ガイドヘルパーという介護職はご存じでしょうか。ガイドヘルパーは3つに分類され、対象者や仕事内容が異なります。
この記事ではガイドヘルパーはどのような仕事をするのかや必要となってくる資格、ガイドヘルパーに向いている人をご紹介します。介護職の中でもガイドヘルパーに興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
介護職の1つであるガイドヘルパーとは
別名移動介護従業者と呼ばれている仕事です。障害によって1人での外出が難しい方に同行し、移動や身の回りのケアを行うことが主な仕事内容です。障害のある方にとって日々の買い物や通院などは1人で行うことが難しく、それゆえに社会とのかかわりを閉ざしてしまう方もいます。
そのためガイドヘルパーという存在が必要なのです。一緒に外出することで障害のある方は不安なく外出の目的を果たせます。それだけでなく障害のある方が引きこもってしまうことを防ぎ、生活の質を向上させる手助けにもなります。
ガイドヘルパーの給料・年収
地域や施設によって変わりますが大体の目安として正社員の方で月給は18~22万円、年収で換算すると250~280万円ほどです。パートの方だと時給1,300円~1,500円くらいが多いとされています。勤務期間の長さや役職によって給料や時給はアップするでしょう。
ガイドヘルパーの種類と仕事内容・資格
視覚障害者、全身性障害者、知的障害者の対象者によって種類が分けられます。対象者が違うと働く内容や必要な資格も変わってきます。自分がどの種類のガイドヘルパーに就きたいか明確になっている方は下記で説明する仕事の内容や資格等を理解しておくと良いでしょう。
視覚障害者ガイドヘルパー
3つの種類の中で最も需要が高いと言われているのが視覚障害者ガイドヘルパーです。その名の通り視覚障害のある方の外出を補助するのが仕事です。外出の手助けだけでなく文章を読み上げたり、代筆したりというサポートも行います。
目が見えない方にとって外出に不安はつきものです。一緒に行動するだけで視覚障害者の方は安心して生活を送ることができるのはもちろん、外に出る楽しみも得られるでしょう。
視覚障害者ガイドヘルパーに必要な資格
こちらは同行援護従業者養成研修が必要です。講習12時間、演習2時間を行う3日間の一般過程、講習2時間、演習10時間を行う2日間の応用過程のおよそ5日間の研修によって取得できます。介護福祉士などの資格を持っていることが受講要件となります。
主に移動時に要する援護や外出先での視覚情報の支援、食事やトイレなどの手助けを行います。介護系の専門学校で研修をしていることが多く、費用は5万円(一般約3万円、応用約2万円)ほどです。応用過程も取得しているとサービス担当責任者になることも可能です。
全身性障害者ガイドヘルパー
四肢の機能障害によって1人での外出が難しい方を手助けするのがこちらのヘルパーです。対象者が幅広く、生まれつき障害のある方だけでなく事故や病気の後遺症で障害のある方などさまざまです。外出の移動をサポートしたり、食事やトイレをサポートしたり生活介護もしていきます。
全身性障害者ガイドヘルパーに必要な資格
働くためには全身性障害者過程研修を受ける必要があります。約3日の研修で取得でき、費用の相場は45,000円ほどです。ただ、介護福祉士や介護福祉士実務者研修などの資格がある場合は科目の免除ができるため、その分費用が安くなります。
費用や期間は自治体によって異なる場合もあるため確認しておくことが大切です。研修においては講義や演習でガイドヘルパーとしての知識や技術などを学ぶことができます。
知的障害者ガイドヘルパー
知的障害者や精神障害のある方の外出に同行するガイドヘルパーです。生活的な介護を行う視覚障害者・全身性障害者のガイドヘルパーとは違い、外出時に問題がないよう安全に配慮して支援をするのが特徴的です。
知的障害者の方の障害による特性や性格を考え、コミュニケーションをとりながらサポートを行います。主に通学や作業所への通勤等での利用が多いです。
知的障害者ガイドヘルパーに必要な資格
行動援護従業者養成研修が必要です。10時間の講習に14時間の演習を行い、費用はだいたい2~3万円です。民間の自治体や福祉系の専門学校において研修ができますが、受講日数や費用は団体によって異なります。受講を申し込み団体へ詳細は確認してみましょう。
ガイドヘルパーに向いてる人
どのような仕事をするのかや対象者別の種類について理解したところで、どういう性格の方が向いているのかを説明します。自分は当てはまるのか、当てはまらなかったとしても下記のような部分を意識しながら働けるのかをチェックしましょう。下記に当てはまる方は自信を持っておすすめできます。
