今回は、介護する側にとっても、介護が必要な方にとってもおすすめできる、人気の介護用クッションをご紹介します。介護クッションにはさまざまな形があるため、種類や選ぶ際のポイントなども詳しく解説していきますので、ぜひお気に入りの一品を見つけて、介護の負担軽減にお役立てください。
介護用クッションとは
介護用クッションは、ベッドや車いすで自力での移動が困難な方の必需品です。クッションは主に手足の関節の拘縮を防ぐため、褥瘡を予防するために使用されます。
体位変換などに使われる介護の必須アイテム
自力で動くことができない方や、思い通りに体を動かすことが困難な方は、介助を受けずに長時間同じ姿勢でいることが多いようです。
同じ姿勢を続けることで、体の一部分が圧迫され、褥瘡(じょくそう)の原因になることがあります。床ずれを防ぐには、介護用クッションが必需品です。
介護用クッションは、姿勢の維持や体の向きを変えるために必要なものです。介護用クッションを使わなくても体位を変えることは可能ですが、体を支えるものがないと安定しないため、介護される側にとっては苦痛になります。
介護クッションの使い方
介護クッションの使い方を動画で見てみましょう。床ずれ防止・体位変換におすすめの使い方を紹介する動画です。
介護を受ける方が上向きで寝ている場合は、かかと下にクッションを挟みましょう。かかと部分には圧がかかりやすいため、クッションを挟むことで圧を和らげることができます。肘部分にも圧がかかりやすいので、両肘の下にクッションを置いてあげます。
横向きで寝ている場合は、腰と肩の部分に褥瘡ができやすいため、大きめのクッションを背中から肩の部分に挟み込んで対策するようにしてください。また、かかとや足が固まっている部分にもクッションを入れてあげると良いでしょう。
介護用クッションの選び方
介護用クッションには、形状や素材、車椅子用など、さまざまな種類が販売されています。使用する部位や使用方法にも違いがありますので、選ぶ際の参考にしてください。
選び方①形で選ぶ
まず、長方形や筒状の商品は、その大きさによってさまざまな部位に使用することができます。長くて大きなクッションは、ベッドで背中全体を支えるために、枕サイズのクッションは、足の下に敷いて姿勢を保ち、かかとの床ずれを防ぐために使用することができます。
また、寝転がって足や腕に挟んで使うこともできるので、寝たきりの方にもおすすめです。薄型であれば、背もたれとしても使いやすく、リラックスした姿勢で筋肉の緊張を緩和し、正しい姿勢に導くことができます。
これから自宅で介護を始める方には、様々な部位に使用でき、汎用性が高い長方形や円柱形のクッションがおすすめです。
三角形の介護用クッションは、主に背中など広い範囲を支えるのに適しています。ベッドに横たわるなど、しっかりとした体勢を支える場合は、背中からお尻までカバーできる大きさのクッションを選ぶとよいでしょう。
特に床ずれを起こしやすい仙骨や大転子などの除圧には、原則的に体幹を30度傾けた「30度側臥位」が良いとされています。
体圧分散が期待できる30度角の三角クッションも多く作られています。ただし、褥瘡の位置や体の状態によって30度の角度に個人差があるので、医師に確認してから準備するとよいでしょう。
また、一点への圧迫が床ずれの原因になることもあるので、介護用のクッションは背中を支える大きめのものを選ぶのがおすすめです。腰痛持ちの方や腰に負担をかけたくない方には、通気性の良い穴あきクッションがぴったりでしょう。
姿勢を悪くする原因である沈み込みを防ぐため、座ると正しい姿勢がつくられるので、自然と正しい姿勢を保つことができます。
ただし、お尻に体重が集中しやすいので、長時間座った状態で使用しないように注意が必要です。特に臀部の皮膚の状態に注意して使用する場合は、できれば医師に相談するようにしましょう。
