精神的にも体力的にもハードな介護職では、その仕事の性質上夜勤をする必要も出てきますが、夜勤は、日勤とは違いさまざまな経験をする機会ともなります。今回は、そんな介護士たちの間でもよく盛り上がる、夜勤においてのリアルなあるあるを、ジャンルごとに徹底紹介していきます。
介護職の夜勤って大変そう…実際のところはどうなの?
介護職では夜勤や日勤を含む不規則なシフトが組まれることも多く、仕事内容もハードなため体力面でも精神面でも消耗することがあります。一緒にシフトに入った相手が気の合う仲間であれば、ハードな中でも楽しく働いていくことができますが、毎回そうなるとも限らずストレスが溜まってしまうことも少なくありません。
もちろん、介護職では大変な事ばかりではなく、楽しい出来事とも多く遭遇します。これから介護職に就くことを考えている方であれば、介護職の現実はどうなのか気になるところでしょう。介護士の本音やリアルなあるあるを参考にして、ぜひ今後の計画に役立ててみてください。
やっぱり大変!?介護職の夜勤あるある【ハード編】
介護職の夜勤業務はとてもハードで大変な仕事と言えます。実際の現場では、どのようなリアル体験があるのか、介護あるあるのハード編から見ていきましょう。
介護あるある①ナースコールが一斉に鳴る
基本的には静かな環境で業務に就くことのできる夜勤ですが、時々あるのが一斉に複数のナースコールが鳴り始めて、数分前までとはうって変わって一瞬で恐ろしいほど忙しくなるという過酷な状況です。
もちろん、こうした状況は毎回あるというものではなく、たいていの夜勤ではそれほど忙しくならないことが多いのですが、そう思って油断している時に限ってナースコールが一斉になるという絶望的な状況に遭遇することがあります。
介護あるある②数分おきに呼び出される
夜間は時折、数分おきにナースコールで呼び出されるということもあります。コールが鳴ったので行ってみると、たいてい決まって「呼んでないですよ」とか「何かあったんですか?」という反応ばかり…。
寂しさのあまりナースコールを押したものの、呼んだこと自体を忘れているということがよくあります。夜は一層寂しさを感じてしまうというのはわかりますが、こういうことが続くとちょっとハードです。
介護あるある③休憩中や仮眠中に仕事が入る
「休憩中や仮眠中に限ってナースコールが鳴る」と嘆く意見も非常に多くあります。いつでも対応できるよう構えている時は何事もなく静かなのに、いざ休憩しようと思った時に仕事が入るとストレスを感じて、どっと疲れが出てしまいます。
介護あるある④ちょっとした物音に敏感になる
夜間の施設内は視界も悪く、利用者の方の転倒の危険が日中よりも倍増します。そのため、長年介護施設で働いていると、夜勤中に聞こえるちょっとした物音にもかなり敏感になってしまいます。
それだけ常に気を張りながら仕事をしているという証拠でもありますが、スタッフたちのそうした気遣いや苦労があるので、利用者の方が毎日を安心安全に過ごすことができているわけです。
介護あるある⑤落ち着いている日ほど突然忙しくなる
シフトの引継ぎの際、「今日は比較的利用者の方が落ち着いている…」と申し送りを受けたその夜に、突然のアクシデントや急変が起きることがよくあります。日中どれほど落ち着いていたとしても夜勤ではそうとは限らず、いつ緊急事態が起きても対応できるように備えをしておく必要があります。
楽しいこともある!介護職の夜勤あるある【メリット編】
介護職の夜勤は大変なことばかりではなく、楽しいこともたくさんあります。だからこそ、このハードな勤務を続けていくことができるわけです。では、介護職の夜勤におけるメリットについて、いくつか見ていきましょう。
介護あるある①先輩や同僚と仲良くなれる
夜勤は日勤よりも一緒に働くメンバーが少なくなります。また、日中よりも静かに過ごす時間が取りやすいため、先輩や同僚と会話する時間も多く、周囲に気を遣わずに話せるので仲良くなるのに良い機会となります。
また、会話だけでなく一緒に仕事をする機会ともなるので、共に協力し合っていくことでお互いの距離を縮めていくことにもなります。このように同僚や先輩と仲良くなることによって、その後の仕事もやりやすくなり、ストレス軽減にもつながっていきます。
介護あるある②大晦日の夜勤で元旦メニューを食べられる
