感染症予防や花粉対策などを目的に使用される「マスク」は、子供からお年寄りまで、幅広い年齢層に使用されているアイテムの一つです。

現在、様々な種類の使い捨てマスクが販売されているため、どのようなマスクを使用すれば良いか悩んでいる高齢者も多いのではないでしょうか。 今回は、マスクの種類や、高齢者向けマスクの選ぶポイントなどについてご紹介させていただきます。

目次

マスクの種類

マスクには、「家庭用マスク」、「医療用マスク」、「産業用マスク」の大きく3種類があります。

家庭用マスク

日常的に使用されるマスクで、一般的には、風邪の予防、インフルエンザなどのウイルス・花粉・PM2.5などの対策で使用される他、喉が乾燥するのを防いだり、防寒目的でも利用されたりしています。

病院や高齢者施設はもちろん、在宅介護の感染対策など、家庭内でも利用されています。

家庭用マスクは、バリエーションが豊富なのが特徴で、各メーカーが様々な形やサイズ、カラー、機能のマスクを販売しています。

医療用マスク

医療用マスクには、医療従事者や患者への感染対策として、環境中に放出する汚染(ウイルスや微粒子)の侵入や放出を防ぎ、血液や唾液、体液などの飛沫やはねなどから防護するという役割があります。

医療用マスクとして一般的に使用されているサージカルマスクは、見た目は家庭用の不織布と大きな違いはありませんが、家庭用の不織布マスクよりもフィルターの目が非常に細かく、一般的にはフィルターが3層(3PLY)になっているものが主流です。介護の現場でも利用されています。

また、カップのような形をした国立労働安全衛生研究所(NIOSH)承認の「N95レスピレーター」と呼ばれるものは、通常のマスクではすり抜けてしまう超微粒子の侵入を防ぐ効果があり、結核菌や麻疹など、空気感染が懸念される感染症対策として利用されています。

食品医薬品局(FDA)承認の「サージカルN95レスピレーター」は、「N95レスピレーター」の機能に、液体防護性などが追加されたもので、血液・体液から防護する役割も持っています。

以前までは日本の医療用マスクには規定が無かったため、多くの製品は、米国の国際標準化・規格設定機関の定める規格に基づいたものでしたが、令和3年6月16日に、厚生労働省が、マスクに関するJIS(日本産業規格)を制定したことを発表しました。

現在は、「医療用・一般用マスク」についての規格と、感染症に罹患している患者などに対して、手術や治療を行ったり、接近したりする医療従事者などが使用する「感染対策医療用マスク」についての規格がそれぞれ定められており、メーカーによって表示などにバラつきが出ないようになりました。

産業用マスク

主に、工場や工事現場などで使用されるマスクです。作業時に発生する有害物質(粉塵や有毒ガス及び有毒ガスが含まれる粒子状物質など)による健康障害を防ぐことを目的としています。防じんマスクや防毒マスクなどがあります。

有害物質は、急性中毒や慢性中毒を引き起こすものや、発がんのおそれがあるものなど、有害性が非常に高いものであり、様々な健康障害を引き起こす可能性があるため、産業用マスクには安全性が厳しく求められ、「国家検定規格」という非常に厳しい規格に基づいて製造されるものもあります。

口や鼻だけを覆うマスクや、顔全体を覆うマスクなどがあり、作業環境(作業内容)によって使い分けられています。

高齢者向け使い捨てマスクを選ぶおすすめのポイント

使い心地の良い形状のものを

使い捨てマスクの主な形状は、プリーツ型と立体型の2種類になります。顔とのフィット感や付け心地の良さなどで選ぶようにしましょう。

プリーツ型

プリーツ型は主流のタイプです。マスクの全面がプリーツ状になっているため、比較的呼吸がしやすく、会話中もマスクがずれにくくなっています。装着時は、プリーツを上下に広げたり、鼻の曲線に沿ってノーズピースを折り曲げたりするなどの調整が必要です。

立体型

人間の顔の形に合うようデザインされた、立体的に作られたマスクです。隙間ができやすい頬などの部分も顔にぴったりフィットするよう設計されています。マスクと口元の間には空間ができるようになっているため、息苦しさを感じにくく、しゃべりにくさが緩和されています。口紅などの化粧が付きにくいことや、装着時にマスクを調整する手間が省けるというのもメリットの一つです。