車いす用クッションは、車いすで移動する際のずり落ちや床ずれを防止するためのクッションです。長時間座っているとお尻に負担がかかるので、体圧分散性の高いクッションを選んでください。
床ずれ防止と姿勢維持を同時に行うことができるのも効果的です。長時間車椅子に座ることが多い方や、車椅子で外出される方は、車椅子用クッションを使用することで、お尻の痛みを気にすることなく座れるようになります。
また、表面に滑り止め加工が施されているタイプを選べば、長時間座ったり移動したりしてもずり落ちにくい効果が期待できます。また、臀部は汗や排泄物などで汚れやすいので、臀部用クッションを使用することをおすすめします。
選び方②素材で選ぶ
ポリエステルを配合した介護用クッションは、その柔らかさと弾力性から、医療現場でもよく使われる素材の一つです。ポリエステルは天然素材に比べてカビやダニが発生しにくいと言われており、洗濯できる製品も多いため、清潔に使用することができます。
ただし、ポリエステルは一般的に使い続けるとクッションのボリュームがなくなりやすいという欠点があります。また、乾きが早い反面、吸湿性が低いので、布団の中が蒸れてしまうこともあります。快適に使うためには、定期的にクッションのお手入れをすることが大切です。
また、自由に形を変えられる「ビーズクッション」もおすすめです。体格や体の部位、拘縮に合わせて調整しやすいことに加え、通気性、放熱性に優れているため、むれにくい素材の一つです。
体をしっかり支えたいなら、ウレタン素材の「低反発クッション」がおすすめです。低反発素材も体圧分散に優れた素材です。低反発素材は、体と一緒に沈み込むので、体圧分散効果が期待できます。また、適度な硬さで体を支え、体勢を安定させる効果もあります。
選び方③高齢者用は肌触りも考慮して選ぶ
また、表面がザラザラしていて肌触りが悪いものは避けましょう。ザラザラしたクッションは少し擦れただけでも肌が傷ついてしまいます。そのため、クッション表面素材は肌触りの良い柔らかい表面の物を選ぶようにしましょう。
選び方④介護度で選ぶ
介護度の高い寝たきりの方は、自分で動くことができず、手足が硬くなっていることがほとんどです。そのため、床ずれの発生率が高く、2時間おきに体位を変えたり、シーツのシワを整えたりする必要があります。
頻繁に体位変換が必要なため、介護する側とされる側の負担を軽減するためにも、体位変換しやすい介護用クッションを選ぶとよいでしょう。
【長方形・筒形】介護用クッションおすすめ3選
仰向けから横向きに体勢を変える場合、長方形や筒状のクッションを使うことで体を支えることができます。また、枕サイズのクッションは、体や足の下に敷いて床ずれを防止することもできます。その他にも、寝た状態で足の間に挟むなど、さまざまな使い方ができて便利です。
おすすめ①
白井産業株式会社 ピロークッション
長方形のポリエステル素材を使用した介護用クッションです。スタンダードな形状のクッションなので、腰や足首のケアなど、さまざまな用途でお使いいただけます。吸湿・放湿が早い素材なので、蒸れにくく、季節を問わず快適に使用できます。また、水洗いが可能で、お手入れも簡単です。いつでも清潔に保てるので、安心してお使いいただけます。
おすすめ②
アイ・ソネックス ナーセントロール
特殊な棒状のポリエステルチップ素材を使用した介護用クッションです。抗菌防臭加工を施した特殊ポリブレスが充填されているため、衛生的です。ポリエステルチップ1枚1枚がクッション性に優れているため、体への負担を軽減することができます。
また、形状が安定しやすいので、ベッドや車いすの上で楽な姿勢を保つことも可能にしてくれます。サイズはMとLの2種類で、使用者の身長や体重に合わせて選べます。
おすすめ③
MOGU ポジショニングに便利な筒形クッション
