりなく就職に対して均等な機会を与えなければならない」とされており、基本的に年齢制限の禁止が義務化されています。しかし、実際のところ、求人上では年齢不問としながらも、企業側でもともと採用したい年齢層が決まっていたり、経験は浅いが若くて将来性の高い20代や、ある程度の経験を重ねており即戦力として活躍できる人材も多い30代を優先に採用したりする場合が多くあります。

また、40代となると、20代や30代の若手をまとめるリーダーや管理職といったポジションの方が多くなり、そのような役割の方はそんなに人数が必要とされませんから、必然的に採用枠も少なくなります。

さらに、「長期雇用」という面でも、年齢だけを考えた時に、40代の方は定年までいたとしても20年ほどしかいられないため、20代を採用する場合が多かったりします。
このように、中途採用などで企業が求める人材がマッチしづらいことや、40代はまとめ役を担う立場の方が多いこと、働ける年数に限りがあるといった理由から、40代は採用枠が狭い傾向にあります。

社会人経験が少ない方や資格がない方は、転職や再就職が難しい場合もある

特に女性の方で結婚や出産を機に仕事を辞めた方や、社会人経験がない方、資格がない方などが、40代から仕事を探すのは、転職や再就職が難しい場合もあります。 また、職種によっては、企業が40代の未経験者をあえて採用するメリットがないという場合もあります。年齢相応の経験やスキルを求めてくる企業もあるので、未経験の職種の採用は特に厳しい傾向にあります。

会社に馴染みにくい

職場の年齢構成にもよりますが、40代の転職・再就職となると、上司が年下であることも多く、企業の教育担当者からすると、特に他の企業で働いた経験のあるベテランの方などには、仕事を頼みづらい、注意しづらいなど、年齢的に扱いづらいと思われることもあります。

雇われる側からしても、上司や先輩だからといって、年下に友達口調で仕事の指示や指導などをされることにストレスを感じてしまう方もいます。 また、前職の勤務年数が長い方は特に、再就職・転職先である会社独自のルールや雰囲気などに馴染めない可能性があります。そのため、企業のカラーに染まりやすい20代が採用されやすいという傾向にあります。

年収アップが難しいため

40代となると、経済的な面でも家族を支える立場にいる方が多いため、求職者の金銭的な条件が合わず、転職や再就職がうまくいかない場合もあります。

また、企業側としても、会社の給与規定に従い、年齢相応の給与を出さなければいけないため、賃金水準の高い中高年の採用は敬遠しがちになり、採用基準も高くなります。

40代からでもできる仕事

これまでお伝えしたとおり、様々な理由から、40代の方の転職や再就職が難しいというのは確かにあります。
しかし、だからといって、40代、あるいは40代未経験からの転職・再就職が不可能というわけではありません。

年齢やそれまでの経歴、知識、スキルなどを武器にすることができれば、未経験の職種でも採用される可能性は十分にありますし、経験やスキルなどは問われず、年配者ならではの落ち着きが求められる職種もあります。

また、あらかじめ専門的な知識などを身に着けておく必要がないところ、慢性的に人手不足なところであれば、職歴などに不安がある方でも、比較的、転職・再就職しやすい傾向にあります。 40代の転職・再就職におすすめの職種には、以下のようなものがあります。

営業職

40代・未経験でも採用されやすく、比較的求人数が多い職種になります。営業職の場合、営業に必要な知識や技術などは会社に入ってから身に着けることになるため、未経験者でも採用されやすい傾向にあります。

とにかく成果を重視されますが、それが昇給や昇進に反映されやすく、やりがいを感じやすいのが特徴です。

また、40代は、20代や30代にはない落ち着き感などが、説得力や安心感に繋がるということから、積極的に採用する企業もあります。 特にコミュニケーションが得意な方や、向上心がある方、積極性がある方などに向いています。

事務職

女性からの人気が高い傾向にありますが、最近では男性の応募も増えています。

事務職といっても、一般事務や医療事務、学校事務、営業事務、労務事務などさまざまあり、もちろん勤務先や業務内容も異なります。事務職によっては、資格が必要であったり、「実務経験○年以上の方」などの条件が設けられていたりする場合があります。

