人生が終わりに差し掛かっている年代の方は、終活という自分がこの世を去る時のことを考えた準備を行うことも多いでしょう。基本的に家族に迷惑をかけないために色々と準備をするものですが、身寄りのない独り身の場合はやる事があるのでしょうか?今回は身寄りなしの人が終活でやるべき事を解説します。

目次

身寄りなしの高齢者の現状

終活といえば、一般的には家族のいる人が自分が亡くなった時にスムーズに相続などが進むように行う準備、といったイメージがあるかもしれませんが、身寄りのない高齢者にとっては必要性が薄そうに見えます。

公的なデータを基に、現状の日本における身寄りなしの高齢者の現状を見てみると「令和4年版高齢社会白書」によれば令和3年時点の日本の総人口は1億2千550万人、そのうち65歳以上の高齢者は約3,600万人で。総人口における高齢化率が30%近くになっています。

年代に関わらず一人暮らしの人も年々増加しているようで、65歳以上人口に占める一人暮らしの割合も増加、昭和55年では男性4.3%、女性11.2%だったのが令和2年には男性15.0%、女性22.1%と10%以上増加している事が分かります。

身寄りなしでも終活は必要なの?

国内においては高齢化が叫ばれて久しい現状ですが、しかし終活という事を考えた時身寄りのない高齢者にとってはそこまで必要性が高くなさそうに思えるかもしれませんが、決して必要性ゼロではないのです。

終活とは

そもそも終活というのは、個人が自分自身や家族のために自分の死後のことや葬儀、遺産、遺志などを計画し準備することを指す言葉です。終活は「終活動」とも言い換えられ、人生の最終段階に向けて自分や家族の負担を減らすための準備を整える行動です。

終活の目的は、自分の最期を迎える際にスムーズな運営や心の準備を行い遺族に負担をかけずにこの世を去ることになります。よって、家族が居るのであればその必要性はとても高いと言えます。

終活を通じて、死後の手続きや手配を事前に進めることができます。遺言書の作成や保険の整理、財産の処理など、事前の準備を行うことで、遺族にとっての手続きがスムーズに進行します。

孤独死などリスクの発生を防ぐ

では身寄りのない高齢者は終活の必要性が無いかといえば、決してそんな事はありません。終活は、自分の希望や意向を尊重するための手段です。身寄りのない高齢者でも自分の最期の希望や意思を整理し、遺言書や医療指示書を作成することで自分の意志を示せます。

身寄りがなくとも、地域の社会的サポートや専門家のアドバイスを受けることができます。終活を進める過程で、専門家やコミュニティの支援を受けることで、スムーズなプロセスを確保できます。

また、昨今問題になっている独り身の高齢者の孤独死防止にもつながります。他にも財産の相続が自分の希望と違ったものにならないための準備にもなりますし、独り身でも親戚や家主など周囲の人への迷惑を低減できるのです。

身寄りなしのおひとりさまが終活ですべきこと

この様に、例え身近に家族が居ない身寄りなしの高齢者であろうとも、終活でするべきことは色々とあるのです。ここからは、具体的に独り身の方が終活で行うべき事について解説していきます。

身寄りなしの終活①エンディングノートを作成

まずやるべき終活の内容が、エンディングノートを作成することです。エンディングノートというのは、残りの余生が短い人が自分に関する情報、意思などに関してを形として書き残しておくためのノートになります。

記載される情報は、自身の個人情報をはじめとして緊急連絡先、医者や介護に関する情報、葬儀やペットがいる場合の情報といったような身の回りの情報を細かく載せることになります。

身寄りのない高齢者でも、自分の最期の希望や意向を記しておくことで、最後まで尊厳ある選択ができるようになります。また医療情報や金融情報などの重要なデータを整理して情報をまとめておけば、突然の事態に備え必要な情報を提供する手段となります。

身寄りなしの終活②成年後見制度の利用

続いては、成年後見制度を利用することです。成年後見制度とは、認知症や障害などによって自己判断能力が制限された成年者を対象として、その人の権利や利益を保護し、支援するための制度です。

