介護の仕事には様々な働き方がありますが、その中に介護事務職というものがあります。そして、介護事務には資格があり、その種類は10種類以上にも及びます。本記事では、そんな介護事務職という仕事の内容や、取得が推奨される資格などについて解説します。介護業界で働く上で、介護事務の資格は必須ではありませんが、持っていると就職・転職に有利なので是非チャレンジしてみて下さい。

目次

介護事務とは

介護事務職は介護職というくくりの中にあるものなのですが、介護士やケアマネジャーなどの様々な職業がある中の1つとなっています。まずは、仕事としての介護事務職について解説します。

介護事務の仕事内容

介護事務職というのは、主に介護報酬請求業務というものを行うのが中心の仕事になっています。報酬請求業務というのは、介護保険サービスを提供している施設、事業所に対し、サービスに応じた料金を利用者とともに国へ請求します。

そして、その中で国が負担する分を介護報酬として請求する、というのが、大まかな請求業務の流れとなっています。勿論、それ以外にも受付や電話対応といった、いわゆる一般的な事務仕事を行うこともあります。

介護事務の給料

介護事務は介護職に当たるため、大変な職業というイメージから給料についても気になるところでしょう。正直、介護事務の給料はそこまで高いという訳ではありません。

東京都内で言えば、正規の社員で18万円程度とされています。ただし、これはあくまでも一例であって、職場の規則や規模、そして経験の有無などによっても変わってくるところはありますし、管理職に就けば相応の手当ても付くでしょう。

医療事務との違い

似たような職業名に医療事務というものが想像されるかもしれませんが、その違いは医療保険と介護保険のどちらを取り扱うかにあります。国民健康保険などの公的医療保険、そして任意加入する民間保険を扱う場合には、医療事務が担当します。

そして介護保険とは、介護が必要になった時に受けられるサービスです。この保険を取り扱うのは、特別養護老人ホーム、訪問介護等が該当します。訪問介護などの場合には、医療と介護両方の保険を取り扱う場合もあります。

介護事務の仕事に資格は必要?

介護士をする為には介護福祉士の資格が必要だったりと、介護の仕事には何かと資格が必要となっています。介護事務に関しては何か特別に資格を有しておかなければ、働けないという訳ではありません

しかし、介護保険を取り扱う以上は、専門の知識が必要になるのは確かです。仕事においては介護ソフトを利用するのが一般的なため、基本的なパソコンを扱うスキルも求められることになっています。

介護事務資格の特徴・メリット

介護事務に就くうえで資格が絶対に必要という制度はありませんが、介護事務資格そのものは存在しています。介護関係の仕事に興味がある方であれば、この資格を得る事に関するメリットも覚えておいた方が良いでしょう。

特徴・メリット①民間資格だから難易度が低い

まず、民間資格であるために難易度が低いという特徴、そしてメリットが挙げられます。同じ介護に関する資格でも、介護福祉士などの資格は国家資格に相当し、難易度が高いです。

しかし、介護事務の資格というのは全てが民間資格です。これは民間の団体、企業が独自の基準を設けて審査するので、国が法律に基づいて執り行う国家資格と比べれば、取得に関する難易度は明確に低いのです。

加えて、介護関連の資格の多くには年齢や学歴といった受験に要する資格が求められますが、介護事務の資格に関してはそういった受験要綱は存在しません。その為、誰で設けられる間口の広さも特徴です。

特徴・メリット②就職・転職で有利になる

仕事に就くことを考えた場合、有利になることも確かです。介護事務職が完全な無資格でも就ける仕事ではある反面、本当にそのままで就けるかどうかはまた別の話です。そんな時に有利になるかどうかを左右するのが、資格の有無です。

何も知識がないよりは、資格を有している、すなわちそれなりに専門の知識を有している人の方が仕事に付ける確率は高くなるのは明らかです。資格という誰の目にも分かりやすい形で取得しておけば、スムーズに転職等も出来る可能性が高まります。