一方、立体型は、口元に空間ができるように作られているため、息苦しさはプリーツタイプより感じにくくなっています。しかし、最初から形が決まっており、伸縮性に乏しいため、サイズが合わないときついと感じたり、逆に隙間ができてずれやすくなったりします。

顔の形は人それぞれです。合わないものを装着して隙間が増えると、どんなに性能の良いマスクでも効果は薄れてしまいます。何より、マスクは口元を覆うものですので、付け心地の悪いものはストレスを感じる原因となります。 プリーツ型と立体型でマスク自体の性能が大きく異なるというわけではありませんので、自分が使いやすいと思うものを選べるようにしましょう。

顔に合うサイズを選ぶ

マスクを効果的に使用するためには、形状だけでなく、サイズ選びも重要です。現在販売されているマスクは、女性用や学童用があったり、同じ大人用サイズの中にも、S・M・Lで分かれていたりするなど、サイズ展開が幅広いものが多くなってきています。

マスクを効果的に着用するためにも、使用する方の顔に合ったものを選ぶようにしましょう。

ただし、マスクのサイズはメーカー共通ではないため、同じサイズのものでも、いつも使用しているマスクより小さく感じたり大きく感じたり、メーカーによってバラバラです。 また、製品によってはサイズが一種類しかない場合もあるため、注意するようにしてください。

個包装になっていると持ち歩きしやすい

マスク一枚一枚が袋に入っている個包装タイプは、ホコリなどでマスクが汚れる心配がなく、衛生的で、長期保管に向いています。さらに、装着時に手指の接触が少なくなるため、マスクの内側に細菌やウイルスが付着するのを防ぐことができます。持ち運びしやすいのもメリットの一つです。

ただし、個包装タイプのマスクは、少々コストがかかります。家庭で使用できれば十分という場合には、通常のマスクを購入した方が経済的です。

性能や機能をチェック

使い捨てマスクのほとんどは不織布マスクになります。不織布マスクには、マスクのフィルターがどのくらいのサイズの粒子をどのくらいまでカットすることができるかというのをあらわす指標「ろ過率(遮断率)」があり、これでマスクの性能を判断することができます。

基本的には、遮断できる粒子が小さく・多くなるほど性能が高いとされています。

ただし、この指標はあくまでフィルター自体の評価であり、マスク装着時はどうしても隙間ができるため、細菌やウイルスを完全に遮断できるというわけではありません。しかし、ウイルスは細菌よりもはるかに小さい粒子ですから、外出時や在宅介護での感染症予防としても、フィルター性能の評価はマスクを選ぶ際には参考にしたい部分となります。

フィルターの性能を評価するため、一般的には以下の3つの検査が行われます。

BFE(バクテリア(細菌)ろ過効率)

大きさ約3.0㎛の細菌を含む粒子をどれだけろ過(捕集)できるか示したもの。 花粉や咳・くしゃみなどのウイルスを含んだ飛沫などが当てはまる。

PFE(微粒子ろ過効率)

大きさ約0.1㎛の粒子をどれだけろ過(捕集)できるか示したもの。インフルエンザウイルス、咳・くしゃみなどのウイルスを含んだ飛沫などが当てはまる。

VFE(ウイルスろ過効率)

大きさ約0.1㎛~5.0㎛の粒子をどれだけカットできるか示したもの。 一般的なウイルス、咳・くしゃみなどのウイルスを含んだ飛沫などが当てはまる。

さらに、上記の検査項目の後に、粒子のカット率がどのくらいかを表す「○%」の表記があります。 例えば、「BFE99%」という表記があれば、約3.0㎛の大きさの細菌を含む粒子を99%ろ過できるという意味になります。

消臭機能

使い捨てマスクには、消臭機能が付いているものもあります。在宅介護や高齢者施設、病院などでの使用におすすめです。特に介護に関する排泄物などのさまざまなニオイは、介護する側だけでなく、介護を受ける側にとっても大きなストレスとなります。

もちろん、ニオイの原因となっているものをできる限り取り除いたり、定期的に部屋の喚起をしてニオイを軽減させたりするといった対策をとることも必要ですが、感染対策などでマスクを使用する場合には、消臭機能が付いたものを選ぶと、本人の精神的な負担を少しでも軽くさせることに繋がります。

高齢者向け使い捨てマスクおすすめ7選

おすすめ① BMC 活性炭入り フィットマスク レギュラー

引用:amazon
価格 999円
サイズ 約95×175mm
容量 30枚入タイプ[紙箱/マスクビニール包装]
素材 フィルター:ポリプロピレン不織布・活性炭
耳ヒモ:ポリエステル・ポリウレタン
ノーズフィッター:ワイヤー・ポリエチレン

