様々なニオイが入り混じった「複合臭」。特に寝たきりの在宅介護は、食事・睡眠・排泄・入浴等、なるべく1箇所の部屋で行う場面が多いため、介護特有のニオイともいえる「複合臭」が発生しやすい傾向にあります。ニオイの悩みやトラブルは、介護する側・される側に関係なく、精神的な負担が多いため、常に対策をとれるようにしておきましょう。

例えば、消臭剤を使用する方法がありますが、介護特有のニオイは、日常的に発生するような生活臭とは違うため、専用のものを選ぶ必要があります。

今回は、「介護向けの消臭剤」の選ぶポイントなどについてご紹介させていただきます。

目次

介護特有のニオイとは

介護空間に漂う介護特有のニオイは、尿臭(アンモニア臭)や便臭、口臭、汗臭、加齢臭、頭皮のニオイ、褥瘡のニオイ、カーテンやシーツに染み付いているニオイなど、さまざまな臭気成分が混じり合うことで、独特なニオイを発生しているのが特徴です。

この独特なニオイには、「湿布臭」が含まれていることもエステー株式会社の調査によって新たに分かり、「尿臭」「便臭」「汗臭」「加齢臭」に「湿布臭」を加えた5つの臭気成分が混じり合うことで作り出される介護特有のニオイは、介護空間の「複合臭」と呼ばれています。

介護以外でも、生ゴミや油、タバコのニオイ、ラグやカーペットに染み付いた汗のニオイ、尿ハネなどの蓄積臭によるトイレのニオイ、カビのニオイ、下駄箱のニオイ、ペットやペットの排泄物のニオイ、そして人から発せられる汗や皮脂のニオイ、加齢臭など、私たちの日々の生活には、様々なニオイが発生します。

このようなニオイは、場合によっては、ストレスを感じたり、体調不良を引き起こす原因となったりするなど、人体に影響を及ぼす場合もあります。私たちは、生活していくにあたり、様々な場面でニオイと向かいあっていかなければならないのです。

ただ、介護では、食事や睡眠、入浴、排泄などがひとつの部屋で行われることが多いため、日常で発生する生活臭とは異なる、独特なニオイが発生しやすい傾向にあります。

ポータブルトイレやおむつの使用、シーツに染み付いた尿臭や便臭などにより、排泄物の臭いも漂いがちで、要介護者や介護者の精神的な負担は大きいものとなります。 要介護者・介護者ともに快適な生活を送るためにも、消臭対策は必須です。

消臭剤・脱臭剤・防臭剤・芳香剤の違い

ニオイ対策で使用される「消臭剤」、「脱臭剤」、「防臭剤」、「芳香剤」の区別は、芳香消臭脱臭剤協議会の「一般消費者用芳香・消臭・脱臭剤の自主基準(平成30年度改定)」によって、以下のように定められています。

消臭剤 臭気を化学的作用又は感覚的作用等で除去又は緩和するもの
脱臭剤 臭気を物理的作用等で除去又は緩和するもの
防臭剤 他の物質を添加して臭気の発生や発散を防ぐもの
芳香剤 空間に芳香を付与するもの

消臭剤は、悪臭成分を化学反応によって無臭の成分に変える「化学的消臭法」により、ニオイを除去、あるいは緩和させるものです。例えば、尿臭発生の原因となる「アンモニア」を、酸性であるクエン酸で中和させることによって、臭わない物質に変化させる「中和反応」などを利用しています。

脱臭剤は、悪臭成分を吸着させる「物理的消臭法」によって、ニオイを除去・緩和させるものです。冷蔵庫の臭気除去でもよく利用されている「活性炭」や「備長炭」などがあり、悪臭成分が炭表面にあるミクロの穴に取り込まれるため、再度放出されることはありません。

防臭剤は、悪臭成分に他の物質を添加させることで、ニオイの発生や発散を防ぎます。消臭剤がニオイの除去・軽減を目的とするのに対し、防臭剤は、ニオイの発生源をコントロールすることを目的としているため、すでに発生しているニオイへの効果は期待できません。 芳香剤は、芳香を用いることで悪臭を感覚的に感じなくさせる、「感覚的消臭」によってニオイを緩和させます。

あくまで、良い香りを上からかぶせることによって悪臭を感じにくくさせるだけなので、悪臭成分自体が軽減されるわけではありません。

介護向けの消臭剤を選ぶおすすめのポイント

介護空間には「消臭剤」がおすすめ

介護のニオイ対策では、悪臭成分自体に作用してくれる「消臭剤」の使用がおすすめです。

「脱臭剤」は、悪臭成分を吸着することによってニオイを除去するという仕組みで、冷蔵庫やシンクの下、ゴミ箱、下駄箱など、狭くてニオイがこもる場所で効果を発揮します。そのため、室内など、悪臭成分が広く薄く拡散してしまっている空間では、全ての悪臭成分を吸着させることが難しく、広範囲の使用には向いていません。

