加齢による筋力の低下や、後遺症による半身麻痺、リウマチなどで身体が思うように動かすことができない高齢者にとって、もともと転倒のリスクが高い浴室では、様々な入浴事故の危険性が潜んでいます。「シャワーチェア」は、洗体・洗髪などの際に用いる入浴用の椅子で、転倒など浴室内での事故を未然に防ぐ入浴補助用具の一つです。

シャワーチェアは、介護の有無に関係なく誰でも使用することができ、介護を必要としない方でも、導入することで、入浴事故防止や介護予防に繋がります。 今回は、「高齢者向けシャワーチェア」の選ぶポイントや注意点などについてご紹介させていただきます。

目次

高齢者の方にシャワーチェアを勧める理由

高齢者は、加齢により、身体の様々な機能が低下してくるため、運動に制限が出てきます。

入浴は、身体を清潔に保ち、褥瘡や感染症の予防、心身のリラックス、食欲増進といった効果がある反面、動作が複雑で、バランス機能や筋力・体力などが低下した高齢者には大きな負担となり、転倒などの事故が起こりやすい場面でもあります。

入浴補助用具の一つである「シャワーチェア」は、髪や身体を洗う際の姿勢が不安定な方や、立ち座りの動作が困難な方、ふらつきやすい方などが安全に入浴できるよう、姿勢を保持しやすくし、立ち上がりを楽に行えるようにした入浴用の椅子です。

姿勢や立ち座りが改善されることで、転倒などの入浴事故を防ぐことができるだけでなく、見守りが必要となくなり、一人での入浴が可能となったり、介護者の負担が軽減されたりします。

「シャワーチェア」は椅子に座れることが前提のため、利用する方の多くは、一般の高齢者や、要支援1、2の方、要介護1の方となります。 早い段階から導入すれば、もともと転倒のリスクが高い浴室での事故を防ぎ、介護予防に繋げることができるため、身体機能の低下がみられない方や、介護が必要な状態でない方の利用もおすすめです。

高齢者向けのシャワーチェアを選ぶおすすめのポイント

利用者の身体に合ったサイズのものを選ぶ

シャワーチェアは、利用者の体格や身体状況に合ったものを選ぶことで、自立を促し、事故を未然に防ぐことに繋がります。

  • 座位が不安定な方は背もたれ付き
  • 座位を保持することが難しい方は、背もたれ付きのシャワーチェアを選ぶようにしましょう。姿勢が不安定な方でも、安心して座ることができます。将来を見越し、背もたれ付きのものを購入しておくのも一つの方法です。

  • 腰が曲がっている方は、腰当付き
  • 腰が曲がっている場合は、背もたれがかえって邪魔になり、背骨がぶつかって痛みが生じる場合もあります。その場合は、腰を支えてくれる背の低い背もたれ(腰当)が付いたシャワーチェアを選ぶのがおすすめです。椅子に深く腰掛けることもできます。

  • 身体がふらつきやすい方は肘掛け付き
  • 身体がふらつきやすい方や、中腰の姿勢がとりづらいという方は、肘掛け付きを選ぶようにしましょう。肘掛けを支えにすることで、立ち座りの際に膝や足にかかる負担を抑えられ、身体のふらつきを抑えることができます。
    また、洗髪中などに身体が左右へ転倒してしまうリスクも軽減されます。
    ただし、動作が自立している方が使用すると、肘掛けがかえって邪魔になることがあるため、入浴中の動作の妨げになってしまうこともあります。
    跳ね上げ式のものであれば、シャワーチェアに座る際に肘掛けが邪魔になることはありませんが、今の身体状況から必要ないということであれば、背もたれやひじ掛け無しのものを選んでも良いかもしれません。

  • 痩せ型の方は、柔らかいパット使用のものを
  • お尻や背中が当たる座面や背もたれの素材も、シャワーチェアにより様々です。お尻や背中が痩せ気味の方は、骨が当たり痛みを感じやすくなっているため、柔らかい素材のパッドを使用したシャワーチェアを選ぶことをおすすめします。

高さ調節できると身長に合わせやすい

せっかくシャワーチェアを導入しても、利用者にあった高さのものでなければ、安定かつ楽な姿勢で座ることができません。不安な方は、高さ調節ができるシャワーチェアを選ぶようにしましょう。

座面がU字型になっていると陰部洗浄しやすい

立ち上がりが少し難しいという方は、座面がU字型になっているものを選ぶと、シャワーチェアに座ったままの状態で陰部洗浄を行うことができます。

カビが不安な方は、防カビ加工されているものを

シャワーチェアは浴室の中で使用するものですから、どうしてもカビが発生しやすくなります。いつでも清潔に使用できるよう、こまめに洗うことも大切ですが、防カビ加工されているものを選ぶことで、お手入れの頻度を減らすことができます。ただし、カビの発生を完全に防ぐことができるというわけではないため、注意するようにしましょう。

