生活保護を受けているけれど、利用できる老人ホームはあるのでしょうか。現在生活保護を受けている方で、今後の人生や生活について、気になる方も多いはずです。この記事では、生活保護の方でも入居できる老人ホームはあるのか、その場合どのくらい費用がかかるのかなどをご紹介します。
生活保護受給者は老人ホームに入居できる?
生活保護を受けている方の中で、老人ホームに入居できるかどうか不安に感じる方もいるでしょう。結論から言うと、生活保護受給者でも老人ホームに入居することは可能です。
これは「日本国憲法25条」に定められた法律に則った制度が適用されるため、お金の準備が困難な方でも、安心して利用することができます。生活保護の受給者条件は各自治体によって異なるため、その条件を満たしていれば生活保護を受け、老人ホームへの入居も可能なのです。
ただし、どの老人ホームでも入居できるというわけではなく、入居できる施設は限られているので注意してください。最低限の生活を送るために使用できる制度なので、贅沢な暮らしをしたいと考えている方は注意が必要です。
生活保護受給者が入居可能な老人ホーム
では、生活保護受給者の方はどこの老人ホームなら入居できるのでしょうか。自費で入居する方はある程度希望の箇所に入居することができますが、生活保護受給者となるとかなり種類が限られてきます。ここでは、入居できる老人ホームの種類についてご紹介するので見ていきましょう。
特別養護老人ホーム
まず一つ挙げられる施設が「特別養護老人ホーム」です。ここは、自治体や福祉施設が運営しており、所得に応じて費用が決まるため、少ない負担で入居できる施設となります。
費用面での心配が少ないということで、非常に人気の施設となっていて、入居者希望人数も多いです。そのため、入居を希望しても入れないという事態も起こり得ます。
また、特別養護老人ホームには要介護3以上の方が対象となるため、単に入りたいからという理由だけでの入居は厳しいと考えられます。老人ホームを利用する際には、費用だけでなく利用できる条件を満たしているかどうかも確認しておきましょう。
民間の有料老人ホーム
公的施設以外にも、民間型の有料老人ホームがあります。比較的安価で入居ができる特別養護施設よりも少し高額にはなりますが、生活保護を受けている方は負担無しで入居することができます。
また、入居の条件次第では費用をなるべく削ることができるため、金銭面が厳しく入居ができないと考えてる方にもおすすめです。民間の有料タイプだと、生活保護受給者では入居できない施設もあるので、選べる種類は減ってしまいます。
希望する施設には入居できないことも多く、ある程度妥協をする必要も出てくるでしょう。地域によって利用できる施設の種類も異なるため、まずは自分の住んでいる地域で、どの老人ホームなら入居できるのかをあらかじめ調べておくと良いです。
生活保護受給者が老人ホームに入居する際の費用
生活保護受給者が老人ホームに入居する際に、どのくらいの費用がかかるものなのでしょうか。お金がなければ入居できないイメージも強く、諦めていた方でも入居ができると知った後は、実際に入るとなった時にかかる費用を具体的に知りたい方もいるでしょう。
ここでは、生活保護受給者が老人ホームに入居する際にかかる費用について詳しくご紹介するので、老人ホームのことについて知りたい方はこちらも参考にしてください。
介護扶助を適用することで無料に
施設内では、介護扶助を適用することで様々な補助が下りるため、実質無料で利用することができます。扶助制度にもいくつか種類があり、生活扶助・医療扶助・介護扶助というようにそれぞれ補助金を受け取ることで費用を賄うことができます。
どの制度がどのくらいの金額を補助してもらえるのかは、人それぞれになるため、利用したい方がどの制度を利用できるのかを事前に調べておくと安心です。
介護扶助に関しては、福祉用具貸与やバリアフリーを考慮した設備費などを賄うことができます。ただし、介護保険の支給限度額を超えた分に関しては、自費となるのでその点も注意しなければなりません。
介護保険適用外のサービスは自己負担
限度額を超えた金額の他に、介護保険適用外のサービスに関しては全額自費となるので、この点もしっかりと押さえておきましょう。家賃や食費、雑費、医療費などの基本的な費用に関しては、介護保険で賄うことができますが、この他に発生する費用に関しては完全自己負担となります。
欲しいものが何でも補助されるというわけでなはいので、この点を勘違いしないようにしてください。もちろん、扶助制度を利用しても限度額を超える場合には、超えた分の費用が発生するため、何にどのくらいの費用をかけるのかは、きちんと考えておく必要があります。