また、「芳香剤」は、悪臭を他の香りでマスキングし、悪臭を感覚的に感じなくさせるだけであるため、悪臭成分自体がニオイのない成分に変わったり、取り込んで吸着されたりするわけではありません。そのため、介護空間で芳香剤を使用すると、「複合臭」と香料が混ざり、ニオイが余計悪化してしまうこともあります。

介護空間で使用する場合は、「消臭」と「芳香」の機能が一緒になっているものを選ぶことをおすすめします。

〝介護向け〟の製品を選ぶ

最初の項目でもお伝えしたように、介護空間の独特のニオイは、様々な臭いが混じった「複合臭」で、日常で発生する生活臭とは異なります。

複合臭と生活臭では臭気成分が異なるため、一般的に販売されている生活臭を対象とした「消臭剤」を介護空間で使用すると、消臭されるどころか、より複雑なニオイになってしまうこともあります。 そのため、消臭剤は、介護空間の消臭に特化した製品を選ぶと良いでしょう。

形状で選ぶ

「消臭剤」には、主に「スプレータイプ」と「置き型タイプ」の2つのタイプがあります。

スプレータイプは、ニオイが気になった時、空間や衣類等にすぐ吹き付けることができ、即効性が高いのが特徴です。ニオイ発生時に素早く消臭ができる、ニオイの発生源に集中的に消臭することができるといったメリットがあります。

一方、置き型タイプは、スプレータイプのような即効性はなく、突発的に発生したニオイの消臭には向いておりませんが、中身の薬剤がなくならない限り、常に悪臭成分を取り続けているため、持続性があります。

「スプレータイプ」は即効性があり、使い勝手が良いため、気になったところを集中的に、あるいは空間全体にまんべんなく吹き付けて使用することも可能です。

「置き型タイプ」は持続性があるため、部屋に設置しておくことで、室内に漂う悪臭のベースラインを下げておくことができます。一般的に、悪臭成分は空気よりも重いとされているため、消臭剤は低い位置に置くか、窓のそばなど空気が循環する場所に置くのがおすすめです。

「スプレータイプ」と「置き型タイプ」は、併用することでより高い消臭効果を発揮することができます。

介護向けの消臭剤おすすめ8選

おすすめ① 松本ナース産業 介護用消臭剤 ガンタイプ500ml

引用:amazon
価格 1,310円
容量 500ml
タイプ スプレー
成分 植物抽出物(両性化合物)

おむつやポータブルトイレの中、部屋の空間、シーツ、カーテン、マットレスなど、介護の現場はもちろん、家庭内でニオイが気になるところや繊維製品、洗濯時など、幅広く使用できる消臭剤です。無香料のため、香料が苦手な方にもおすすめ。気になるニオイを強力に消臭、除菌効果もあります。

おすすめ② あかね福祉 介護用消臭剤 消臭一番

引用:楽天市場
価格 3,360円
容量 2000ml
タイプ スプレー
成分 植物抽出天然香料、非イオン界面活性剤、エタノール

中和作用・活性炭による吸着作用・化学反応・抗微生物剤による4つの効果で、悪臭そのものを消却します。尿・便・介護現場特有の各臭いに、それぞれ適切な消臭成分を独自に処方。植物抽出油が主成分のため、人体にも環境にもやさしく、安全です。洗濯時に投入して使用すると、衣類や寝具の消臭に効果的です。

おすすめ③ ピジョン ハビナース 消臭ミスト ルーム用

引用:amazon
価格 715円
容量 350ml
タイプ スプレー
成分 柿渋エキス、非イオン性界面活性剤、除菌剤、エタノール、香料

天然由来の消臭成分として有名な「柿渋エキス」配合。介護環境の空間や寝具、カーテンなどの布製品に付着する、便や尿などのニオイをしっかり消臭します。速乾性のためベタつきにくく、除菌も可能。グリーンフローラルのほのかな香りで、あとが残らないタイプです。

おすすめ④ ピジョン ハビナース 消臭スプレー 空間用

引用:amazon
価格 1,100円
容量 250ml
タイプ スプレー
成分 香料・非イオン界面活性剤、エタノール、水

空気中に漂う尿臭・便臭などの悪臭成分を、香りでごまかすのではなく、香り成分の一部として取り込むことで、良い香りへと変化させるメーカー独自の「フィードラント香料」を使用。除菌効果もあるため、排泄物のニオイが気になる空間はもちろん、ポータブルトイレやおむつ専用のゴミ箱などにスプレーするのもおすすめです。