成年であれば高齢者などに限らず対象となっており、本人が自己判断が難しい状態にある場合でも、適切な判断とケアが提供されるようにするために設けられています。

成年後見制度の主な目的は、認知症や精神障害などで判断能力が制限されている人々を支援し、その人の利益や権利を保護することです。個人の尊厳を尊重しつつ、生活や財産に関する判断を代理で行うことが含まれます。

後見制度の中にも2種類あるのですが、現在が健常なら任意後見契約制度が推奨されます。自身の判断力がハッキリしているうちに財産管理をはじめとする手続きの代行人を選び契約する制度で、弁護士等の公的な人を契約相手にすることも可能です。

身寄りなしの終活③身元保証人やサービスの利用

入院、介護などが必要になってくる可能性を考えて、身元保証人やサービスの利用も考えておきましょう。健康や介護の管理も重要ですから、身元保証人やサービスが健康状態や介護のニーズを把握し必要な医療やサポートを確保したいところです。

この身元保証人を立てられる制度の1つが、先にご紹介した成年後見制度になります。銀行手続きや保険手続きを代行してもらえたり、施設や病院に入る際の引受人にもなってくれます。

任意後見契約は、自分の認知能力が低下した後では利用できず、法定後見制度を利用するしか手が無くなります。自分の希望などを伝えるためにも、健常な内から身元保証に関する手続きを進めておきましょう。

身寄りなしの終活④介護サービスを検討

介護サービスの検討も考えるべきといえるでしょう。たとえ今健常な状態であったとしても、高齢者となると何時介護が必要になる状態になるかは予測がつかないものです。

身寄りのない高齢者は、緊急時の対応や安全面の配慮が特に重要です。介護サービスは、安全な環境で生活するための支援や、急な健康問題に対する対応などを行います。

介護が必要な状態になってからでは、身寄りがないという事も相まって手続きを踏んだりといったことを行うのが困難になってしまいます。元気なうちにある程度必要な介護サービスに目星をつけておくことをおすすめします。

身寄りなしの終活⑤遺言書を作成しておく

遺言書を残すのも身寄りがなくとも必要な事です。遺言書は、自身の財産や遺産の分配、埋葬方法などに関する明確な意思表示をする手段です。主にこれを読むのは近しい親族などが該当しています。

しかし、身寄りがないとしてもこの遺言書の必要性は高いものになっています。身寄りのない高齢者が亡くなった際、遺産整理が難しくなってしまうケースが多いです。遺言書があれば、遺産分配や財産の処理が円滑に進行するため関係者の負担が軽減されます。

遺言書が無い場合には民法で定められた法定相続人が財産相続を行うことになるのですが、遺言書を残していればその内容が優先されることになるので、財産相続に関する自分の意思を優先させられるのです。

身寄りなしの終活⑥終の住処を考える

続いては、終の住処を考えることです。「終の住処」とは、人が最後の人生の時を過ごす場所や住まいのことを指します。通常、高齢者や病気の人が最期の時期を過ごす場所や施設を指す言葉です。

終の住処としては、例えば老人ホーム、介護施設、特別養護老人ホームなどの施設群が該当します。他にも自宅で過ごしたいのならばそこが終の住処になりますし、ホスピス、つまり病院内が該当することもあるでしょう。

自分の持つ家で最期を迎えたいと言うならば、不動産業者の視点からしても早めに確保しておくべきといえるでしょう。事故物件になるのを避けたがるので、40代から50代のうちに確保するべきとも言われています。

身寄りなしの終活⑦老後の資金を備える

昨今は老後2,000万円問題などと叫ばれている通り、老後の資金面での問題が表出化しています。身寄りのない方は、老後の資金に関しても終活の中で考えるべき内容の1つとなっています。

身寄りがあるのであればまだ余裕が持てそうなものですが、身寄りがないとなると他にお金の面で頼れる人もいないわけですから病気やけがなど思わぬ場面で金銭的に困ってしまうケースが多いのです。

また老後には健康問題が増える可能性があり、医療費や介護費がかかることが考えられます。適切な老後の資金準備を行うことで医療費の負担を軽減し、必要な医療や介護も受けやすくなります。

身寄りなしの終活⑧死後事務委任契約を結ぶ

終活では先に解説した成年後見制度や身元保証人を立てるなどの契約がありますが、そのほかにも死後事務委任契約というものもあります。死後事務委任契約は、個人が死亡した後その遺族や信託会社などが遺産や財産の管理や処理を行うための契約です。