年末やお正月の時期であっても、介護職には休みがないのが現実です。世間では家族団らんで年末を過ごしている時に、「皆ゆっくり年末を過ごしているんだろうな…」と思いながら夜勤の業務につかなくてはいけないことがあります。
大晦日の夜勤は、他の日と比べると利用者の方たちが落ち着いていて、さらには家族と過ごすために外泊される方も多くいるので、たいていの場合は静かに過ごすことができます。
すべての施設においてではありませんが、年末年始には年越しや元旦の特別メニューが出されることがあり、ゆっくりと味わうことができるのが魅力でもあります。しかも年末の特別手当も加算されるので、大晦日の夜勤はメリットもたくさんです。
介護あるある③利用者さんに元気をもらえる
介護職の夜勤は、大変なことも多くハードなイメージが強いですが、その中でも利用者さんから元気をもらえると、「これからも頑張って続けていこう!」と前向きな気持ちになることができます。
普段はほとんど笑顔を見せてくれない利用者の方が、時間の経過とともに徐々に心を開いてくれて、自分に笑顔を見せてくれるようになった時は本当にうれしく感じるものです。さらには、一言「いつもありがとうね」というねぎらいや感謝の言葉をかけてくれる方もおられ、そんな時は一気に元気になります。
介護あるある④夜勤明けのコンビニで幸せを感じられる
夜勤の楽しみと言えば、夜勤明けの解放感ではないでしょうか。夜間一生懸命働いた分、夜勤明けの帰り道は幸せを感じるものです。そして、そんな夜勤明けの帰りに立ち寄るコンビニも癒しのひと時となります。
家に帰ってゆっくりと味わうスイーツやお酒などをコンビニで選んでいる時は、まさに至福の時と言えます。ただし、これが毎回続いてしまうと栄養が偏ったり、不規則な生活につながってしまうので、自分へのご褒美として時々楽しむ程度にとどめておくのがが良いかもしれません。
ちょっぴり怖いかも…介護職の夜勤あるある【びっくり編】
夜間の業務では、ちょっぴり恐怖を感じるような状況に遭遇することも珍しくありません。介護職の夜勤中に、実際にどのような体験をすることがあるのか少し見ていきましょう。
介護あるある①利用者が他の人のベットで寝ている
夜間見回りをしている際に特にヒヤッとするのが、利用者さんがベッドにいないのを発見した時です。ベッドから転倒してしまったのか、あるいは部屋を出てどこかを徘徊しているのか…といろいろな心配が頭をよぎり慌ててしまいます。
どうしよう…と思っていたら、なんと隣の空いているベッドで寝ているのを発見して、ホッと胸をなでおろすことが時々あります。同じような出来事が時々あるのですが、利用者の方の安全に気を配っている者としては、これは毎回ドキッとしてしまうあるあるです。
介護あるある②深夜の施設巡回がとにかく怖い
いつまでたっても慣れない業務、それが深夜の施設巡回です。静まり返った施設を巡回していると、小さな物音にも敏感になってしまい、長年働いているベテランであってもちょっとしたことで恐怖を感じてしまいます。
一度、恐怖を感じるモードに入ってしまうと、自分の中でいろいろなことを想像してしまい、恐怖感はどんどん倍増していきます。「実際に幽霊を見た」という恐怖体験をした同業者の話などを聞いたことがあるとなおさらです。
介護あるある③いないはずの場所に利用者がいる恐怖
これも巡回業務中でのあるあるですが、利用者の方たちは就寝しているはずの時間帯に、思わぬところで出会い、びっくりして一瞬取り乱してしまうということもあります。
特に怖いのは、誰もいないはずの薄暗い通路にぼんやりと利用者さんがたたずんでいるのが見えた時です。見てはいけないものが見えてしまったのか…と冷や汗をかいてしまいますが、よく見ると利用者の方で、ひと安心するということがあります。
介護あるある④オカルト現象に遭遇することがある
介護業界でも時々耳にすることですが、特に夜勤業務時にオカルト現象に遭遇してしまうということがあります。亡くなった方が入居されていた部屋から深夜に物音が聞こえたり、お経を読んでいるような声が聞こえてきたという話もあります。
一人で施設巡回をしている時に、こうした現象に遭遇する恐怖感はすごいものがありますが、「私は全然怖くないけど…」と全く気にせずあっけらかんとしている介護士もいます。反応は人それぞれですが、これも介護職の夜勤でのあるあるの一つです。
介護職の夜勤で眠気を感じたときの対策