おすすめ⑤ ピジョン ハビナース お部屋の消臭シート

引用:amazon
価格 638円
容量 1枚(タテ45×ヨコ73cm)
タイプ シート
成分 レーヨン、ポリエステル

シートタイプの消臭剤です。介護用ベッドのサイドレールやハンガーなどにかけておくだけで、有効成分である「フタロシアニン」が悪臭成分を吸収し、介護空間の気になる尿臭や便臭を軽減させます。無香料のため、香料が苦手な方にもおすすめですし、他の消臭剤や芳香剤と併用することもできます。効果は約3ヶ月持続します。

おすすめ⑥ 白元アース いきいきメイト 消臭除菌スプレー 爽やかな緑の香り 本体500mL

価格 546円
容量 500ml
タイプ スプレー
成分 消臭剤、除菌抗菌剤、エタノール、香料

不快なニオイと調和することで心地よい香りへと変化させる「ハーモナイズド香料」を採用。衣類や布製品に染みついた尿臭や便臭、体臭、加齢臭などを消臭します。除菌・抗菌・ウイルス対策にも有効です。

おすすめ⑦ おすすめ⑦消臭家族 おしっこ・うんち専用500ml

引用:amazon
価格 1,980円
容量 500ml
タイプ スプレー
成分

バイオ先進国アメリカ開発のバイオ消臭剤です。尿・排便のニオイに特化した「複合微生物」の力により、ニオイを元から分解をして無臭化します。さらに、嫌な臭いを分子破壊する独自成分「OST」や、微生物の働きをサポートする「酵素」が配合されることで、すばやい消臭を実現。ニオイ戻りも予防します。微生物の力による消臭方法で、人や環境にもやさしく、小さいお子さんやペットがいる家庭でも安心して使用できます。便器や寝具まわり、使用済みのおむつやゴミ箱、車いすなど、気になる臭いの元に吹きかけることで効果的に消臭します。(空間噴霧用ではありません)

おすすめ⑧ エステー エールズ 消臭力 すっきりホワイトソープ

引用:amazon
価格 363円
容量 400ml
タイプ 置き型
成分 無機系消臭剤、香料、クエン酸、界面活性剤(非イオン、陰イオン)

介護空間に漂う複合臭(尿臭・便臭・加齢臭・汗臭・湿布臭)に特化した、「5D消臭」処方の消臭・芳香剤です。ナノレベルの孔を持つナノパウダーが、悪臭を協力に吸着し、空間をすばやく消臭します。すっきりホワイトソープの香り。

介護をする家族にとって〝ニオイ〟の問題は切実

介護の〝ニオイ〟は、介護を行う家族にとって大きな問題の一つです。エステー株式会社が介護者に実施したアンケート調査でも、介護時の困りごとに「介護時のにおい」が上位にあがっています。

ニオイが発生している原因が菌だった場合、加齢や疾患等で免疫力が低下してきている高齢者にとっては、感染症などを引き起こすリスクも高くなります。

ただし、ニオイの問題は、非常にデリケートです。

要介護者を傷付けてしまうといった理由から、介護する側がニオイを我慢しているというケースも少なくありません。

実際、ニオイはプライドにも関わるもので、本人が排泄物のニオイを気にするあまり、トイレを我慢するようになったり、気分が塞ぎ込んでしまったりすることもあります。

本人の性格によっては、こっそりとニオイ対策を行う必要もあるでしょう。

また、ニオイによる精神的な負担は大きく、介護する側も、介護うつや高齢者虐待を引き起こす原因となることもあります。

家族だからこそ言いづらい悩みというのもありますから、このようなデリケートな話は、担当のケアマネジャーなどに相談してみるのが良いでしょう。何か利用できる制度はないか、住まいのある自治体の介護相談窓口などに問い合わせするのも一つの方法です。

在宅介護での防臭対策としては、ニオイの発生源となるおむつや汚れたシーツなどを適切に処理・お手入れしていくことが最も重要なことではありますが、それでもどうしてもニオイが気になってしまうという方も多いと思います。

  • 脱臭機や脱臭機能付空気清浄器などを部屋に設置する。
  • 洗濯用洗剤を介護専用のものに変える。
  • 抗菌・消臭効果の高いおむつやパッドに変える。
  • ポータブルトイレを水洗式のものに変えてみる。

など、色々な方法を試すのも良いでしょう。

まとめ

今回は、「介護向けの消臭剤」の選ぶポイントなどについてご紹介させていただきました。

介護空間の「複合臭」は、一般的な消臭剤では満足のいく消臭効果が得られない場合もあります。介護する側・される側ともに、〝ニオイ〟のせいでお互いギクシャクしたくはないはずです。毎日を気持ちよく過ごすためにも、もし、〝ニオイ〟に悩んでいるのであれば、一度、介護向けの消臭剤を試してみてください。 もし〝ニオイ〟の悩みなど、家族には相談しづらい場合は、担当のケアマネジャーなどに相談してみるのも良いでしょう。

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