気になるニオイを吸着してくれる活性炭入りの不織布マスクです。活性炭フィルターを含む4層構造により、消臭効果だけでなく、保湿・保温効果も期待できます。フィルター部は、BFE・PFE・VFE各種99%カット。5mm幅の耳ひもは、素材もやわらかく、耳に負担がかかりにくくなっています。

おすすめ② 東亞合成 瞬間強力消臭マスク「ケスモンマスク」

引用:楽天市場
価格 11,000円
サイズ 165×95mm
容量 小箱:50枚/箱
素材 本体:ポリプロピレン、ポリエチレン
耳部:ポリエステル、ポリウレタン

メーカーが独自に開発した無機系消臭剤「ケスモン®」配合の高性能多機能不織布マスク。排泄臭や腐敗集、汗臭、体臭、刺激臭など、多様な臭気に対し、高濃度の臭気にもしっかり消臭効果を発揮します。抗菌・抗ウイルス性能ももち、5層構造で、微粒子やPM2.5にも対応。BFE・PFEそれぞれ99%カット。介護や病院などでの使用の他、唾液や口臭によるマスク自体の臭い軽減にもおすすめです。

おすすめ③ アルフォーインターナショナル 2層マスク(頭掛け)

価格 995円
サイズ W175xH95㎜
容量 100枚
素材 本体:ポリプロピレン
ノーズピース:ポリエチレン
耳ひも:ポリエステル・ポリウレタン

頭掛けタイプの2層式不織布マスクです。一般的なマスクよりも薄めで、立体プリーツで風通しが良いため、息苦しさが軽減されています。オーバーヘッドタイプなので、帽子の上から装着することも可能です。マスクの息苦しさが気になる方や、耳に引っ掛けるのが苦手な方、耳がかぶれてしまっている方の使用におすすめです。

おすすめ④ ユニ・チャーム 超立体®マスク スタンダード ふつうサイズ(かぜ・花粉用)

引用:amazon
価格 486円
サイズ 70mm×135mm
容量 30枚入
素材 本体:ポリオレフィン、ポリエステル
耳紐部:ポリオレフィン、ポリエステル

三層構造の高密度フィルタで、ウイルス飛沫や花粉の侵入をしっかりブロックする不織布マスクです。PFE・VFE99%カット。PM2.5にも対応しています。超立体構造により、隙間ができやすい鼻やほほ、あごの部分にもフィットします。耳かけ部分は幅広でやわらか素材のため、長時間の使用も痛くなりにくくなっています。

おすすめ⑤ ミツヤファクトリー 維持元空間マスク ふつうサイズ 個包装タイプ

引用:楽天市場
価格 638円
サイズ 約95mm×175mm
容量 30枚入
素材 PPスパンボンド不織布、ウーリーゴム、ワイヤー(PE)

衛生的で携帯にも便利な個包装タイプです。3層構造となっており、花粉やハウスダスト等のミクロ粒子をブロック。BFE・PFE・VFEはすべて99%カットです。マスクの中央部分にはワイヤーが入っているため、口元に立体空間を作ることができます。刺激の少ない極薄不織布を採用しているため、通気性が良く、息苦しさやベタつきが抑えられ、つけ心地も爽やかです。

おすすめ⑥ 大王製紙 エリエール ハイパーブロックマスク ウイルス飛沫ブロック ふつうサイズ

引用:amazon
価格 1,848円
サイズ 約175mm×約90mm
容量 30枚入
素材 本体・フィルター:ポリオレフィン
ノーズフィッター部:ポリオレフィン
耳掛け部:ポリオレフィン

超極細高機能フィルター採用の3層構造マスクで、ウイルス飛沫や花粉、ハウスダストなどの侵入を防ぎます。BFE・PFE・VFE99%カット。耳掛け部がマスクの頬部分を包みこむ新構造により、すきまをブロック。さらに立体プリーツ構造で口元に空間ができ、息苦しさを軽減します。耳掛け部分はキリトリ線で繋がっており、衛生的に着用できる仕様になっています。

おすすめ⑦ アイリスオーヤマ ディスポーザブルプリーツマスク ふつうサイズ

引用:amazon
価格 966円
サイズ 165mm×90mm
容量 30枚入
素材 本体・フィルター:ポリプロピレン
耳ひも:ポリウレタン、ポリエステル
ノーズフィッター:ポリエチレン