MOGUの筒型クッションは、パウダービーズでできています。柔らかく形を変えることができるので、手足に拘縮がある方に特におすすめです。38cmというサイズなので、肩や腰、膝、かかとなど幅広い場所で使用することができます。
仰向けや横向きなど、どんな姿勢でも位置の微調整がしやすいので、1つ持っておくと楽な姿勢を保ちやすくなります。また、パウダービーズは肌触りが良く、体圧分散効果も高いため、介護以外の場面でも幅広く活用できる商品です。
【三角形】介護用クッションおすすめ3選
体位変換クッションとも呼ばれます。このクッションには、直角三角形、二等辺三角形、鋭角三角形など多くのバリエーションがあり、体位や使用方法に応じて選ぶことができます。例えば直角三角形は、体勢を変えるときに体の下に敷いて安定させるために使われることが多いようです。
ポイントは長さで、短すぎると体の一部に荷重が集中するため、体位変換には不向きです。使い勝手を考えて、50cmや70cmの長さを採用している介護施設もあります。
おすすめ④
Axelrod 三角クッション 半円形枕付き
介護用の三角形のウレタンフォームクッションです。一般的な三角形の介護用クッションより大きめのサイズですが、肩から腰までしっかりサポートできるのが魅力です。
カバーには肌触りの良いベロア素材を使用しているので、肌の弱い方でも刺激を気にせず使用できます。また、抗菌・防臭・防カビ・防ダニ効果があり、衛生的な素材です。カバーは取り外して洗うことができるので、お手入れも簡単です。
おすすめ⑤
日本エンゼル 洗えるフィット三角柱クッションII
1973年創業の介護用品メーカー日本エンゼル株式会社の商品です。介護・福祉分野に特化したメーカーで、「あったらいいな」を形にした商品を多数展開しています。お客様の声をもとに作られた商品もあり、介護する側にもされる側にも嬉しい介護用品を選ぶことができます。
おすすめ⑥
Meiz 三角クッション
体にフィットする特殊なカーブ形状と、適度な硬さのクッションで、体勢に負担をかけずにしっかりと安定したサポートができるのが特徴です。体にかかる圧力を効果的に分散させることで、床ずれの発生や悪化のリスクを軽減します。また、特殊な脱脂ウレタンフォームは通気性に優れ、むれにくいですし、洗濯もできますので清潔にお使いいただけます。
【穴あき形の円座】介護用クッションおすすめ3選
ここからは穴あき型のクッションのおすすめ商品をご紹介します。要介護者への使い方を間違えないためにも、このタイプのクッションを使用する場合はできれば医療・介護の専門家にアドバイスを受け、要介護者の状態を見ながら適切に使用するようにしてください。
おすすめ⑦
Nexus Spitze 円座クッション
傾斜により座っている姿勢での太ももへの負担が軽くなります。クッションの裏面には滑り止めが付いているので、いちいち位置を調整する必要がなく、安定して座れるのもポイントです。また、高反発なのでお尻にフィットしやすくなっています。さらに、生地はメッシュ素材なので通気性がよく、カバーは取り外して洗濯することができます。
おすすめ⑧
LOOKIT 円座クッション 病院同仕様
累計販売台数3万台を誇る、痛みに強い設計のクッションです。座ったときに沈み込んだり、座面に当たったりして痛くならないように、あえて厚みを持たせた設計になっています。この厚みは、病院で使われているものと同じです。水やアルコールに強いので、アルコールを含ませた布で拭き取れば、抗菌・防汚対策になります。
おすすめ⑨
Dreampating 高反発 円座クッション
人体工学に基づき設計された高反発ドーナツクッションです。長時間のデスクワークでも体圧を分散させ、快適に作業できます。お尻の形にゆっくり沈む高反発ウレタンが、腰やお尻にかかる負担を軽減し、腰痛予防や姿勢矯正に効果的です。猫背が気になる方、正しい姿勢を身につけたい方は、ぜひお試しください。