特徴・メリット③スクールに通う必要がない

そして、スクールに通う必要が無いことも利点に数えられます。介護事務資格を得る場合、勉強の場としては通信講座がメインとなっています。他の介護資格の取得をする為には、通信プラススクールに通うといった形が一般的ですが、介護事務なら通う必要はありません。

通信講座オンリーで資格取得を目指す事が出来るために、仕事をしながらでも資格の勉強がしやすいというメリットが生まれています。その通信講座自体も多くのスクールで行われているので、自分に適した勉強の仕方を選択できるでしょう。

介護事務職におすすめの資格5選

民間の資格であるところの介護事務資格ですが、実は関連する資格をすべて合わせると10種類以上あるのです。勿論、実際に介護事務の仕事をするにあたって、そのすべてを取得しておく必要はありません。そもそも無資格でも良いものです。

しかし、メリットの中でも挙げたように資格を取っておく事で有利になるのは間違いないので、最後に介護事務職に就くときのお勧めの資格を5つほどご紹介しましょう。

おすすめの介護事務資格①介護事務管理士

介護事務管理士は、技能認定振興協会が主催している資格になります。主に介護サービス施設において、介護報酬請求業務、レセプト業務とも呼ばれますが、その作成や受付、会計といった事務に関する知識、スキルを有している事を証明するものになります。

試験は一年のうち6回実施されており、学科と実技の2つの科目があります。学科では法規と介護請求業務について、実技ではレセプトの点検問題と実際のレセプト作成が行われます。

合格ラインも決まっており、学科が70点以上、実技が50点以上かつ3問で70%以上取れていれば合格となります。合格率は50%から70%ほどで、特別難しくはありません。

おすすめの介護事務資格②介護事務実務士

続いて、介護事務実務士の資格になります。こちらは特定非営利活動法人の医療福祉情報実務能力協会、MEDINが実施している資格であり、主に医療福祉、そしてメンタルケア関連の知識と能力を示すための資格となっています。

主催機関が指定している教育機関での団体受験が実施されていて、学科では介護保険法やその他の法規、介護保険制度などが問われ、実技においては介護給付明細書の作成を行います。こちらも合格率は60~70%と高めです。

おすすめの介護事務資格③ケアクラーク

ケアクラークとは、一般財団法人の日本医療教育財団が認定している、介護報酬請求業務や社会福祉制度などに対する理解を問う資格となります。こちらも年に6回試験が実施され、コミュニケーションスキルや高齢者、障碍者の心理等も学科で出題されます。

また、実技においては居宅サービス介護給付費明細書、および施設サービス等介護給付費明細書の作成が問われる事となっています。両方ともに得点率70%以上で合格となり、合格率も70%なので比較的取得しやすいでしょう。

おすすめの介護事務資格④介護保険事務管理士

日本病院管理教育協会が実施しているのが介護保険事務管理士です。主に医療や介護サービスを提供する施設における介護能力を証明する資格となり、介護報酬請求業務が出来るようになります。

こちらは年に2度の試験が行われていますが、他と異なり受験に先立って財団の指定した教育機関において介護保険制度論と介護報酬算定実務を履修する必要があります。合格率が90~100%なので、ほぼ受かるといって良いでしょう。

おすすめの介護事務資格⑤介護報酬請求事務技能検定

最後は、介護報酬請求事務技能検定になります。日本医療事務協会認定の資格で、名前からも分かる通り介護報酬請求業務に関する知識と技能の証明を行います。偶数月に開催され、介護保険制度の仕組み、給付管理業務の実技といった8つの分野から出題されます。

日本医療事務協会が認定する介護事務講座を修了した者、受験申請のあった高校・専門学校・短期大学・大学等のように、珍しく受験資格が必要です。合格率は80%前後なので、こちらも受験さえできれば合格しないことは無いと考えられます。

介護事務資格を取得してスキルアップを目指そう

介護に関する資格というと非常に様々で、国家資格もある以上難易度が高くなりますが、介護事務資格という範囲で考えた場合、決して難しいものではありません。仕事としても需要があるのは間違いないので、ぜひ資格取得をしてスキルアップを目指してください。

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