この契約の主な目的は、死後の財産管理や事務手続きを遺族が円滑に行えるようにすることです。その内容としては、財産管理や遺言執行、葬儀や税金の手続き、資産の移転などが含まれています。

一般的には、司法書士をはじめとする専門家を対象にして契約を結ぶことが多くなっています。これら死後に関する手続きを踏んでくれる人を生前に契約で確保しておけば安心できるというものです。

身寄りなしの終活⑨お墓を準備する

自分が入るお墓の準備も、身寄りがない場合には終活で行うべき内容に入ってきます。一般的に火葬をした後には遺骨を墓に埋葬することになるので、自分が入る墓の準備も必要です。

元からある親族の墓があるのならそれに入るだけなので問題はありませんが、無い場合や新しく墓を用意したいのなら準備するべきです。身寄りがない場合、永代に渡り供養をしてくれる永代供養墓が推奨されています。

身寄りがない高齢者が自身の意向を伝え、意思を尊重することは重要です。墓の場所や形式に関する意向を明確にし、自分の望む通りに最後の場所を選ぶことができます。

身寄りなしの終活⑩葬儀の生前契約をする

葬儀に関しては特に気になる点なのではないかと思われます。身寄りのない高齢者が亡くなった際、遺族や関係者が葬儀や告別式をどのように行うべきかを決定するのはやはり難しいものになってしまいます。

自分の死後に葬儀を行ってくれる人がいない場合には、行政機関によって火葬のみが執り行われます。生前契約を行うことで、本人の意向や希望に基づいて葬儀が執り行われる保証が得られます。

生前契約を通じて葬儀の内容や費用を決めておくことで、事前に費用を把握し予算内で葬儀を執り行うこともできます。契約を検討する際には、葬儀の専門家やプランナーのアドバイスを受けつつ決めたいところです。

身寄りなしの終活⑪ペットの飼い主を見つける

ペットを飼育している場合には、飼い主を見つけておくことも終活の内容に含まれてきます。独り身で生活している方で、犬、猫などのペットを飼育している場合には必ず行うべきです。

高齢者がペットのケアが難しくなると、ペットを健康的に飼育することも難しくなってしまいます。むろん、亡くなってしまえば世話をする人が誰もいなくなってしまうので、安心して成仏も出来ないというものです。

そこで、事前に新しい飼い主を見つけておくのです。自分が亡くなることを考えると、その後のペットの世話や行く先を確保することが重要です。新しい飼い主を見つけることで、ペットに関する不安が無いまま棺に入れるというものでしょう。

身寄りなしのおひとりさまの終活でかかる費用目安

  • 身元保証、身元引受:30~150万円程度
  • 死後事務委任契約:50~150万円程度
  • 成年後見制度:初期費用20万円前後、月額2~6万円
  • 葬儀生前契約:40~150万円程度
  • 墓の生前契約:5~30万円程度

実際に、身寄りのない独り身の方が終活をした場合、それぞれの手続きを踏む中で発生する費用の目安は上記の通りとなっています。死後事務委任契約や葬儀生前契約などに関しては、比較的大きな金額がかかる傾向にあります。

あくまでも一般的な費用の目安ですので、実際には利用する会社や状況によっても目安の範囲内に収まらないケースもあります。上記すべてを行わなければならないわけではないので、必要な内容を見極めることも大切です。

身寄りなしのおひとりさまの終活はいつからはじめる?

終活では色々と契約などの手続きを勧めなければなりませんので、介護などが必要になるより前の健康な状態で進めたいところです。では、いつから終活をスタートさせるのが正しいのでしょうか?

体が元気なうちにはじめよう

基本的に、終活を始めるタイミングに明確な正解などはありません。ただ、独り身である事を考えるといざという時に頼れる人がいないので、心身ともに元気だと思えるうちに早めに始めるのが推奨されています。

身寄りなしのおひとりさまの終活は大事!安心して老後を過ごそう

身寄りがない方が終活を通じて色々と準備を進めておくことは、何よりも自分の最期を自身の意思を尊重して迎えるためにも大切な事なのです。元気なうちに、終活の準備を進めてみてください。

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