収納には折りたたみタイプがおすすめ

浴室にシャワーチェアを置くとけっこうなスペースをとってしまい、ドアの開け閉めの邪魔になることもあります。折りたたみ式のシャワーチェアであれば、スペースをとらずに保管することができます。

シャワーチェアは、高齢者に限らず、怪我をしている方や、妊婦の方にもおすすめできる入浴補助用具です。通常のバスチェアとは異なり、頑丈な作りで、身体が不安定な方でも利用しやすいように設計されています。

入浴に少しでも不安がある方は、高齢者に限らず、誰でも利用することが可能です。

ただし、シャワーチェアは、介護保険の「特定福祉用具販売」の対象となります。 要介護認定を受けている方で、介護保険利用限度額の範囲内であれば、費用の1~3割分が自己負担となりますが、要介護認定を受けていない方は、全額自己負担となります。

高齢者向けシャワーチェアおすすめ8選

おすすめ① パナソニック シャワーチェア[ユクリア] ワイドSPワンタッチU型おりたたみN PN-L41521D(オレンジ)

引用:amazon
価格 29,150円
サイズ 幅50.5×奥行50~58.5×高さ68~78cm
重量 5.1kg
材質 背もたれベース・座面ベース:ポリエチレン
背もたれクッション・座面クッション・ひじかけクッション:EVA樹脂
開閉レバー:ポリアセタール樹脂
脚パイプ:アルミ二ウム
脚ゴム:EVA

背もたれの裏側にあるレバーを握るだけで折りたたむことができる、ワンタッチ開閉式の肘かけ背もたれ付きシャワーチェアです。片手で座面の開閉ができるため、腰を曲げる必要がなく、手すりを持つ、あるいは介護者をサポートする手を確保することができます。クッションはすべりにくく冷たさを感じにくい素材。座ったままでも陰部が洗いやすいU型座面で、座面の高さも調整できます。かびが根付くとなかなか除去することができないクッション・脚ゴムなどの部分は、カビの増殖を抑えてくれる防カビ加工が施されています。

おすすめ② パナソニック シャワーチェア[ユクリア] コンパクトスツール背付N PN-L41121A(ブルー)

引用:amazon
価格 19,250円
サイズ 幅36.5~37.5×奥行39~40.5×高さ60~70cm
重量 2.5 kg
材質 背もたれベース・座面ベース:ポリエチレン
背もたれクッション・座面クッション:EVA樹脂
脚パイプ:アルミ二ウム
脚ゴム:EVA

背もたれ付きシャワーチェアです。厚さ15mmのソフトクッションは、お尻が痩せている方にもやさしい座り心地で、滑りにくい素材であり、着脱も可能。使う方の体型に合わせて、座面の高さを6段階に調整できます。カビの発生を表面で抑える防カビ加工により、ふき取るだけでカビの増殖を抑えることができます。

おすすめ③ テイコブ ワンタッチ折りたたみシャワーチェア(ミドル)BSU11(ブルー)

引用:amazon
価格 29,150円
サイズ 座面寸法:幅425×奥行335mm
座面高さ:320~420mm 6ポジション
重量 4.5kg
材質 パイプ:アルミニウム合金、座面/背もたれ:ポリエチレン、パッド/脚ゴム:EVA樹脂

利用者の身体状況に合わせ、肘かけの取り外しや高さの調節ができる、ミドルサイズの折りたたみシャワーチェアです。パッドには防カビ剤が練り込んでおり、カビが発生しにくくなっているため、清潔な状態で使用することができます。座面の高さ調節や折り畳みもワンタッチで可能。

おすすめ④ テイコブ シャワーチェア(背無)BSOC02(グリーン)

引用:amazon
価格 11,000円
サイズ 座面寸法:幅395×奥行295mm
座面高さ:365~465mm 5ポジション
重量 1.8kg
材質 パイプ:アルミニウム合金、座面:ポリエチレン、
パッド:EVA樹脂、脚ゴム:合成ゴム

プッシュ式で座面の高さを5段階に調節できる、コンパクト設計の背もたれ無しシャワーチェアです。パッドは外して使用できるため、お手入れ簡単でいつでも清潔に保つことができます。座面の左右に持ち手がついており、握りやすくなっています。防ぎます。 ポリエチレン製のため、こぼした液体が染みる心配もありません。エプロンの裾をトレーの下に敷くことで、ポケットが広がるため、より効果的に使用することができます。