向いてる人①しっかり準備ができる人
しっかり準備できる人は向いていると言えます。利用者はどこにどのような目的で外出するのかを把握し、その状況において何が必要かを考え準備することが大切です。万が一予想外の出来事があっても利用者が不安にならないよう冷静に対応しなければなりません。
しっかり準備しておくことで利用者を不安にさせないためだけでなく、自分自身も安心してサポートできます。何かあったらその場で何とかなる!という考えの方には向いていないかもしれません。
向いてる人②柔軟にコミュニケーションが取れる人
ガイドヘルパーは人を支える仕事です。どのような利用者の方とも柔軟なコミュニケーションが求められます。常日頃から人とのかかわりが好きな方やコミュニケーション能力が高い方は向いていると言えます。ただコミュニケーションを取るだけでなく、利用者に応じて柔軟な対応も必要です。
例えば視覚障害者の方には安心できるようにしっかりと説明をするように心がけたり、全身性障害者の方には表情を豊かにして話すように心がけたりすることが大切です。相手の気持ちや状況によって柔軟な対応が必要になってきます。
向いてる人③行先や地域に詳しい人
地域に詳しい方や方向感覚に自信のある方などは向いているでしょう。外出をサポートするため、利用者の方よりも行先や地域に詳しい必要があります。もしその場所に詳しくなくても向いている人①で説明したように、準備ができる方なら問題ないでしょう。
事前に下調べを行い、当日は対応できるようにしてください。当日もし道に迷ってしまっても今の時代は携帯で調べればだいたいのことは解決できます。しかし利用者の方の介護度によっては両手が塞がっている場合もあるので、事前に調べておくことが大切です。
向いてる人④広い視野を持ち行動できる人
介護の現場においては常に何が起こるかわかりません。その場の状況や利用者の方の希望、要望などに広い視野を持って行動できると良いです。どのような状況においても焦ることなく広い視野で物事を捉えられる方はガイドヘルパーに向いているでしょう。
ガイドヘルパーのメリット
さまざまな介護職がありますが、その中でもガイドヘルパーを選び働くことのメリットはどのような部分なのでしょうか。ここでは3つのメリットを紹介します。
メリット①1人の利用者にしっかり関われる
介護施設での介護職とは違い、1人の利用者の方をサポートするためしっかり関われます。介護施設では複数の利用者の方をサポートするため、納得のいく対応が出来ないというもどかしさを感じる方も多いでしょう。
ガイドヘルパーの場合は1人の利用者を丁寧にサポートでき、感謝の言葉を述べられるとやりがいも実感できます。困っている人の手助けをしたいという想いが強い方にとっては、働き甲斐のある仕事です。
メリット②利用者と社会の橋渡しができる
1人での外出が難しい利用者と社会の橋渡しの役目を担うことができます。利用者の中には社会へ出ることへの不安から、できるだけ社会と関わりたくないという方もいるでしょう。ガイドヘルパーは不安のある社会と利用者をつなげるという大きな存在です。
一緒に外出することで安心して社会に出られるのはもちろん、利用者が自分でできることは積極的に行ってもらうことで自信にもつながるはずです。橋渡しができるという仕事内容にやりがいを感じられます。
メリット③身体的な負担は少ない
介護職はどうしても身体的に負担の多い仕事です。トイレや入浴の補助、歩行介助などはとても体力を使います。ガイドヘルパーも全身性障害者の方は外出先での生活介護はするものの、他の介護職に比べて負担が少ないです。体力に自信のない方にとってはメリットと言えるでしょう。
ガイドヘルパーのデメリット
デメリットとしては不安を感じることでしょう。利用者と自分の2人で外出をするため、万が一の出来事があった場合に頼れるのは自分だけです。いかに利用者を不安にさせず臨機応変に対応できるかが問われます。
ただこのデメリットは事前準備をしっかりと行えば防ぐことができます。また経験を積むことでも自信につながりデメリットもなくなるでしょう。しかし油断はせずに毎回しっかりとした準備を行い働くことが大切です。
需要が高いガイドヘルパーを目指そう
ガイドヘルパーは足りないと言われているためとても需要の高い仕事です。資格も数日研修を受ければ取得できるため、ガイドヘルパーという仕事を目指してみてはいかがでしょうか。介護職にやりがいを求める方や丁寧にサポートしたいと考えている方はぜひ検討してみてください。