花粉・ウイルス飛沫等を99%カットするフィルター採用の不織布マスクです。側面両端Vカット加工が施されているため、ほほとのすき間が軽減され、フィットしやすくなっています。耳掛けの部分は丸ひもを採用しており、耳が痛くなりにくくなっています。ふつうサイズですが、女性でも比較的使いやすい大きさとなっています。

使い捨てマスクの注意点

マスクによる皮膚炎

マスクを着用すると、蒸れで細菌や雑菌が繁殖しやすくなり、ニキビや湿疹ができたり、摩擦による刺激で肌のバリア機能が低下し、肌荒れやかぶれが起きやすくなったりなど、肌トラブルを引き起こしやすい状態になります。

また、喉が乾燥するのを防ぐなど、保湿目的でも使用されるマスクですが、マスクを外すと、その瞬間に肌の水分が蒸発するため、実は肌が乾燥しやすい状態にもなっており、これも肌のバリア機能を低下させる原因となります。

高齢者は、加齢による皮膚のバリア機能の低下などにより、もともと肌が弱い状態にあるため、マスクによる皮膚炎のリスクが高い傾向にあります。

マスクによる皮膚炎を防ぐためには、マスクで覆う部分を特に念入りに保湿することや、こまめに汗を拭きとって清潔にすることが大切です。

また、マスクの中は蒸れやすくなっているため、特に夏場など、汗をかいてマスクが湿ってしまった場合には、肌のケアはもちろん、マスクを新しいものに交換することも必要です。

また、使い捨てマスクに多い不織布マスクは、摩擦が起きやすい素材であるため、もともと肌荒れしやすい体質の方には、ガーゼマスク(特に綿)の使用がおすすめです。感染対策としては不織布マスクと比べると効果は薄れますが、摩擦による刺激を和らげることができます。

ただし、どんなに肌に優しい素材のマスクを使用しても、サイズが小さすぎると摩擦が起きやすくなるため、大きさには注意するようにしてください。 また、感染のリスクが高い場面では、不織布マスクを着用することをおすすめします。

マスクによる顔のむくみ

マスクを着用する機会が増えると、表情筋を動かす機会が減り、顔の筋肉が衰えてしまうため、結果的に顔のむくみやたるみを引き起こしやすくなる原因となります。また、リンパの流れも悪くなるため、くすみといった肌トラブルに繋がることもあります。

マスクによる顔のむくみを解消するためには、マスク着用中も、日頃から表情筋を動かすことを意識するようにし、こまめにマッサージを行うことが大切です。

マッサージの例
  • あごから目の下までの筋肉、おでこの筋肉をほぐす
    手をグーにして第二関節を使い、内側から外側に向かって筋肉をほぐしていく。痛気持ちいくらいの力加減がちょうど良い。
  • 頬の筋肉をほぐす
    手をグーにして第二関節を使い、黒目の下と小鼻の横のラインが一致する場所にあるツボを押しながら、口を「あいうえお」と大きく動かす。
  • 耳を引っ張る
    親指と人差し指で耳をはさみ、少し強めに引っ張って血流を促す。下から上に少しずつはさむ位置をずらしていく。

上記のマッサージを数回ずつ繰り返していきます。

マッサージを行う際は、肌に摩擦を与えないよう、必ずオイルなどを塗るようにしましょう。

まとめ

今回は、高齢者向けのマスクの種類や選ぶポイントなどについてご紹介させていただきました。

高齢者は免疫力や肌のバリア機能の低下がみられる傾向にあるため、感染症対策には不織布マスクの着用がおすすめです。

しかし、マスクの価格は幅広いため、肌が荒れないよう、家の中では洗って再度使えるガーゼタイプのマスクを着用するなど、用途に合わせて使い分けていくのが得策といえるでしょう。

介護などで使用する場合には、においが気になる場面も多くあるため、消臭機能付きのマスクを使用すると、介護する側だけではなく、介護される本人も快適に過ごしやすくなります。

口と鼻を覆っているからといって、どのマスクも同じというわけではありません。

中には、耳紐が切れやすかったり、不織布部分が破れていたりと、粗悪なマスクも販売されています。購入の際は、商品の特徴やメーカー、生産国だけではなく、口コミなどを必ず確認するようにしましょう。

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