事務職の中途採用となると、即戦力を求めている企業もあるため、事務職経験者には有利なところもあります。

しかし、未経験可で募集しているところもそれなりあるため、初心者でも応募しやすい職種となっています。

年齢関係なく応募が集まるため、倍率は高い傾向にあります。 PCでの作業やさまざまな部署とのやり取り、電話対応、お客様対応、書類作成等を行うため、基本的なPCスキルやコミュニケーション能力、ビジネスマナーなどは必要となります。

接客業

未経験、40代からでも始められる仕事です。勤務先は、スーパーや飲食店、ドラッグストア、ホームセンター、デパート、ホテル、結婚式場など幅広くあります。

老若男女問わず様々な人を相手にする仕事であるため、人と接することが好きな方や、コミュニケーションが得意な方は特に仕事がしやすいでしょう。 また、接客業はシフト制のところが多く、動き回る、あるいは立ちっぱなしになることもあるため、体力が必要な場面は多くあります。

工場内作業

工場の製造業務などは、比較的単純作業が多いため、仕事に慣れやすく、年齢・性別に関係なく人材を募集しているところが多くあります。職場によりますが、50代や60代のベテランが多いところでは、40代が若く扱われることもあるでしょう。

工場勤務は、資格や経験がなく、職歴にも自信がないという方でも応募しやすい・採用されやすい仕事です。

また、少ない人数で回していたり、よほどの繁忙期であったりしない限り、残業はほとんどありません。 食品系の工場や機械系の工場等様々あり、工場によって製造業務や製品の詰込みなど様々な業務があります。

介護職

年齢や経験、能力などに関わらず活躍できる仕事です。日本は超高齢社会で、高齢者の人口は増加傾向が続いているため、人手不足に悩んでいる介護施設や事業所は数多くあります。

介護職は、未経験からでも始められるうえ、働きながら介護関連の資格を取得するなど、キャリアアップや昇給も目指すことができます。年齢がネックになることはほとんどなく、長い目で見たときに安定している職ともいえるでしょう。 もちろん、介護の経験がある方や、必要な資格を持っている方などは、即戦力として活躍することができます。

IT関係

システムエンジニアやプログラマー、WebライターやWebデザイナーなどさまざまな職種があります。IT業界というと、専門的な知識を身に着けた経験者しか採用しないイメージがあるかもしれませんが、人手が足りていない企業も多く、意外にも、職歴や年齢問わず、未経験者を採用しているところも多くあります。

ただ、やはり専門的な分野であるため、最低限のスキルや知識は必要です。 特にエンジニアを目指す場合には、就職支援として行っているプログラミングスクールに通うなど、あらかじめ技術を学んでおくことをおすすめします。

警備員

40代からでも転職しやすい仕事の一つです。全体としては男性が多い傾向にありますが、女性の割合も増えてきています。

警備員といっても、施設警備や交通警備などさまざまあり、なかには、国家資格や専門的知識が必要なものもあるため、応募の際には注意が必要です。

勤務先はスーパーやデパートなどの商業施設や、学校、病院、オフィスビル、工場、公園などの野外施設、公共施設など幅広くあります。職場によっては、一人で黙々と作業を行うところもあるため、人とかかわるのが苦手な方にとっては働きやすいかもしれません。

夜勤があるところも多いため、自分の生活スタイルに合っているかどうかの確認も必要です。

このように、職種によっては、40代・未経験でも、年齢やスキルなど問わず採用してくれる企業もあります。過去の経験やスキルが活かせる職場を選べれば良いのですが、採用枠が狭かったり、年齢がネックになったりする場合もありますし、資格や経験がなく、職歴に自信がない方は、ますます難しくなります。 職種によっては、未経験から入っても、仕事をしながら実務経験を積むことができたり、企業の支援プログラムなどを活用したりすることで、就業してから資格を取得することもできますから、転職前にどのような仕事があるかしっかり調べておくことも大切です。