贅沢ができるわけではありませんが、通常の生活水準であれば扶助制度で賄うことができるため、この点だけしっかりと把握しておくことで、安心して入居できるでしょう。
生活保護の8つの扶助制度をチェック
生活保護で利用できる扶助制度は、全部で8つあります。一体どのような制度があるのか、他にも利用できる制度があるか知りた方は、下記にまとめているのでこちらを参考にしてください。
生活扶助 | 食品・衣類の購入品、水光熱費にかかる費用 |
住宅扶助 | 家賃など住居時に発生する費用 |
教育扶助 | 義務教育を受けるために必要な費用 |
介護扶助 | 介護にかかる費用 |
医療扶助 | 治療に関わる医療費 |
出産扶助 | 出産にかかる費用 |
生業扶助 | 自立するために資格や技能を身につけるためにかかる費用 |
葬祭扶助 | 葬儀にかかる費用 |
生活保護受給者が老人ホームに入居する際の注意点
生活保護受給者の方が老人ホームを利用する際には、いくつか注意点もあります。ここでは、注意しておきたいポイントをまとめているので、これから利用を考えている方、将来的に考えている方も参考にしてください。
注意点①保証人や身元引受人が必要
ほとんどの老人ホームでは、入居する際に保証人や身元引受人が誰なのかを知らせる必要があります。入居者が入院をする場合や亡くなった後の対応に当たってくれる方を準備しておくと、入居もスムーズです。
保証人や身元引受人がいない場合には、保証会社の利用などいくつか方法はあるので、こうしたことも考えてとくと良いでしょう。ただし、生活保護受給者の方は様々な条件があるため、通常よりも入居するのに時間がかかるケースが多いです。
ですから、老人ホームに入居する際には時間に余裕を持って申し込みをすることをおすすめします。ここでご紹介した内容と実際に施設で受ける話や条件が異なる場合もあるので、前もって入居施設と納得がいくまで話し合いをすることも忘れてはいけません。
注意点②生活保護を受け入れない施設もある
何度かご紹介していますが、老人ホームの中には生活保護を受けている方の入居を受け入れていないケースも少なくありません。おそらく、対応している老人ホームを探す方が苦労することでしょう。
生活保護受給者の受け入れを行なっている施設は、比較的費用が安く人気なので、すぐに埋まってしまいます。空きが来ない限り入居できないということも考えられるため、老人ホームの利用を考えているのであれば、早い段階での行動をおすすめします。
注意点③入居まで時間がかかる場合もある
有料老人ホームの場合、空きがあれば手続きをすればすぐにでも入居できるのに対し、無料で入居できる施設だと例え空きがあったとしても即日入居ができないことがほとんどです。
特別老人ホーム施設の場合、要介護3以上の方が対象となっていることに加え、申し込み順ではなく優先度の高い方から入居が決まるので、実際に施設に入るまでにかなり時間がかかることも多いです。
後から申し込みをした方でも、優先度が高ければ先を越させることもあります。これは、自治体によって大まかな条件が異なるので、実際に施設などに問い合わせをしてみましょう。
注意点④広範囲の地域での検討も覚悟する
もし、近くの施設の利用が厳しいようであれば、検討エリアを拡大してみましょう。もちろん、自宅や地元から近い方が何かと便利なのですが、入居できなければ意味がないので、少し遠くでも入れる見込みがあれば、広範囲の地域で探してみるのもおすすめです。
また、地域が変われば入居条件が異なることもあり、入居できてしまうというケースも考えられます。あまり時間がなく、すぐにでも入居を考えているのであれば、地域を広げて探してください。
他の地域で利用できる老人ホームが見つかった場合、引っ越しが可能であえば別の地域に引っ越しをするというのも一つの方法です。住んでいる地域と利用する地域が異なる場合、面倒な手続きもあるため、引っ越しを視野に探してみるのもありでしょう。
生活保護受給者が老人ホームに入居する際の手続き
生活保護を受けている方は、老人ホームへ入居する際に行わなければならない手続きがあることも忘れてはいけません。必ず行う手続きとして「移管」という手続きが必要になります。
これは、今まで生活保護の管理をしていた事務所から他の福祉事務所へ管理を移動させる手続きになります。これからは、福祉施設で生活をするため、これまでお世話になっていた事務所から移動することになるのです。
よく分からない方は、ケースワーカーの方に相談しながら解決することができるので、面倒くさがらずにきちんと手続きを済ませてください。
生活保護を受けていても老人ホームに入居は可能
生活保護を受けている方でも、自己負担をなるべく押さえた上で利用できる老人ホームはいくつかあるので、各自治体の詳細をチェックし、自分が入れる施設を探してみましょう。