【車椅子用】介護用クッションおすすめ3選
車いすは長時間使用することが多いのですが、座面と背もたれに固定するスリングシートなど、安定感のない車いすもあります。そこで、少しでも快適に座れるように、車いす用クッションを使用します。
おすすめ⑩
座ブーン 高反発 車椅子 クッション
厚さ5cmの高反発クッションで、長時間の使用でも疲れを感じさせません。表面は防水加工されているので、万が一の時でもサッと拭くだけで大切なクッションを守り、清潔に保つことができます。
クッションの裏面にはナイロンとポリウレタンで高級感のある滑り止め加工を施しているので、ずり落ちる心配もありません。クッションカバーだけでなく、クッションの中材も水洗いができるので、長く清潔にお使いいただけます。
おすすめ⑪
アバトラスト 車椅子用 クッション
本製品は、車いす用の低反発クッションです。立体的で体にフィットし、長時間座っていることによる疲れや痛みを軽減します。また、デスクワークや運転にも使用できます。
立体構造で体にフィットしてくれますので、車いすで長時間座る方、デスクワークで長時間座る方、運転で長時間座る方等におすすめの商品です。クッションカバーは取り外して洗えるので衛生的で、安心して使用できます。
おすすめ⑫
エアウィーヴ 車椅子クッション
良質な睡眠を研究してきたエアウィーヴから発売された、車いす用クッションです。上面はメッシュ素材でムレにくく、下面はすべり止め素材で滑りにくくなっています。
クッション素材は通気性に優れたエアファイバーを2層構造で使用しています。上層の薄いエアファイバーが体圧を分散し、下層の厚いエアファイバーがしっかり支えることで、長時間座っていても疲れを感じにくくなります。カバーも中材も水洗いができますので、お手入れが簡単で、いつも清潔に保てます。
【手・足用】介護用クッションおすすめ3選
最後に、手や足に使えるクッションをご紹介します。靴やスリッパが履けないとき、足や手をケガしている時などにも使えるクッションから、体位変換機として使える商品までありますので、目的に合ったものを選びましょう。
おすすめ⑬
A’sTool 介護クッション 踵(かかと)用
床ずれ防止や、かかとや足裏のけがの衝撃保護に使える足裏用保護パッド2枚セットです。かかとや手首、足首など、床ずれのできやすい部位に装着して体圧を分散させ、床ずれや浮腫みを予防することができます。マジックテープで留めるので着脱が簡単で、汚れたら洗濯もできるので衛生面でも安心です。包帯、ギブス、湿布などの上から装着するのにも便利です。
おすすめ⑭
MOGU 小さく便利な穴あきパッド
ふっくらとした厚みのあるクッションで、腕、脚、肘、膝などの枕として使用できます。穴の開いたシンプルなタイプなので、体圧を分散させたい場所のサポーターや、リハビリの遊び道具としてなど、さまざまな使い方ができて便利です。
おすすめ⑮
アイ・ソネックス ライトターン
回転モーメントとテコの原理を応用し、介護する側もされる側も負担なく、楽に寝返りを打てるように設計されています。
仰臥位(ぎょうがい)で股関節を軽く開いた状態で保持できるため、便を取ったりおむつ交換もしやすく、膝関節や股関節の関節拘縮や床ずれの予防にも効果的です。また、振り子が前後左右に揺れるので、仰向けで寝たまま下肢の運動が簡単にできます。
介護クッションを使って快適に過ごしてもらおう
今回は、介護用クッションのおすすめ商品をご紹介しました。介護用クッションは様々な種類が販売されており、それぞれ座り心地や使い方が異なるので、使う方や目的に合わせて選ぶことが大切です。また、肌に直接触れるものなので、清潔に保ち、介護する側の負担を減らすためにも、お手入れ方法を確認しておくことが大切です。今回ご紹介した選び方を参考に、使用する本人も介護する側も使いやすい製品を選んでください。