介護職は40代の転職におすすめ

先ほどもお伝えした通り、日本は超高齢社会により、介護業界は常に人手不足な状態にあります。そのため、年齢や経験を問わない求人がほとんどです。 また、未経験から始められ、仕事をしながら資格を取得することも可能です。

介護職に転職するメリット

  • 未経験可、無資格可の求人が多い
  • 未経験からでも、実務経験を積むことで、資格取得などのキャリアアップや昇給を目指すことができ、長期間で働ける
  • 今後も高齢者の人口は増え続けると予測されることから、ニーズがある職種で将来性があり、景気に左右されない
  • 正社員から時短勤務に変更したりなど、働き方を選ぶことができる
  • 年齢を重ねても職場にいやすい
  • 40代以上の職員も多くいるため、年齢で職場に馴染めないということはない
  • 両親の介護に活かすことができる

介護職のキャリアプラン

介護職は就業してからキャリアアップを目指せるのがメリットの一つです。未経験からでも始められ、勤務年数が増えれば、国家資格となる「介護福祉士」も目指すことができます。

このように、介護職は、未経験からでもキャリアアップが目指せ、長い期間働くことができる職種です。就業してから最初の3年間で実務経験を積み、「介護福祉士」を取得した後は、施設勤務ではなく訪問介護にシフトしたり、管理職に就くための「認定介護福祉士」や、ケアプランの作成等を行うケアマネジャーを目指したりなど、キャリアプランが広がるため、自分の好きな働き方を選択・目指すことができます。

また、資格を取得すれば、仕事の幅が広がるだけでなく、手当がついたり給料がアップしたりするため、目標が立てやすくなっています。特に、国家資格である「介護福祉士」は、介護関連の資格の中で最も給料が高く設定されています。

介護福祉士の上位資格である「認定介護福祉士」や、「ケアマネジャー」を取得したい場合には、「介護福祉士(ケアマネジャーの場合は、介護福祉士を含む特定の国家資格)」としての実務経験が必要となりますから、最初の3年間で「介護福祉士」の資格を取っておくことは、今後のキャリアアップにはとても重要となります。

介護分野の資格

  資格の詳細
介護職員初任者研修 介護職の入門資格であり、実務経験などは特に必要ない。
介護職員実務者研修 介護職の中級資格であり、実務経験などは特に必要ない。
介護福祉士 介護職の資格の中で、唯一の国家資格。利用者に必要な介護等を行いながら、利用者や利用者の家族からの相談を受けたり、同じ現場で働く介護職員の指導やアドバイス等を行ったりする現場のリーダー的存在。

施設や事業所から入った場合、受験するためには、必要な研修を修了していることと、実務経験3年以上が必要。
認定介護福祉士 「認定介護福祉士」という名の国家資格があるわけではないが、「介護福祉士」の上位資格として設定されているもの。介護現場だけでなく、施設や事業所全体に関わる幅広い役割を任される立場にあり、他職種と連携したり、現場のマネジメントを行ったりする。さらに、地域包括ケアの推進など、地域の介護力向上を図る役割も担う。

受験するためには、「介護福祉士」取得後5年以上の実務経験が必要。
ケアマネジャー
(介護支援専門員)
要介護者のケアプラン(サービス計画書)の作成や、サービス事業者との連絡・調整を行ったりする。

「介護福祉士」や「看護師」といった特定の国家資格を保有している人、または介護施設などで相談援助業務などに従事している人のどちらかに当てはまっている人で、実務経験が通算5年以上であり、従事した日数が900日以上であればケアマネジャーの受験資格が得られる。

まとめ

今回は、40代の転職の現状やおすすめの職種などについてご紹介させていただきました。

年齢や経験に関係なく、採用してくれる企業や職種はありますが、特に介護職は、働きながらキャリアアップを目指せる、資格を取得することで昇給や昇格を目指せるなど、就職後も目標を明確にできる良さがあります。年齢を重ねても職場にいやすいため、長い期間、働くことも可能です。 再就職・転職後もキャリアアップを目指したいという方は、介護職も一つの候補として考えてみてはいかがでしょうか。

facebook
twitter
line