おすすめ⑤ 安寿 折りたたみシャワーベンチ ISフィット(「骨盤サポート」タイプ) レッド

引用:amazon
価格 26,400円
サイズ 幅46×奥行41~47.5×高さ53~63cm
重量 約4kg
材質 (座部・背もたれ)PE
(ひじ掛け)PP
(グリップ)エラストマー
(脚ゴム)合成ゴム
(ソフトパッド)EVA
(パイプ)アルミニウム

高さや角度、形状が身体にフィットするよう設計された、骨盤サポートタイプの背もたれ付きシャワーチェアです。座面後方にある持ち手を引き上げるだけの操作で、簡単に折りたためるようになっています。使用中はふいに折りたたまれないよう、座面ロックが付いているため、安心して使用できます。手の滑りを防ぐひじ掛けや、身体を洗う際などにジャマにならない湾曲フレーム、横移乗の際に足の引っ掛かりを防ぐために張り出しを抑えた前脚など、利用者の安心・安全を考えた構造となっています。

おすすめ⑥ リッチェル やわらかシャワーチェア クレオ折りたたみ(防カビプラス) 腰当付 ピンク(P)

引用:amazon
価格 20,900円
サイズ 39×43〜51×46.5〜56.5H(cm)
重量 3kg
材質 座面・背もたれ:ポリエチレン
ソフト座面・ソフト背もたれ:EVA樹脂
脚:アルミ
ゴム脚:合成ゴム
シャワーフック:ポリアセタール
TAISコード/00426-000127
防カビ加工:ソフト座面、ソフト背もたれ、ゴム脚

座面と背もたれに使用されているやわらかい素材のクッションと、身体にフィットする形状により、体圧が分散され、快適な座り心地となっています。お尻が瘦せた方や長時間の使用による負担もやわらげます。カビが生えやすい座面や背もたれ、ゴム脚、肘掛け先端部は、防カビ加工を施しているため、カビの発生も予防してくれます。ほとんどすき間なく浴槽壁に横付けすることができるため、浴槽をまたぐ動作も楽に行えます。

おすすめ⑦ 豊通オールライフ シャワーベンチ GR コンパクト 肘掛け付

引用:amazon
価格 26,950円
サイズ 幅52.5×奥行54×高さ70~80cm
重量 5.4kg
材質 座面・背もたれ:ポリエチレン
ソフト座面・背もたれ:EVA樹脂
脚:アルミ

肘掛けは跳ねあげができる背もたれ付きシャワーチェアです。狭い浴室でも使用できるコンパクトサイズ。浴槽壁に横付けができ、入浴時の動作もサポートしてくれます。ごみが溜まりにくい設計で、背と座面のパッドは取り外し可能。高さは5段階に調節できます。

おすすめ⑧  島製作所 シャワーチェアー楽湯くるまるコンパクト

価格 18,150円
サイズ 約H39~46.5×W33×D35cm
重量 約2kg
材質 アルミ、PP、PE
パット:EVA
ゴムキャップ:合成ゴム

座面が丸形の背もたれ付きシャワーチェアです。高さは4段階に調節できます。90度ずつ360度回転できるため、回りすぎを抑えながらも方向転換に便利。座面パットと脚のゴムキャップは交換ができます。

高齢者向けシャワーチェアの注意点

浴室内は温度や湿度が高く、カビの餌となる皮脂や垢、石鹼カスなどの汚れが溜まりやすいため、カビの温床となります。 シャワーチェアは浴室内で使用するため、カビの発生を予防するには、定期的に洗ってお手入れする必要があります。

シャワーチェアの簡単なお手入れ方法

  1. シャワーチェア使用後、60~70度くらいの熱めのお湯で垢や石鹼カスなどを洗い流す。
    ※使用されている素材の耐熱温度に注意する。
  2. 冷水をかけて熱気がこもらないように冷ます。
    浴室などに冷水をかけてしっかり冷やします。
  3. 水分をしっかりふき取り、風通しの良い場所に置いてよく乾燥させる。

また、シャワーチェアの脚のゴムの裏側部分は、溝に汚れが溜まりやすいため、歯ブラシで擦って落とすようにしましょう。

まとめ

今回は、「高齢者向けシャワーチェア」の選ぶポイントや注意点などについてご紹介させていただきました。

シャワーチェアというと、介護が必要な高齢者が使用するものというイメージがある方も多いかもしれません。

しかし、実際は、特に身体機能の低下はみられない高齢者の方や、怪我をしてしまった方、妊婦など、介護の有無や年齢に関係なく使用できる、入浴補助用具の一つになります。

入浴動作が少し不安という方や、シャワーチェアの使用を検討してみてはいかがでしょうか。

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