夜勤の業務で大変さを感じるのが、眠気を感じた時の対処です。夜勤に慣れたベテランであっても、疲れの蓄積やその時の体調によってふとした時に強い眠気を感じることがあります。そんな時にどのような対策を講じることができるのか、5つの点について見ていきましょう。
眠いときの対策①ほかのスタッフと話す
眠い時の対策で気軽に行えるのが、ほかのスタッフと話すことです。会話をすることで、強制的に自分の頭を回転させることができ、これにより眠気を覚ますことができます。特にお互いに興味があったり楽しめるような会話のネタがあれば、話しかけて頭をすっきりさせましょう。
この時に注意したいのは、話しかける相手の状況を考えるということです。夜間はスタッフの人数が少なく、相手が手の離せない業務をしているということも珍しくありません。そんな時に話しかけると単なる邪魔になってしまうので、相手に少し余裕がありそうなタイミングを見て話しかけることを心がけましょう。
眠いときの対策②10分~20分ほど仮眠する
夜勤中眠くなって、何を試しても眠気が取れないということもよくあります。そんな時に最も良いのは少しだけ仮眠を取ることです。本当は1~2時間程度仮眠を取るのがベストですが、そうは言ってもその日の仕事の兼ね合い等で、あまり時間を取れないということもあり得ます。
そんな時は10分~20分だけでも良いので、時間を取り分けて仮眠を取るようにしてみてください。たった10分程度と思われるかもしれませんが、これだけでも頭をすっきりさせることができ、思った以上に体が動くようになります。
気を付けたいのは、施設の決まりがある場合はそれを守ることと、仮眠した場合は寝過ごしてしまわないことです。仮眠を取る場合は必ず誰かに起こしてもらうよう声をかけておくか、アラームを設定して確実に起きることができるようにしましょう。
眠いときの対策③歯磨きをする
眠いときの有効な対策として、歯磨きをすることも挙げられます。歯磨きをすることで口の中がすっきりし、気分的にもリフレッシュすることができます。歯磨きが難しければ、手洗いをするだけでも違うので試してみてください。もしメイクの心配がないのであれば、水で洗顔するのもとても有効です。
歯磨きや手洗いに関して、冬場はかなり水が冷たいため気が引けてしまうかもしれませんが、だからこそおすすめの対策と言えます。お湯を使わずにあえて冷たい水を使用することで、眠気覚まし効果が倍増し、また気持ちよく仕事を再開することができます。
眠いときの対策④ストレッチなどをして体を動かす
眠いときに手軽にできる対策として、ストレッチをしたり体を動かしたりするのも効果があります。といっても、周りにスタッフがいたりする状況では、なかなか体を動かすことが難しいかもしれません。そんな時は、手や足の指をグーパーする運動だけでも眠気を和らげる効果があるのでぜひ試してみてください。
また、運動だけでなく軽くマッサージをするのも眠気覚ましに効果的です。手の親指と人差し指の間に「合谷(ごうこく)」というツボがあるのですが、そこを抑えながら軽くマッサージするのも良いですし、鼻の付け根辺りで目頭の内側の少し上の方にある「睛明(せいめい)」のマッサージも効果ありです。
いずれの方法も、気軽にいつでもどこでも周囲を気にすることなくできる効果的な対策なので、ぜひ覚えておくと夜勤における眠気覚ましに役立つでしょう。
眠いときの対策⑤ガムを噛む
眠いときにはガムを噛むのも一つの対策となります。ガムを噛むことで脳内にある「セロトニン」という物質が分泌されるようになり、血液循環が促進されることで脳の活性化が行われることになります。ミント系のガムやカフェインが含まれたガムの場合は、さらなる眠気覚ましの効果もあるのでおすすめです。
これは必ずしもガムでなければいけないということではなく、硬い食物である昆布やするめなどの乾物でも効果があります。ただし、職場や状況によっては仕事中にガム等を噛むと周囲に良くない印象を与えてしまったり、禁止されていることもありますので注意しましょう。
介護職の夜勤は大変だけど楽しいこともある!
介護職の夜勤は、とても大変でハードな仕事であることは確かです。それでも、その苦労を上回るほどの楽しいことや達成感、満足感などを味わうことができるのもこの職業の特徴と言えます。
もし、これから介護職への転職を考えておられる方であれば、ぜひ現場のリアルな声も考慮に入れつつ、メリットやデメリット等をしっかり比べて決定することをおすすめします。